1ページ分の台本。

恋愛 編

月と太陽と宝物

「月が綺麗ですね」
なんてあなたが言うから思わず笑ってしまったの。
だって月は分厚い雲に隠れて見えないんだもの。

「ねぇ、どうしてそう思うの？」
と意地悪に聞いてみた。

「雲に隠れていてもそこには確かに月があって、
　君のように輝いているんだよ。」

電話越しに聞こえる声は優しくて暖かい。

「私が月なら、あなたは太陽よ。」

そんなベタなセリフに
どちらからともなく笑いがこぼれる。

「それなら、今日も明日も来年も何年先だって
　ずっと君を照らし続けるよ。」

真剣なその言葉と共に“ピンポン”と家のチャイムが鳴る。
目の前にはスーツ姿のあなた。

私が「おかえり」と言うと
あなたは「ただいま」と言う。

当たり前のその言葉が私にとっては
大好きな言葉だったりするの。

ふと、リビングから聞こえる泣き声。
君はどっちに似たのかな。
少し泣き虫なのは私で強がりなところはあなたに似たの。

私もあなたも顔を見合せて微笑むと
2人の大切な宝物の元へと駆け寄る。

今日も明日もこの先ずっとあなたと君を愛しているわ。