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二章
105、夢の中
しおりを挟む気がつけば俺はずっと暗闇の中にいた。
どれほどの時間、日数が経ったかなんてわからない。俺は思考する事もなく、時が止まったかのようにただ真っ暗な世界にいた。
しかしある日、俺の意識が突然その世界で覚醒した。
そこは見た事のある薄紫色の天井や壁、それもモヤでよく見えない所まで全く同じで、気がつくと体が震えていた。
ここはガリアが作り出した悪夢の中だ……。
そう思った俺は、とりあえず震えを止める為に体を抱きしめようとして、自分が裸な事に気がつく。
それなのに確実にガリアが後ろにいるのが、気配でわかってしまったのだ。
「デオ」
名前を呼ばれただけなのに、肩がビクリと揺れる。
恐怖のあまり振り向く事もできない俺を、ガリアは後ろからギュッと抱きしめたのだ。
「会いたかった……。ずっと会いたくて会いたくて、デオを想いながら魔法陣を組み立て直したんだ。絶対にこの世界は簡単に壊せないから、デオも安心していいからね」
俺は震える体をどうにか抑えて、口を開いた。
「……お、俺はいつ目覚めるんだ?」
「目覚める?デオは何を言ってるんだ。やっと会えたというのに……ああ、そうか。ようやく会えたのだから、感動を分かち合わないといけないね」
ガリアは俺の顔を右手で上に向けると、上から無理矢理唇を奪った。
「んんっ!!」
一瞬見えたガリアは夢の中だというのにクマが酷くて、現実でほぼ寝ずにこの魔法陣を作り直していたのがわかる。
でもそのせいなのか、目に光がないガリアは病んでいるように見えたのだ。
そんなガリアの左手が、俺の首筋を指一本一本で楽しむように撫でていく。
その手が上下するたびに俺はゾクゾクして、吐息が溢れていた。
そんな俺の口内を、ガリアは堪能するようにゆっくり舐めまわすと、舌をチュッと吸い上げてようやく唇を離した。
息が上がってしまった俺は、唇を腕で拭いながら言ってやる。
「はぁ、はぁ……いきなり何するんだ」
「何って、俺達はパートナーだからね。これは恋人としての挨拶だよ」
「俺は、お前と恋人になった覚えはない」
「なんだ、デオは恥ずかしがっているんだね?でも大丈夫、これから俺達はずっと2人で一生この夢の中で暮らす事になるのだから」
「……は?」
一生ここで暮らす?
そんなありえない話があるのか……でも、ガリアはわざわざその為に魔法陣を作ったと言っていた。
という事は、本当に……?
「これからの俺達にはいくらでも時間がある。前は焦ってあんな事をしてしまったけど、今回はいきなりセックスなんて野蛮な事はしないから安心して欲しい。それに今はお互いを知る時間が必要だと思わないか?」
「いや待ってくれ、外にいる俺はどうなっているんだ?」
「それは勿論、眠っているよ。何故ならデオはもう二度と起きる必要はないのだからね。このままデオは俺の魔力に生かされ続け、夢の中でそのまま死ぬんだよ」
つまり、もう二度とウルに会えない可能性があるという事……?
そう思うだけで血の気が引いていく。でも俺はどうにかそこで踏み止まった。
ここで心が折れたらそこで終わりだ。それにウルは俺を助ける為に頑張ってる筈なんだから、俺も頑張らないと……。
そう思った俺は、とりあえずガリアへ質問をしてみた。
「……もしかして、ガリアもずっとここにいるのか?」
「いや、残念だけど俺はデオと違ってこの世界の出入りは自由なんだ。俺にはまだ外でやる事が沢山あるからね。でもそれも少しずつ減らして、いずれは完全に夢の中で暮らすつもりだから安心してよ」
「それならガリアが外に行ってる間、俺は一人なのか?」
もしも一人の時間があれば、この夢について何か情報が得られるかもしれない。
そう思ったのに、ガリアは予想外の答えを返してきたのだ。
「もしかして、寂しいのかい?それなら大丈夫だよ、俺がいない間は他の俺達が沢山可愛がってあげるから、俺はデオを一人にはしないから安心してほしい」
「他の俺達って……?」
「それは後でのお楽しみさ。きっとデオも喜んでくれると思うよ」
その話に俺は凄く嫌な予感がした。
だけどそれを詳しく聞いてる余裕はない。
「因みにここは夢の中だけど、一緒に生活できるように俺の家を再現してみたんだ。デオだけでは部屋を移動できないけど、俺が一緒なら他の部屋も行けるから後で案内するよ。それにここで生活するなら服があった方がいいよね。俺の趣味になってしまうのだけど、デオに着て欲しい服があってね……これなんだけど、どうかな?」
次の瞬間、俺は裸ではなく一応服を着ていた。
でもその服はどこか既視感があった。
「ガリア、この服って……」
「前にセルロウからデオが可愛い犬の姿をしていたと聞いてね、少し気になっていたんだ。でもアイツと同じと思われたくないし、俺は猫が好きだからこれにして見たのだけど……やっぱり思った通りだ。デオには可愛らしい猫さんの方が凄く似合っている」
ガリアが猫さんだというのなら、この服は間違いなく俺が倒れる時に着ていた服と同種の物に違いない。
だけど前とは大きな違いが二つあった。
その一つは、露出がこちらの方がどう見ても高い事だ。
この服は胸だけでなく、お腹まで大きく空きオヘソまでしっかりと出ていた。それなのにその服はピチッと張り付き体のラインがよく見えて恥ずかしい。
そしてお尻には紐のように細い布が一本あるだけでほぼ丸見えだし、しかもしっかりくい込んでいて気になってしまう。
なにより下半身なんて同色のピッタリしたハイソックスを穿いているだけなのだ。
これはもはや服というより、ほぼ裸と変わらない気がする……。
それと二つ目の違いは、頭についた猫耳だと思う。
犬と猫では耳の形が違うのは当たり前といえばその通りだけど。
「これでデオの乳首とお尻にちんちんまで、いつでもよく見る事ができるね」
「待ってくれないか、こんなに見えたままなのはちょっと……」
「成る程ね……確かにこんな素敵な姿をずっと見せつけられてしまったら、俺の理性がもたないかもしれないよ」
「いや、そう思うなら服については考え直して欲しい……それとこの服に尻尾はないんだよな?」
前の服で、俺はウルにずっと尻尾を入れられていた事を思い出してしまい、ウッカリ余計な事を言ってしまった。
「尻尾?もしかしてデオはそこに何か欲しかったのかな?」
「ち、違う!俺はこの服のままでいいから!」
何かを入れられるのは避けたくて、俺はつい叫んでしまった。
もしずっと尻尾なんてつけていたら、ここから抜け出す事を考える時間さえなくなってしまうかもしれないからだ。
「やっぱりそうだよね。デオのお尻の穴は俺のを入れる為にあるから、他のは入れなくてもいいんだ」
「え、いや……」
そういう意味ではないのだけど、今さら変な事を言って気分が変わってしまったら困る。
しかしそう思ったのに、ガリアは恐ろしい事を言い出したのだ。
「そうか、気がつかなくてごめん。本当はすぐにでも俺に入れて欲しかったんだね。それなら今から俺のでデオの中をいっぱいにして、入れたまま部屋の案内もしてあげるよ」
「お、俺は別にそういう意味で言った訳じゃ……」
否定したいのに、俺は気がつけば後ろにいるガリアに足を広げるように体ごと持ち上げられていた。
そして下には、ガリアの凶悪な男根がそそり立ち俺のお尻を狙っているのが見える。
その事に俺は顔を真っ青にして首を振ったのに、俺の体は勢いよくそれに向けて下されたのだった。
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