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二章
75、悪夢 ☆
しおりを挟む二章そうそう微エロ注意!
ー ー ー ー ー
今日、遂に俺はウルと恋人になった。
だから今の俺は幸せの絶頂だった。
例え、2人とも別々の人とパートナー誓約していたとしても、今俺達はとても幸せなはずだった。
だからその日の夜、俺達は何度も何度も体を重ねて、気がつけば俺は気を失うように眠りについていた。
俺はふわふわする意識のなかで、幸せ過ぎてこれは夢なのではないかと疑ってしまいそうだった。
でも本当に疑わないといけなかったのは、そんな事じゃなかったんだ。
俺はその事をすぐに知るはめになる。
その日、眠りに落ちた俺は暫くして目を覚ました。
しかしその天井や壁は薄紫色で、俺の知っている部屋ではない。それに至る所にモヤがかかっていて、よく見えないところがある。
だから俺はここが夢の中だとすぐにわかった。
疲れて眠った筈なのに夢を見る余裕はあるのかと、呑気に感心していた。
その瞬間までは───。
「やあ、また会えたねデオ。離れてからそんなに経っていないというのに、君に会うのが恋しくて仕方がなかったよ」
「っ!?」
ぼんやりした世界に、突如声と共に現れた相手に俺は驚きの声を上げてしまいそうになるのを押さえ、その名前を呟いた。
「……ガリア?」
そこには、今日ウルから逃亡した筈のガリアの姿があった。
ガリアは唖然とする俺の顔を嬉しそうに見つめると、少し悲しそうに眉を寄せた。
「何でここにいるのかって顔してるけど……悲しいね。デオは俺がどんな存在だったのかもう忘れてしまったのかな?」
どんな存在って、ガリアも悪魔という話だろうか?
確かその中でも夢魔というネーム持ちだったはずで……。
「もしかして夢魔だから……?」
「正解だ。デオが俺の話を覚えててくれて嬉しいよ。そう言う訳で俺は夢魔だから、夢の中に入り込むなんて簡単にできるんだ。嬉しいだろ?」
「嬉しい訳ないだろ。それに悪夢を見せるなんて、俺に直接触れないと出来ない事なんじゃないのか?」
「何を言ってるんだ。俺達はもうパートナーだから、いつでも心は君と共にあるんだよ」
「そんな……」
それが事実だと言うのなら、俺はこれから毎日ガリアの夢を見る事になるのだろうか?
その事に血の気が一気に引いていく。
「だけど安心してくれ、俺が見せてあげるのは悪夢ではなくて、とっても気持ちよくて幸せになれるスウィートな夢の世界だ。だからデオも現実のあんな男より、夢の世界に夢中になれるはずさ」
「は?何言って……って、おい。なんで体が動かないんだよ……!?」
「当たり前だろ?この世界は俺の作り出した世界なんだから。ほら、デオのために素敵な衣装も用意したよ」
気がつけば俺は、裸に黒いベルトだけという姿になっていた。
そのベルトは俺の胸を挟むように横に2本、そしてお尻が強調されるように周りに2本巻きついていた。
勿論男性器にも2本のベルトが巻きついているのが見えて恥ずかしくなる。
「何だ、この格好!?」
「とても良く似合っていて素敵だ。なによりも俺は玩具をつけるのが趣味でね。これで色々と挟みやすくなったね」
「挟むって、何を……」
ニコリと笑うガリアを見て、俺はさらに血の気が引く。
そして俺はこの後の展開を予想できてしまい、すぐにウルに助けを呼ぼうと声を発しようとした。
「や、やめろ……たすけて……っぅっ!っうっ!?え……?」
だけどその名前を呼ぶ事はできない。
確かに言っているはずなのに音が出ていないのだ。
「ぅっ……!?な、なんで……」
「だから言っただろ?ここは俺が作り出した世界だって。だからデオの唇から聞きたくない言葉は言えないようにさせて貰ったよ?」
「そんな……」
「それにさ、どうせデオは俺が帰った後あの男に沢山慰めて貰ったんだろ?」
「…………」
確かにおかしくなる程慰めてもらったけど……。
俺は図星をつかれ目を背ける。
「なる程。デオのがピクピクと反応してるね……もしかして慰められた時の事を思い出して興奮したのかな?……すごく憎たらしいね。だけどそれは、俺がまた沢山塗り潰せばいいだけの事だ」
「や、やめ……」
「大丈夫、ここは夢の中。すぐにあの男の事なんて忘れて、気持ちいい事しか考えられないまま目が覚めるよ」
「俺は絶対にそんな風にはならない……!」
今度こそ思った通りにはいかないからと、俺はガリアを睨みつける。
それなのにガリアは俺の体をいやらしく眺めると、嬉しそうに言った。
「でもデオの乳首は先程からもっと触って欲しそうに、ピンっと立っているようにしか見えないんだけどな」
ガリアは、楽しそうに乳首の先端を弾く。
それも、一度だけじゃなく何度も何度もカリカリと執拗に責めてきたのだ。
「んぁっ!やぁ、やめっ!!」
「口ではそう言っても体は本当に素直だよね、エロくて素敵だ。……だけど、こんなに俺の好みに育つなんてな……」
最後の方は小声でよく聞こえなかったが、何故かガリアはそのまま指の動きも止めて何か考え込んでしまった。
だから気になった俺はつい聞き返してしまう。
「っ……が、ガリア……今、何か……?」
「……ん?ああそうか、俺とした事が触るのを止めてしまっていたんだね」
しかしその答えは返ってこなかった。
「でも自分から言ってくるなんて、そんなに触って欲しかったんだ?」
「ち、違う!」
「それならもっと楽しめる玩具を取り付けてあげよう」
「それも違うからやめろ……」
「デオのやめろは、して欲しいって事だよね?そろそろわかってきたよ」
「違うから、やめ……ぅっ……」
ウルと名前を呼びたくても呼べない俺は、またもや言葉に詰まってしまう。
そしてガリアは楽しそうに右手に細長い4本の玩具を手に取った。
「何……ただの棒?」
「そうだね、ただの棒だよ。でもねこの棒をこうやってベルトに挟んでと」
「んっ!な、何するんだ……」
その棒は左右の乳首を挟むように取り付けられ、しかもベルトに挟まれているので動くことも落ちることもない。
「これでデオの乳首がとても強調されたね」
「やぁっ、ついでに引っ張るなぁ!!」
強調された乳首の摘み心地を確かめるように、ガリアはキュッと俺の乳首を摘んで捻る。
「いい感じだ。後は、その尖った乳首にプルプル震える物を当ててあげたいな。やはりゴツい物よりは、可愛いのをつけてあげよう」
そう言いながら、ガリアはウットリと俺を見つめていた。
その視線に耐えられない俺は、顔を背けてしまう。
それに何故ガリアが、夢まで見せて俺こんな事をするのかわからなくて、俺はポツリと言葉を溢していた。
「何故俺にこんな事……」
「……それは誓約したときに言っただろ?君が好きだからだって。例え目の前に居なくても夢の中で気持ちよくしてあげたいと思う程、俺はデオが好きなんだよ」
「……え?」
その声色は本気で俺の事を好きだと言っているように聞こえた。
だけど今の俺はその感情を受け取る事は出来ない。
「気持ちは嬉しいがそう言われても困る……だって、俺はアイツの事が好きだから」
例え名前が呼べなくても、俺はウルの事が好きだと言っていた。
だってガリアが俺の事を本当に好きだったとしても、俺の気持ちは変わる事はないのだから。
「…………」
しかし俺の言葉に、ガリアはピクリとも動かなくなってしまった。それが気になった俺は、ついそちらを見て固ってしまう。
真顔のガリアからは寒気を感じる程の殺気が溢れ出ていたのだ。
そして俺は、今言うべきでは無かったと後悔したのだった。
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