西園寺エヴァの憂鬱

西園寺エヴァの憂鬱 その2 メイドアンドロイド

ルビーの指輪を手にした西園寺エヴァをメイドアンドロイドのビーナが白いポルシェで迎えに来た。
エヴァは助手席に座る。
『この車で良かったですか、高速で跳ばしても家まで４時間かかります。ヘリコプターのほうが良かったのでは・・・』とビーナは言った。
「えっ、あなたヘリコプターも操縦できるの？」
『なんならジェット機も操縦できますよ。飛行場に行って自家用ジェット機に乗り換えますか？』
「いいのよ、今日はポルシェで帰りましょう」

ビーナはエヴァとそっくりの顔に造られたアンドロイドだ。
そっくりな理由は万がいち、エヴァが危険な事態になった時の非常時にエヴァのふりをしてエヴァを守るためだ。
富裕層の人々の多くがこの身代わりアンドロイドを所有している。

低気圧に乗って北への帰り道、エヴァは暇潰しにテレビを見ていた。
テレビは昔流行ったテレビドラマを再放送していた。
それは『あまちゃん』というタイトルのコミカルなドラマだった。
海女を演じる女優が『じぇじぇじぇ』を連発してそその度に周りからの爆笑を得ていた。


そのドラマを見ているうち
「これだわ！」とエヴァが言った。
『えっ何がこれなんですか？』ビーナには何がこれなのかわからない。
「あなたにはわからなくてもいいのよ今はね・・・」エヴァは自信をもって言った。
「そうですか、了解です。今はまったくわかりません」