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監禁十五日目
監禁十五日目⑰ 単独
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葉子によると蒼子の部屋はこの反対にあるという。このフロアは左右対称になっていて、部屋は横にあるが、その部屋に行くには廊下を回って反対側に行かねばならない。
双子だからこそ、鍵を共有しているということか。疑問はあるが、行くしかない。ところが葉子から意外な言葉が出てきた。
「貴方ひとりで行きなさい」
「……なんで俺がひとりで行かないといけないんだ。そもそも、なんのために、莉乃と」
「紅子様の様子からすると、蒼子様も同じ状態になってる可能性がある。二人は同じ遺伝子なのだから。だとしたら……莉乃を危険に晒せない」
「お姉ちゃん……」
「わかってると思うけど、蒼子様はとても狂暴な性格を持っている。それが加虐的なことに喜びを見出だすことに繋がっている」
頭の中には鞭を振るう蒼子の幸悦の表情が浮かぶ。
「あの紅子様がここまでになっているということは、蒼子様は今、誰も手をつけられないことになっているかもしれない」
「そもそも、わざわざ蒼子の所へ行かなくたって良いじゃないか。いくら鍵があったからといって」
「いえ、必要があるの。なぜなら、外に出る鍵は、今は蒼子様のところにしかないのよ」
「……そうなのか」
「ええ。もちろん紫音様も持っているけど、紫音様は病院に行っているから、今はいない。だから、外へ繋がる扉の鍵は、今は蒼子様しか持っていない」
「お前らが外に出るときはどうしてたんだ」
「私たち使用人でさえ、勝手に出入りはできない。外に出るときは、いつも蒼子様から鍵を借りなければならない。それが、ここの掟」
ようやく出口が近づいてきた。しかし、その為には狂暴化している蒼子と対峙しなければならない。しかし、逆にいえば蒼子さえなんとかすれば、ここを脱出できる可能性があるということだ。
次々と明かされた秘密に、戸惑う気持ちしかない。しかし、莉乃のためにここで立ち向かうしかない。当然怖い、それでも莉乃の不安そうな顔を見ると、徐々に決意が固まってきた。
「わかった。絶対に莉乃に何もするなよ」
殺されかけたからこそ、あんな危険な目に莉乃を遭わせる訳にはいかない。それに、蒼子さえなんとかなれば、ここを出ることができる。
そう信じて、優夜は独り、廊下へと歩み出した。守るために連れ出して、守るために独りになった。
双子だからこそ、鍵を共有しているということか。疑問はあるが、行くしかない。ところが葉子から意外な言葉が出てきた。
「貴方ひとりで行きなさい」
「……なんで俺がひとりで行かないといけないんだ。そもそも、なんのために、莉乃と」
「紅子様の様子からすると、蒼子様も同じ状態になってる可能性がある。二人は同じ遺伝子なのだから。だとしたら……莉乃を危険に晒せない」
「お姉ちゃん……」
「わかってると思うけど、蒼子様はとても狂暴な性格を持っている。それが加虐的なことに喜びを見出だすことに繋がっている」
頭の中には鞭を振るう蒼子の幸悦の表情が浮かぶ。
「あの紅子様がここまでになっているということは、蒼子様は今、誰も手をつけられないことになっているかもしれない」
「そもそも、わざわざ蒼子の所へ行かなくたって良いじゃないか。いくら鍵があったからといって」
「いえ、必要があるの。なぜなら、外に出る鍵は、今は蒼子様のところにしかないのよ」
「……そうなのか」
「ええ。もちろん紫音様も持っているけど、紫音様は病院に行っているから、今はいない。だから、外へ繋がる扉の鍵は、今は蒼子様しか持っていない」
「お前らが外に出るときはどうしてたんだ」
「私たち使用人でさえ、勝手に出入りはできない。外に出るときは、いつも蒼子様から鍵を借りなければならない。それが、ここの掟」
ようやく出口が近づいてきた。しかし、その為には狂暴化している蒼子と対峙しなければならない。しかし、逆にいえば蒼子さえなんとかすれば、ここを脱出できる可能性があるということだ。
次々と明かされた秘密に、戸惑う気持ちしかない。しかし、莉乃のためにここで立ち向かうしかない。当然怖い、それでも莉乃の不安そうな顔を見ると、徐々に決意が固まってきた。
「わかった。絶対に莉乃に何もするなよ」
殺されかけたからこそ、あんな危険な目に莉乃を遭わせる訳にはいかない。それに、蒼子さえなんとかなれば、ここを出ることができる。
そう信じて、優夜は独り、廊下へと歩み出した。守るために連れ出して、守るために独りになった。
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