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来客
第九話
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第五章 訪問者
「ん……んん」
雪子は目を覚ました。だが、覚ましたはずの視界は真っ暗なままだった。そこで気づいたのは、身体の違和感だった。
手を後ろに回され、テープのようなもので縛られていた。そのテープは、手首から胴体にも巻かれているようで、全く動かすことができない。足も同様に、厳重に幾重にもガムテープが巻かれているようだ。
「何が起きたの?」
真っ暗思わず口をついて言葉が出そうになったが、その言葉は口に貼られたガムテープに塞がれ、目も同様に塞がれているため、何も見えなかった。
パニックになる雪子。その時、聞き覚えのない声が部屋に響いた。
「目を覚ましたのか。ごめんよ、でも騒がれたり、顔を見られるわけにはいかないからさ、そこのガムテープを使わせてもらったよ」
「誰?」
そう思っても、言葉は出ない。
男の声だった。それなりの年齢のようだが、どこか幼さやあどけなさも宿していた声だった。
「最近、この辺りで“仕事”をしていて、君の家は狙ってた家のひとつでさ、窓が開いていて、中を覗くと君が眠っていて、他に人もいなそうだったので、忍び込ませてもらった。目的はお金なんだけどね。
大丈夫、殺したりしないから。と言ってもその状態じゃ信じられないだろうけどね」
その言葉のとおり、見知らぬ男が突然家にいて、身体を拘束されているのだ。大丈夫と言われたところで安心できるはずがない。
それでも男の言葉とトーンは落ち着いていて、そう言うなら大丈夫なのかもしれない、と思えてしまうほど、妙な説得力があった。まるでマジシャンに化かされているような、そんな感覚となっていた。
「……ところで縛る時に気づいたけど、君の肌についた縄の痕はなんだろうね。もしかして、そこのビニール袋に入ってたロープや、ぐちゃぐちゃになったハンカチやガムテープと関係あるのかい?
……もしかして、自分で自分の身体を縛っちゃうような、変態さんなのかい? 」
図星だった。
先程の言葉を訂正する、こんなこと言われて大丈夫なはずがなかった。
雪子は必死に首を振って否定した。本当のことだが肯定できるはずがない。なぜ自分がこんな目に合わなければいけないのだ。
「ん……んん」
雪子は目を覚ました。だが、覚ましたはずの視界は真っ暗なままだった。そこで気づいたのは、身体の違和感だった。
手を後ろに回され、テープのようなもので縛られていた。そのテープは、手首から胴体にも巻かれているようで、全く動かすことができない。足も同様に、厳重に幾重にもガムテープが巻かれているようだ。
「何が起きたの?」
真っ暗思わず口をついて言葉が出そうになったが、その言葉は口に貼られたガムテープに塞がれ、目も同様に塞がれているため、何も見えなかった。
パニックになる雪子。その時、聞き覚えのない声が部屋に響いた。
「目を覚ましたのか。ごめんよ、でも騒がれたり、顔を見られるわけにはいかないからさ、そこのガムテープを使わせてもらったよ」
「誰?」
そう思っても、言葉は出ない。
男の声だった。それなりの年齢のようだが、どこか幼さやあどけなさも宿していた声だった。
「最近、この辺りで“仕事”をしていて、君の家は狙ってた家のひとつでさ、窓が開いていて、中を覗くと君が眠っていて、他に人もいなそうだったので、忍び込ませてもらった。目的はお金なんだけどね。
大丈夫、殺したりしないから。と言ってもその状態じゃ信じられないだろうけどね」
その言葉のとおり、見知らぬ男が突然家にいて、身体を拘束されているのだ。大丈夫と言われたところで安心できるはずがない。
それでも男の言葉とトーンは落ち着いていて、そう言うなら大丈夫なのかもしれない、と思えてしまうほど、妙な説得力があった。まるでマジシャンに化かされているような、そんな感覚となっていた。
「……ところで縛る時に気づいたけど、君の肌についた縄の痕はなんだろうね。もしかして、そこのビニール袋に入ってたロープや、ぐちゃぐちゃになったハンカチやガムテープと関係あるのかい?
……もしかして、自分で自分の身体を縛っちゃうような、変態さんなのかい? 」
図星だった。
先程の言葉を訂正する、こんなこと言われて大丈夫なはずがなかった。
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