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監禁十六日目
監禁十六日目⑥ 引き金
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「まさか、こんな展開になるとはね。ここまで来た人間はいない。君たちは殺したのか、蒼子を」
何も返さないままでいたが、紫音は構わず喋り続けた。
「肉体を持たない“魂”だけでは屋敷から出られない。出てしまえば、消滅してしまう。それが、僕らの背負った業だ」
一歩一歩確実に近づいてくる。しかし、動けなかった。なぜなら、紫音の手には確実にこちらを捉えた銃口が見えていたからだ。
「でも残念ながらゲームオーバーだね。そのまま屋敷に戻れば、君たちには危害を加えるつもりはない。しかし拒むなら、ここが墓場になる。僕の唯一の愛車に傷をつけないように、確実に撃つよ」
紫音の声はいつもとは異なる冷たく、感情のないものになっていた。まるで、蒼子のような。
どうする。優夜は、ナイフを持っていた。落ちていたナイフを咄嗟に持ってきていたのだ。しかし、銃が相手では勝ち目はない。莉乃を庇うように覆い被さるが、意味はないだろう。
一か八か、飛び込むしかない。相討ちになれば、莉乃だけでも助かる。身を呈して救ってくれた莉乃のために、今度は自分が立ち向かうしかない。
たとえ撃たれても、紫音を殺す。
紫音との距離は数メートルまで来ていた。ナイフを取り出し振り向いた。
「抵抗するつもりかい?」
予期していたように紫音は引き金に手を掛けた。間に合わない、撃たれる。それでも優夜は紫音の胸元へ飛び込んだ。
しかし、紫音の身体が突然強張ったように固まった。その刹那、優夜のナイフが紫音の胸に突き刺さっていた。
「……がっ」
という声と共に、紫音は銃を落とした。
「……なぜ……葉……子」
その声を最後にピクピクとさせながら、崩れ落ちた。
優夜は銃を拾い上げた。そして、紫音の頭に向けた。もう躊躇いはない。
「……守ってくれたのか、葉子」
そう呟いて、優夜は引き金を引いた。
何も返さないままでいたが、紫音は構わず喋り続けた。
「肉体を持たない“魂”だけでは屋敷から出られない。出てしまえば、消滅してしまう。それが、僕らの背負った業だ」
一歩一歩確実に近づいてくる。しかし、動けなかった。なぜなら、紫音の手には確実にこちらを捉えた銃口が見えていたからだ。
「でも残念ながらゲームオーバーだね。そのまま屋敷に戻れば、君たちには危害を加えるつもりはない。しかし拒むなら、ここが墓場になる。僕の唯一の愛車に傷をつけないように、確実に撃つよ」
紫音の声はいつもとは異なる冷たく、感情のないものになっていた。まるで、蒼子のような。
どうする。優夜は、ナイフを持っていた。落ちていたナイフを咄嗟に持ってきていたのだ。しかし、銃が相手では勝ち目はない。莉乃を庇うように覆い被さるが、意味はないだろう。
一か八か、飛び込むしかない。相討ちになれば、莉乃だけでも助かる。身を呈して救ってくれた莉乃のために、今度は自分が立ち向かうしかない。
たとえ撃たれても、紫音を殺す。
紫音との距離は数メートルまで来ていた。ナイフを取り出し振り向いた。
「抵抗するつもりかい?」
予期していたように紫音は引き金に手を掛けた。間に合わない、撃たれる。それでも優夜は紫音の胸元へ飛び込んだ。
しかし、紫音の身体が突然強張ったように固まった。その刹那、優夜のナイフが紫音の胸に突き刺さっていた。
「……がっ」
という声と共に、紫音は銃を落とした。
「……なぜ……葉……子」
その声を最後にピクピクとさせながら、崩れ落ちた。
優夜は銃を拾い上げた。そして、紫音の頭に向けた。もう躊躇いはない。
「……守ってくれたのか、葉子」
そう呟いて、優夜は引き金を引いた。
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