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自縄
第三話
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「……わたしもこんな風に縛られてみたい」
画面の向こうの女たちの悦楽した表情、それは雪子の脳内の奥深くに種を宿し、どんどんと育っていった。縛られた姿に何度も自分を重ね、縛られたらどうなってしまうのだろうと夢想した。
しかし、高校生の雪子にとって緊縛の世界はとても足を踏み出せるものではなかった。そもそも男との付き合いもないし、いたとしても自分の身体を縛ってくれなんて、そんなこと頼めるわけがない。
緊縛への憧れを秘めたまま雪子は日々を過ごしていた。そんなある日、ネットでこんな言葉を見つけた。
《自縛の方法》
その存在を知った時には、胸のときめきを感じた。縛られるには、誰か協力者がいなければならない。 しかし世の中、そう簡単にパートナーが見つかるものではない。そんな緊縛愛好家たちの一部が行っているのが《自縛》という行為であるという。
その多くは、縛られてみたいけれど相手がいないという者が、自慰行為的に行うものであるようだった。中には緊縛の練習のために自分を縛る者もいるようだ。
頭の中で膨らむ緊縛への願望を抑えきれなくなっていた雪子は、自縛の方法のページを見つめ決意した。それから、ネットを駆使して様々な自縛方法を見ていった。
そして両親のいない日を狙い、それを実行に移すことにしたのだ。
部屋着のままでは雰囲気が出ないため、高校の制服であるセーラー服に着替える。気持ちはさながら、放課後の帰り道で連れ去られ監禁されてしまう少女になろうとしていた。
「……始めよう」
第二章 自縛
二つ折りにしたロープを手に取る。まずは足の拘束からだ。
二つ折りにしたロープ、その折り返し部分を揃えた両足首にロープを巻きつけていく。二周ほど巻いた後、固結びにする。それから両足の間にロープを通した。ネットで見つけた緊縛方法で、こうすることで、より拘束感が増し、ほどけにくくなるそうだ。
足の間を通したロープを、最初足首に巻いたロープに引っかける。ゆっくりだが、自分の身体の自由が奪われていくことに、ドキドキと鼓動が鳴る。それは自分の身体を飛び出し部屋中に響くようであった。
余った縄を更に膝の上へ引っ張り、太腿の膝寄り辺りに三周程巻きつける。足首と同様に、腿の間にロープを通し、巻きつけたロープに垂直になるように合わせ、結ぶ。不恰好であったが、なんとか形になった。
試しに足を捩ってみる。
「……動けない」
足首と太腿を拘束したことで、足の自由はすっかり奪われていた。それを確認すると身体の中が熱くなるのを感じた。
次は、口を塞ぐ番だ。雪子はハンカチを手に取り、几帳面に折り畳むと、口の中に押し込んだ。小さな口に吸い込まれたハンカチを吐き出せないように、ガムテープを何枚か切り取り、口に貼った。
口内のハンカチが水分を奪い、少し息苦しくなったが、それよりも、これで声が出せなくなった。ハンカチを噛みしめながら雪子は、その背徳感に心を染めていた。
「すごく恥ずかしい……でも……」
ロープやガムテープは雪子の心までも拘束していた。
画面の向こうの女たちの悦楽した表情、それは雪子の脳内の奥深くに種を宿し、どんどんと育っていった。縛られた姿に何度も自分を重ね、縛られたらどうなってしまうのだろうと夢想した。
しかし、高校生の雪子にとって緊縛の世界はとても足を踏み出せるものではなかった。そもそも男との付き合いもないし、いたとしても自分の身体を縛ってくれなんて、そんなこと頼めるわけがない。
緊縛への憧れを秘めたまま雪子は日々を過ごしていた。そんなある日、ネットでこんな言葉を見つけた。
《自縛の方法》
その存在を知った時には、胸のときめきを感じた。縛られるには、誰か協力者がいなければならない。 しかし世の中、そう簡単にパートナーが見つかるものではない。そんな緊縛愛好家たちの一部が行っているのが《自縛》という行為であるという。
その多くは、縛られてみたいけれど相手がいないという者が、自慰行為的に行うものであるようだった。中には緊縛の練習のために自分を縛る者もいるようだ。
頭の中で膨らむ緊縛への願望を抑えきれなくなっていた雪子は、自縛の方法のページを見つめ決意した。それから、ネットを駆使して様々な自縛方法を見ていった。
そして両親のいない日を狙い、それを実行に移すことにしたのだ。
部屋着のままでは雰囲気が出ないため、高校の制服であるセーラー服に着替える。気持ちはさながら、放課後の帰り道で連れ去られ監禁されてしまう少女になろうとしていた。
「……始めよう」
第二章 自縛
二つ折りにしたロープを手に取る。まずは足の拘束からだ。
二つ折りにしたロープ、その折り返し部分を揃えた両足首にロープを巻きつけていく。二周ほど巻いた後、固結びにする。それから両足の間にロープを通した。ネットで見つけた緊縛方法で、こうすることで、より拘束感が増し、ほどけにくくなるそうだ。
足の間を通したロープを、最初足首に巻いたロープに引っかける。ゆっくりだが、自分の身体の自由が奪われていくことに、ドキドキと鼓動が鳴る。それは自分の身体を飛び出し部屋中に響くようであった。
余った縄を更に膝の上へ引っ張り、太腿の膝寄り辺りに三周程巻きつける。足首と同様に、腿の間にロープを通し、巻きつけたロープに垂直になるように合わせ、結ぶ。不恰好であったが、なんとか形になった。
試しに足を捩ってみる。
「……動けない」
足首と太腿を拘束したことで、足の自由はすっかり奪われていた。それを確認すると身体の中が熱くなるのを感じた。
次は、口を塞ぐ番だ。雪子はハンカチを手に取り、几帳面に折り畳むと、口の中に押し込んだ。小さな口に吸い込まれたハンカチを吐き出せないように、ガムテープを何枚か切り取り、口に貼った。
口内のハンカチが水分を奪い、少し息苦しくなったが、それよりも、これで声が出せなくなった。ハンカチを噛みしめながら雪子は、その背徳感に心を染めていた。
「すごく恥ずかしい……でも……」
ロープやガムテープは雪子の心までも拘束していた。
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