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フラルアルド王国編

69話 主人公、宝箱を開ける

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「ご褒美って何?もしかして!宝箱とか?」
「なになに?宝箱なの?」
 サクラとモミジが喜んでいる。

 僕は黄金だらけの宝物庫を、ドラゴンの瞳で見渡す。すると、一番奥の方に大きな宝箱の気配を感じる。

 ソラが言っていたのは、これだな。

「これみたいだよ!開けてみようよ。きっと、良いものが入ってると思うよ。」
 僕はみんなに開けるように促す。

 ドラゴンの瞳で見た宝箱からは、嫌な気配は全くしない。イタズラ好きなソラのことだから、何かあるかもって思ってたけど、大丈夫そうだ。

 こんな事も分かるようになるなんて。
 ソラのレッスンのおかげだ!

「じゃあ、開けるよ。」
 シオンが代表で宝箱を開ける。

 古文書らしき本が2冊。
 見るからに斬れ味の良さそうな刀。
 見たことのない形状の銃。
 以上の品が、宝箱の中に入っていた。

 本はリオンとシオンに、刀はサクラに、銃はモミジに、だな。

 ソラは僕の記憶から、みんなが喜びそうなものを用意したんだ!
 ドラゴンって、ホント万能だな!

 本を手にしたリオンとシオンは、すごく驚いている。
「これって!ライルが言ってた空白の歴史について書かれてるんじゃない?」
「そうだよ!こっちの本には大いなる呪いについての記載があるよ。しかも、どちらもものすごく状態が良い!」
「うん!古代文字だから、これ以上は読めないけど、ライルに渡したらすごく驚くよ!」
「そうだね!ライルなら、解読できるかも!」

 どうやら、とても貴重な本らしい。リオンとシオンはすごく喜んでいる。

 サクラとモミジもそれぞれ手に取り、じっくりと観察している。

「この刀!材質が分からない!すごく貴重なものだよ!」と、サクラ。

「うん!この銃も初めて見るよ!早く帰って、親方に見てもらおうよ!」と、モミジ。

 2人とも、とても興奮している。

 全員とても喜んでくれたようだ。
 ソラ!ありがとね!僕は心の中で、ソラに感謝した。

 それぞれご褒美も貰ったし、帰るとしますか!

「じゃあ、みんな!そろそろ帰ろうか?」
 この僕の言葉で、遺跡探検は終了したのだった。



 ジルの工房に戻ってきた。

 帰ってくるなり、リオンとシオンはライルに連絡をしている。
 セシルさまへの連絡は、古代神殿を出た場所でしてくれていたが、今はアースに行っているから、返事が来るまでに時間がかかるかもと言っていた。

 ライルの興奮した声が聞こえる。古代神殿で手に入れた本は、ものすごく貴重なものだったようだ。

 話が長くなりそうだな。

 サクラとモミジは、古代神殿で手に入れた武器をジルに見せて、材質はどうだ?とか、威力はどうだ?とか、いろいろと実験を始めてしまった。

 ジルには金色のリブロスを渡して、ソラというドラゴンに会ったと話してある。きっとあのリブロスの実験もするのだろう。

 ジル達も、僕の事は眼中にないようだ。

 外を見ると、もう、すっかり日が暮れている。みんな忙しそうだから、僕はログハウスに戻ってゆっくりしようかな?

 そう思いながら外に出た僕に、誰かが声をかけてきた。

「そこの貴方!ジルはどこですの?案内しなさい。」

 ジルの工房の灯りで見えたのは、中世の貴族のようなドレスを着た派手な女の人だった。年は僕と同じくらいだろうか?

「あのっ、どちら様ですか?」

「まぁ!私を知らないなんて!どこのど田舎に住んでいたのかしら!仕方ないから、名乗ってあげます。私の名前は…。」

 その彼女の言葉をさえぎって、ジルの声がした。
「おぅ!ウメコじゃないか!もう来たのか!早いな!なんか騒がしいから出てきてみれば。ウメコが一番乗りだぞ!」と、ジルは嬉しそうに話し掛けているが、ウメコと呼ばれた女性は、ワナワナしている。

「私をその名前で呼ばないで!っていつも言ってるでしょ!!!」
 ものすごく怒っている。

「おぉ。すまんなぁ。」
 謝っているが、あまり気にしてない様子のジル。

 この人、誰なのかな?
 僕が疑問に思っていると、ジルが紹介してくれる。

「タクミ!こいつはウメコ、じゃなかった、ジョセフィーヌ。造形家だよ。」

 造形家?ジルはチームを作るって言ってたから、その中の一人かな?

「はじめまして、ジョセフィーヌ。僕はタクミです。」とあいさつするが、ジョセフィーヌからの反応がない。

 あれ?あいさつの仕方、間違えたかな。

「ジル。まさかとは思いますが。この貧相で、何の取り柄も無さそうな、まさに平々凡々とした、この男が、そうなのですか?」と、感情を押し殺したような声で、ジョセフィーヌが言う。

 なに?なんだよ?
 僕が不思議に思う。

「そうだ!このタクミこそ、お前が一番会いたがっていた、ドラゴンだ!!!」というジルの言葉に、あからさまに嫌な顔をするジョセフィーヌ。

 そりゃ、僕は平凡な顔ですけどね。そんなにショックを受けなくても。

 この反応は、ちょっとヒドくないですか?
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