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監禁七日目

監禁七日目④ 精液

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「あら、射精イッてしまったのね。貴方の精液が手に付いちゃったわ。どうしてくれるの?」
 鼻に精液の臭いが漂う。猿轡で口を塞がれ、鼻で呼吸していた優夜は、その臭いにむせ返りそうになった。
「貴方の出したものの臭いよ。そんな反応してはダメよ」
 猿轡が外され、自由になって咳き込んだ口を、葉子はこじ開け、そこに精液のついた指を差し込んできた。

「や、やめ……」
「貴方が出したものなんだから、しっかり自分で処理しなきゃ」

 口の中に精液の苦味が広がる。昔、元カノの莉乃にふざけ半分で呑ませたことがあったが、まさか、こんなに辛いものだとは。それを笑顔で受け止めた莉乃を思い出す。彼女は、今どこかで元気でいるだろうか。

 緊縛が解かれた。足が於保つかず、床に座り込む。その背中に鞭が飛んできた。蒼子であった。
「優夜様、葉子様の言葉が聞こえなかったのですか」
「……何がだ」

「私は言ったわよ『貴方が出したものなんだから、しっかり自分で処理しなきゃ』と」

 眼鏡の奥の狂気を秘めた目を優夜に向け、ゆっくりと言った。
「貴方が自分でやるのよ、膝をついて、舐めなさい」

 優夜の目の前の床には、今しがた放出された優夜の白濁した精液が広がっていた。

 射精の瞬間、こんな辛く苦しい状況なのに、その瞬間だけは一瞬快楽が訪れた。しかし、その一瞬の快楽が、これから優夜を苦しめようとしていた。

 この二人を前に断る権利など、優夜は有していない。断ればきっと、違う地獄が待ち受けているだけである。

 一度の射精で放出される精液は、個人差もあるが数ミリリットル程度である。お猪口一杯分にも満たない量の精液を優夜は数十分掛けて舐め取った。

 その間、葉子は愉快そうに、蒼子はただ何も言わず見ていた。終わったのを見届けて葉子が言う。
「よくできました。偉い偉い」
 縄をボストンバッグに仕舞いながら、葉子は蒼子に小さな声で言った。
「随分と楽しんでしまったわ。あと、いつもの“アレ”は後で受け取るわ」
「はい、葉子様。ありがとうございます」
 葉子はバッグを手に消えていった。

 しばらくして雨宮が現れた。蒼子を車椅子に座らせ扉へ回転させ始めた。振り向き様に、蒼子は床に座り込んだ優夜を一瞥をくれただけであった。

 口の中の苦味は、いつまでも残り続けていた。
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