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一章 本命じゃないくせに嫉妬はやめて!

41、依頼達成報告

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あれから凄く心配していたウルは、わざわざ転移して俺をギルドへと連れて行ってくれた。
そのおかげで無事にたどり着けたのはいいのだけど、何故か俺はまたギルドで好奇の目に晒されていた。

「なんか、凄く見られてないか?」
「それはそうでしょ?朝と帰りで違う格好だし、マントしてるし……きっと皆マントの中が気になるんじゃないかな?」
「そんなわけないだろ?」

そう言われると、俺を見てくる冒険者達がどう想像してるのか、気持ち悪くて頭を振る。
俺はただ報告しに来ただけだから、格好なんて関係ない……。
そう思って、受付のギルド職員さんのところに向かう。

「あ、デオさんお帰りなさいませ!初めての依頼はどうでしたか?」
「依頼は大丈夫でしたよ。ただ、せっかく警告をして下さったのに少し奥まで行ってしまって……」
「ええ!?だ、大丈夫でしたか?」
「ま、まぁ……少しウルに助けてもらいましたから……」

本当は少しどころじゃないけど、あんな目にあったなんて言えないからな……。
それなのに横からウルが口を挟んできたのだ。

「実はシーメトレントにデオが襲われかけたんだよね~?」
「え!シーメトレント!?デオさん、よくご無事で……アイツに捕われると生存確率は50%ぐらいですからね、ウルさんが一緒にいてくれて良かったです。でもあの森にそんな魔物がいるなんて報告はありませんでしたから、調査が終わるまではソロでの侵入は禁止にしないと危険ですね……ちょっと先に報告してきます!」
「は、はい!わかりました……」

まさかそんなに危険な状態だったとは……、これからはソロで行動するから気をつけないと。
どうやら周りの冒険者もシーメトレントの話を聞いて少しザワザワしている。

「シーメトレントってマジかよ?」
「アイツ襲われたのか……想像したらヤベェ……」
「イき狂いながら死ぬとか、少し興味はあるけど怖いよなぁ!」
「じゃあ、アイツのマントの下は……」

数人変態が混じっている気がするが、それよりもここにいる冒険者の殆どにシーメトレントに襲われかけたせいで、服が無いと思われてる気がする。
一応着てるから、マントの中は裸じゃないから!
そう思っても、見せるわけにはいかない。
そんな事を考えていたら、受付のお嬢さんがいつのまにか戻ってきていた。

「すみません、お待たせしました。それと魔物の報告どうもありがとうございました。では、改めてデオさんの依頼達成を確認しますので、素材を回収してもいいですか?」
「あ、はい。これがホーンラビットのツノと、薬草です」

俺はそれぞれの素材が一杯入った袋を二つ机に置いた。
その事に、お嬢さんは何故か一瞬固まる。

「って、量が多過ぎますよ!!?」
「え?量には指定がなかったですが……」
「普通は1日なら10本ぐらいあれば大丈夫ですからね!この勢いだと、根絶やしになっちゃいますから!」
「そ、そうだったのですか……」

なんで何も教えてくれなかったんだと、ウルを見ても首を傾げているだけだった。
もしかしてこいつ……こんな簡単な依頼受けた事ないのか?

「ちょっと数を数えるの大変なので、また後日お金だけ受け取りにきてもらえませんか?」
「それは構いませんが……数日後でも大丈夫ですか?」
「大丈夫です!ギルドカードにちゃんと記録しておきますから!カードお預かりします」

カードを渡すと、専用の魔法陣の上で何かを書き込んでいるようだった。
仕組みはよくわからないが、よく出来てるものだ。

「はい、終わりました!それから、依頼達成です!おめでとうございます。デオさんは思ったよりも強いのですね。だからもしかすると早めに中級になれるかもしれませんよ!」
「ほ、本当ですか?」
「デオ、良かったね!」
「っあ、あぁ……」

ウルも一緒に喜んでくれて嬉しいけど、ちゃっかり俺のお尻をマントの上から触るのをやめろ。
その角度だと、こっちを見てる冒険者から触ってるの見えてるから……。

「でも、まずは慣れる事が大事ですから、簡単な依頼から地道に受けて下さいね?それと、忠告は忘れないようにお願いします!」
「……あ、すみません、次回は気をつけます」

お尻に気を取られ過ぎてて、反応が遅れてしまった。凄く恥ずかしい。
何も気づいてないギルド職員さんからカードを返してもらい、俺達はギルドを後にしようと扉を開けた。

「うわっ!!風がっ!」

扉を開けた瞬間、たまたま突風が吹き抜けた。
その風はあろうことか、俺の着ているマントを捲り上げたのだ。

「デオっ!」

そう名を呼ばれて、ウルがすぐにマントをなおしたのがわかった。
でも振り返った俺の目には、驚きに目を見開く冒険者達の姿が映ったのだった。

まさか、見られた……?

そのまさかだったのだろう、ギルドを出る俺の耳には冒険者達の騒めきが少しだけ聞こえてしまった。

「おい、今の見たか?」
「あ、ああ……可愛いしり……いやハート型だった」
「やはりプレイ中だったか!」
「さすがウルさんだ、センスあるなぁ……」

色々おかしいし、ものすごく恥ずかしい!
見られてしまったのは仕方がないとしても、俺達は別に変なプレイ中じゃない。
それに何やってもウル上げしそうで変だ、ここの人達……。

そう思い、俺達はギルドを離れたのだった。
そんな俺の顔は真っ赤になっていたに違いない。
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