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猿の惑星プロジェクト その4 西園寺エヴァとの出会い
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「これは一体どういうことだ?」
イーエフ氏は鏡を見てただ驚くばかりだ。
「こんなのは、契約した『猿の惑星プロジェクト』の内容には無かっただろ!」
ベータ社の『猿の惑星プロジェクト』の担当は慌てて言った。
「ご心配なく、全ての事態に備えて保険に入ってもらっていますから」
「いや保険の問題じゃ無いだろ!」
担当者達は慌てふためくばかりだ。
撮影部隊は動画を撮りながら、シャッターボタンを押していく。
このシーンはすぐにメディアに流れた。
視聴者間で様々な無責任コメントが、飛びかった。
『先祖帰りか?』
『無責任・猿の惑星プロジェクト!』
『いや、これは宣伝効果を狙った演出だ』
『猿の仮面をかぶったユーチューバーに過ぎない』とにかくそんなことでイーエフ氏はたちまち有名になった。
イーエフ氏の家の周りはたちまち、メディアに取り囲まれた。
イーエフ氏は考えた。
「もともと退屈な日常から、ほんのちょっと脱け出したかっただけだが、その意味では脱け出しに成功したとも言えるな」
イーエフ氏はメディアの取材を積極的に受けた。
勿論、それに対してギャラを徴収するのは忘れなかった。
本を書いてくれという依頼も来た。そんな物を書くのは苦手だったが、適当に書いただけで発売された本は全てベストセラーになり、いわゆる大金持ちとなってしまった。
テレビやユーチューブを見ると、いつも彼の顔が流れていた。
いや、厳密に言うと彼の顔ではなくて見知らぬ猿の顔だが・・・
そのうち、『婚活省』から、様々な女性を紹介してくれる通知が来た。
イーエフ氏は結婚適齢期なのに、付き合っている女性が居なかったのでとりあえず、婚活パーティーに出掛けてみることにした。
思えば・・・いや思わなくても過去に女性と付き合った経験が無いので緊張気味だったが、女性達の中でも最高人気集中の西園寺エヴァにアタックすることにした。
猿面の彼は敬遠されるかも知れないが、ここは度胸だ。ワインを飲んで勢いをつけてみた。
彼女も何となく彼に視線を送っきている。
思いきって接近すると彼女の方から話しかけてきた。
「チャールトン・ヘストン主演の『猿の惑星』の映画素敵でしたよね」
彼女はあの映画の大ファンらしい。
猿の惑星の話しで2人は盛り上がった。
「あの映画は初めの猿達が現れるシーンで、彼らが英語を使っているシーンで完全にネタバレしているのに、チャールストン・ヘストンの熱演技で最後まで引っ張られましたね」と西園寺エヴァは感動的に言った。
「そうそう、特に自由の女神像が現れるシーンは予想した通りのラストだった、いわゆるカタルシスとかいうやつですか・・・」
どうやらエヴァはチャールトン・ヘストンの大ファンらしいとイーエフ氏は思った。
しかしどう考えてもチャールトン・ヘストンと自分の間にはかなり距離がある。
彼みたいに二枚目ではないし、体格も大分劣る。
しかしこれも何かの縁だと思い、その場は猿の惑星のチャールトン・ヘストン話しで盛り上がった。
「チャールトン・ヘストンの『ソイレント・グリーン』はご覧になりましたか?」
「勿論みましたわ、あの未来の貧困社会で底辺の人々に配給されているソイレント・グリーンという食べ物が実は死んだ人間を材料にしてつくられているのがわかるショッキングなラストでしたわ」
「そうですね。あの映画は現代社会の構造を象徴的に表しているいると私は思っていますがどうでしょう?」
「えっそんなふうに考えている人に初めてあいました、私もそう思ってたのよ」
そんなふうに2人の会話はパーティー終了まで盛り上がった。
交際は上手くいっていた。
そんなある日、ベータ社から連絡が来た。
彼のDNAを調べた結果、探査宇宙船で冷凍睡眠機に入った時に何らかのかたちで猿のDNAが彼の体内に入り、彼の顔に影響が現れたというものだった。
彼はベータ社から提供された猿のDNA除去の薬を飲み始めた。
効果は徐々に現れ元の顔に戻りつつある。
これで晴れてエヴァと何の気がねもなく付き合えるようになる。
メディアにはうけるがいつまでも猿顔ではいられない。
そして探偵社から、ドローン宅急便で調査報告書が飛んできた。
それはエヴァにかんする身辺調査報告書だ。
単なる金目当ての接近とも考えられるので気になって調査を依頼しておいたのだ。
その調査報告書には彼女の実家である西園寺家は指折りの資産家で、父親や彼女自身も、世界中の大企業の株を所有していて、仕事と言えば世界中の株主総会に出席するだけだ。
財産目当ての結婚をするような女では無いと書き出していた。
そしてその先を読み、同封された写真にも目を通していった。
そして彼女がペットの動物と楽しく遊んでいる写真と添えられていたメッセージを見てイーエフ氏は愕然とした。
イーエフ氏は鏡を見てただ驚くばかりだ。
「こんなのは、契約した『猿の惑星プロジェクト』の内容には無かっただろ!」
ベータ社の『猿の惑星プロジェクト』の担当は慌てて言った。
「ご心配なく、全ての事態に備えて保険に入ってもらっていますから」
「いや保険の問題じゃ無いだろ!」
担当者達は慌てふためくばかりだ。
撮影部隊は動画を撮りながら、シャッターボタンを押していく。
このシーンはすぐにメディアに流れた。
視聴者間で様々な無責任コメントが、飛びかった。
『先祖帰りか?』
『無責任・猿の惑星プロジェクト!』
『いや、これは宣伝効果を狙った演出だ』
『猿の仮面をかぶったユーチューバーに過ぎない』とにかくそんなことでイーエフ氏はたちまち有名になった。
イーエフ氏の家の周りはたちまち、メディアに取り囲まれた。
イーエフ氏は考えた。
「もともと退屈な日常から、ほんのちょっと脱け出したかっただけだが、その意味では脱け出しに成功したとも言えるな」
イーエフ氏はメディアの取材を積極的に受けた。
勿論、それに対してギャラを徴収するのは忘れなかった。
本を書いてくれという依頼も来た。そんな物を書くのは苦手だったが、適当に書いただけで発売された本は全てベストセラーになり、いわゆる大金持ちとなってしまった。
テレビやユーチューブを見ると、いつも彼の顔が流れていた。
いや、厳密に言うと彼の顔ではなくて見知らぬ猿の顔だが・・・
そのうち、『婚活省』から、様々な女性を紹介してくれる通知が来た。
イーエフ氏は結婚適齢期なのに、付き合っている女性が居なかったのでとりあえず、婚活パーティーに出掛けてみることにした。
思えば・・・いや思わなくても過去に女性と付き合った経験が無いので緊張気味だったが、女性達の中でも最高人気集中の西園寺エヴァにアタックすることにした。
猿面の彼は敬遠されるかも知れないが、ここは度胸だ。ワインを飲んで勢いをつけてみた。
彼女も何となく彼に視線を送っきている。
思いきって接近すると彼女の方から話しかけてきた。
「チャールトン・ヘストン主演の『猿の惑星』の映画素敵でしたよね」
彼女はあの映画の大ファンらしい。
猿の惑星の話しで2人は盛り上がった。
「あの映画は初めの猿達が現れるシーンで、彼らが英語を使っているシーンで完全にネタバレしているのに、チャールストン・ヘストンの熱演技で最後まで引っ張られましたね」と西園寺エヴァは感動的に言った。
「そうそう、特に自由の女神像が現れるシーンは予想した通りのラストだった、いわゆるカタルシスとかいうやつですか・・・」
どうやらエヴァはチャールトン・ヘストンの大ファンらしいとイーエフ氏は思った。
しかしどう考えてもチャールトン・ヘストンと自分の間にはかなり距離がある。
彼みたいに二枚目ではないし、体格も大分劣る。
しかしこれも何かの縁だと思い、その場は猿の惑星のチャールトン・ヘストン話しで盛り上がった。
「チャールトン・ヘストンの『ソイレント・グリーン』はご覧になりましたか?」
「勿論みましたわ、あの未来の貧困社会で底辺の人々に配給されているソイレント・グリーンという食べ物が実は死んだ人間を材料にしてつくられているのがわかるショッキングなラストでしたわ」
「そうですね。あの映画は現代社会の構造を象徴的に表しているいると私は思っていますがどうでしょう?」
「えっそんなふうに考えている人に初めてあいました、私もそう思ってたのよ」
そんなふうに2人の会話はパーティー終了まで盛り上がった。
交際は上手くいっていた。
そんなある日、ベータ社から連絡が来た。
彼のDNAを調べた結果、探査宇宙船で冷凍睡眠機に入った時に何らかのかたちで猿のDNAが彼の体内に入り、彼の顔に影響が現れたというものだった。
彼はベータ社から提供された猿のDNA除去の薬を飲み始めた。
効果は徐々に現れ元の顔に戻りつつある。
これで晴れてエヴァと何の気がねもなく付き合えるようになる。
メディアにはうけるがいつまでも猿顔ではいられない。
そして探偵社から、ドローン宅急便で調査報告書が飛んできた。
それはエヴァにかんする身辺調査報告書だ。
単なる金目当ての接近とも考えられるので気になって調査を依頼しておいたのだ。
その調査報告書には彼女の実家である西園寺家は指折りの資産家で、父親や彼女自身も、世界中の大企業の株を所有していて、仕事と言えば世界中の株主総会に出席するだけだ。
財産目当ての結婚をするような女では無いと書き出していた。
そしてその先を読み、同封された写真にも目を通していった。
そして彼女がペットの動物と楽しく遊んでいる写真と添えられていたメッセージを見てイーエフ氏は愕然とした。
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