催眠術デリバリー

九条秋来

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催眠術デリバリー その6 アトリエに引っ越し

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リンは透明な自分の手を見て驚き、すぐにその手を引っ込めた。
「これって一体どういう事ですか?私に何か催眠術をかけたのですか」

俺はまた彼女をテーブルの向かいに座ってもらった。
そして探偵社からスマホに送られてきた、彼女の死に関する報告書の写真を見せた。
彼女はそれを真剣に見ていた。
「そうですか、こんな事になっていたとは夢にも思いませんでした。これは結果ですからもう変えることは出来ませんね。これから私はどうすればいいのかしら」
「とりあえず、しばらくこの部屋で俺と一緒に暮らしましょう、それからのことは2人で考えましょう」
「わかりました、と言うのも死んでしまった私が言うのも変ですが・・・」

こうして俺はしばらく彼女と暮らすことになった。
2部屋あるので、俺と彼女の部屋に分けたらまあプライバシーは問題無いが、俺はこんなアパートでは無くもっと大きな家に2人で住む事を考えた。
金ならいくらでもあるのでどっかに家を建てるか、売られている家を買うかだ。

俺はあちこちの不動産屋に行き、あちこちの物件の図面をもらってはアパートに帰り、彼女に見せた。
郊外にあるアトリエみたいな2階建ての中古物件を彼女はとても気に入ったみたいだ。
土地の広さは100坪で、庭スペースも充分ある。東側と南側が公道に接している。
閑静な住宅街で環境は抜群だ。
不動産屋に行き、現金払いでその家を買った。
世の中、金さえあれば何でもすぐに買える。

もしかしたら幸福とやらも買えるかも知れない・・・

家の老朽化したところは全て直し、家の内部は出来る限り最新の設備に変えた。
エレベーターもつけた。
風呂は最新のジャグジーにした。 
外から見たら古いアトリエ風の家で中に入れば最新設備になっているわけだ。

そしてリンと2人で完成したこの家に引っ越した。
クルマで移動中も俺と彼女が手を繋いでいれば、彼女が消えることは無い。
そして、彼女に気にいってもらったこの家で2人の新しい生活が始まった。

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