上 下
2 / 247
序章

2話 主人公、異世界に行く

しおりを挟む
 

 ここはどこだろう?
 僕は不思議な浮遊感の中にいた。頭がぼんやりする。でも身体は軽い。まるで自分の身体じゃないみたいだ。

 バサァ、バサァ、何かが羽ばたいてる音がする。
 んんっ?僕、空を飛んでる?
 んんんっ?僕の手ってこんなんだったか?

 身体は硬い鱗に覆われ、手足には鋭い爪、そして背中には羽。

 これってまさか…。

 ドラゴン!

 僕、ドラゴンになってる!
 なんだよ、これ!

 それに、ここは、何処どこだろう?
 見たこともない景色。だけど、なんだか懐かしいような景色。見渡す限り砂地が広がっているようだ。かなり遠くに山並みが見える。

 遠くの山並みに気を取られていると、ドカンっ!僕の目の前で炎が弾けた。飛んでる僕に、地上から攻撃してくる誰かがいる。ダメージはほとんど無いが、数が多い。

 もう、やめろって!

 僕はそう叫んだつもりだったが、口から炎が出た。僕、口から炎吐けたんだ!すごいなぁ!って、僕、いま、ドラゴンだった!

 地上からの攻撃はますます過激になる。羽に爆炎が当たり、僕はそのまま地上に落ちていった。

「おい、これワイバーンじゃないぞ。まさかドラゴン?」
 地上に落ちた僕に近づいてくる一人の男が不思議そうに僕を見ている。が、僕は地上に落ちた影響で、視界がボンヤリとして、相手がよく見えない。

「この大陸に出現する怪異かいいは討伐していいってルールだろ!倒しゃいいんだよ!俺の討伐数にカウントしてやるぜ!」
 血の気の多そうなもう一人の男がそう言いながら、攻撃を加えようとする。
「いや、マズイって。確認した方がいいって。」
「いま王宮にメッセージを送ったから、待てって。」

 と、そこへ一際体格の良い男が現れた。
「その獲物を仕留めるは待ってくれ。」

「おい!横取りする気か?」
 さっきの血の気の多い男が怒鳴りながら、男に近づく。

「あっ!ガルシア様!なんで王様がここに?」
「すまんなぁ、そのドラゴンは訳ありでな。討伐は中止にしてくれ。頼むよ。」
 血の気の多い男は、周りの男たちを見やる。
「仕方ねえ。王様に頼まれたら断れねぇな。おいっ、お前らもいいよな。」
  他の男たちも、仕方ないなぁという感じで応じる。
「ガルシア様。貸しですよ。今度、酒でも飲ませてくださいね。」

「おう!今度、秘蔵の酒をたらふく飲ませてやるよ。」
 ガルシアと呼ばれた男は陽気に応じる。男たちは、ガルシア様に頼まれたらイヤと言えないよなぁ、と妙に納得した表情でその場を離れていった。

「さて。おい、そこのドラゴン。意識はあるか?」
 僕のこと?
「あの、僕は。」
 話そうとすると、口から炎が出た。
「おいっ!危ねえな!口で話そうとするな。思っていることを心で伝えるつもりで集中してみろ。」
 思っていることを心で伝える?
『あの、ここはどこなんでしょう?』
「おっ、やれば出来るじゃねぇか!しっかし、第一声がそれかよ。」
 ガルシアと呼ばれていた男は豪快に笑う。
「ここはガンガルシア王国。この世界にある七つの国の一つで、闘いの国だ!そして、俺はこの国の王、ガルシアだ!」
 なんだかドヤァ感がある顔で説明してくれている。
『あの、ガルシアさま。僕はどうして…』

「おっ。お前のことを説明してくれるヤツが着いたようだぞ。」
 ガルシアが僕の後ろの方を見る。

「間に合ったようじゃな~。」
 なんだか呑気のんきな声がする。あの美少女だ!美少女と無表情な美女、そして可愛らしい少年がゆっくりと近づいてくる。

「やはりドラゴンでしたか。ガルシアさま。保護していただき、ありがとうございます。」
「トールよ。説明してくれや。」
 トールと呼ばれた子供が僕の方へ歩いてくる。
 ジーッと見ている。
 なに?なんだか恥ずかしいんだけど…。

「うん、間違いないです。彼はドラゴンの先祖返りだと推察されます。」
「マジか!先祖返りかよ!超がつくレア物じゃねぇか?まさかアースにいたとはなぁ。」
 ガルシアがはしゃいでいる。

 あの、僕のことですか?僕にもわかるように説明してくださいよ。僕はもう泣きそうになっていた。

「はじめまして、ドラゴンさん。僕はトールと言います。あなたの名前は何と言うのですか?」
『あっ。こちらこそ、はじめまして。僕の名前は田中拓海と言います。』
 返事をした後、思わず名刺交換するような動作をしてしまった。サラリーマンの癖が抜けない。ドラゴンが名刺交換。シュールな光景だ。

「ふふっ。タクミさんですね。」
 トールは微笑みながら、僕の目を覗き込んでくる。
「タクミさん。僕の目をみてください。」
 あれっ、トールの目って金色?綺麗だなぁ。
「タクミさん。ゆっくりと自分の姿を思い出してください。僕が手伝いますから、元の姿に戻りましょう。」

 元の姿?えっと、僕の姿は…。
 背が高くもなく、低くもなく、体重も重くもなく、軽くもなく、いわゆる中肉中背。でもって、30過ぎには見えないっていつも言われてたなぁ。再就職の採用に落ちまくったのは、もしかして、この童顔が影響してたのかも…。

 考えていると、ふいに身体が変化した。
「あっ、僕の手だ!」
 声も出た。
「はい、大丈夫ですよ。ちゃんと元に戻れましたよ。」
 トールの優しい声が聞こえた。

「お~、無事に戻ったか。田中よ。」
 可愛い声なのに、なぜかおじいちゃんのような話し方。あの美少女だ。
「よぅ、セシル!お前、今回はまったく役に立たなかったな!ガハハ。」
「いいのじゃ!我は《怠惰》じゃからのぅ。できれば何もしたくないのじゃ!」
 と、よくわからない言い訳をしている。

「田中よ。気分はどうじゃ?まだ消えてしまいたいか?」

 そうだ。僕は会社をクビになって。
 仕事ができない僕は社会から必要とされない存在で、無価値で。だから、消えてしまいたいって…。なんだかドロドロとした大きな影に包まれていたような気がするが…。
 消えてしまいたい?あれっ、なんでそんなこと考えてたのかわからないっていうくらい、清々しい気分になっている自分がいた。

「なんだか元気です。頭の奥であんなにモヤモヤしてたものが無くなったというか、なんというか…。」

「ふふっ、ドラゴンになって力が解放された影響でしょう。」
 トールが説明してくれる。
「そうか、グールに覆われても意識があったのはドラゴンの血が発現はつげんしていたからじゃったか。」
「グールはその人間の本性を呼び覚ましますからね。普通のアースの人間であれば、こちらに出現した際に、身体は消失して、グールの動力源とされてしまいますよ。」
 トールは僕を優しい目で見ながら続ける。
「タクミさんの場合は、こちらに出現した時点でドラゴンの力が具現化。その膨大な力の爆発でグールが吹き飛んでしまった、というところでしょうか。」

「よぅ、ところでタクミ。いつまで裸でいる気だ?」
 えっ? ガルシアに言われて気づいた。僕、まっ裸で女の子の前に!
「うわぁ~!」
「ほいっ、コレ着ろよ。」
 ガルシアが服を手渡してくる。あれっ、これどこから出したの?ガルシアを見ると左手の甲が光っている。
「日本の男が着る服はこんな感じだろ?ほれ、靴。」
 空中の何もないところから、靴が出現した。
 なに?どうなってるの?まるで手品だ。
「深く考えるなよ。お前もゲームくらいやったことあるだろ?ドラ○エとか、ファイナルファン○ジーとか。そういう感じだと思っておけよ。」
 目が点になりながら着替える僕に、ガルシアは軽い感じで答える。

「っていうか、ここ、日本じゃないですよね?ましてや、僕が住んでいた世界じゃないですよね!」
「お~っ、タクミ。よく気づいたな。賢いぞ。」
 いやいや、バカにしてますよね。ガルシア様!なんで、ド○クエとか知ってるんだろう?

「そうじゃ、田中よ。此処ここはの、お前のいたアースとは違う世界。いわゆる異世界というヤツじゃ。そして、タクミよ。お前はこの世界の人間だったという訳じゃ!」
 美少女がドヤ顔で言う。ガルシアさんといい、ここの世界の人はドヤ顔好きなのかなぁ。

「マスター、まずは田中に自己紹介を。」
 無表情美女が美少女に自己紹介を促す。
「言ってなかったかのぅ。われの名前はセシルじゃ。よろしくな!」
 にっこり笑って自己紹介をしてくれる。可愛い!
「僕の方こそよろしくね。セシルちゃん!」
「セシルちゃん?田中!マスターはこの世界にある天空の国、セシリアの王です。無礼な振る舞いは許しませんよ。」
 美女が迫ってくる。こっ怖い…。

「エル、待つのじゃ。田中はまだ目覚めたばかり。大きな心で接するのじゃ。」

「ふふっ。じゃあ、次は僕の番ですね。」
 トールが近づいてくる。
「僕は学者の国、マルクトールの王でトールです。」
 可愛い顔でびっくり発言!
「トールくんって王様なの?ごめん、トールさまって呼んだ方がいいよね?」
 チラリと無表情美女を見る。あれっ?怒ってこない?
「トールくんで大丈夫ですよ。彼女はエル。エルはセシルねえさまの忠実な従者なのです。セシルねえさまに対する態度にだけ厳しいのですよ。それに、僕は王様といってもまだ修行の身ですから。」

 トールくんって、なんて良い子!僕にはまだ子供がいないけど、こんな子が僕の息子だったらなぁ。

「ところで、田中よ。いまの自分の状況はわかるか?」
 セシルが聞いてくる。
「あっ、えっと。僕は先祖返りというヤツで、ドラゴンなんですよね?」

「うむ。分かっているようじゃの。田中はこの世界にいた竜種の末裔まつえいじゃ。この世界のドラゴンはヒトに姿を変え、ヒトと恋をすることがあった。しかし、ドラゴンの能力は人間にはほとんど受け継がれない。劣性遺伝というヤツじゃな。じゃが、まれに何世代かたった子供にドラゴンの能力が発現する場合がある。トールがそうじゃ。」

 えっ、トールくんって。

「はい、僕も、まだうまく変現へんげんできませんけど。」
 そう言いながら、トールは集中し始める。ポァと淡い光がしたと思ったら、そこにはいままでの姿とは違う格好のトールが立っていた。頭には角、背中には羽、鋭い爪、さらにお尻には尻尾が生えている。でも体格も顔もトールのままだ。

半ドラゴンといったところだろうか?

「これが僕の変現した姿です。タクミさんとは違うでしょ?タクミさんは先祖返りと言って、ドラゴンの姿、そのものになれます。僕はドラゴンの血が濃く出ただけで、基本はヒトですよ。」

「じゃあ、僕はもうヒトではないってこと?」

「うむ。お前はもう、こちらの世界、エレメンテでしか生きられないのぅ。田中は何歳なのじゃ?」

「僕は今年35歳ですけど…。童顔で、年齢通りに見られたことはないです。」

「それもそのはずじゃ。竜種の寿命は約2,000年。20歳くらいまでは普通に成長するが、そこからは容姿は変わらん。つまり、見た目には歳をとったようには見えなくなるということじゃな。」

「えっ、僕はずっとこのままなんですか?」

「向こうの世界で暮らすのは、困難じゃろうな。それに、何かの拍子にドラゴンに変現でもしたら、アースは大混乱じゃな!」

 なんか少し嬉しそうに話すセシルさま。面白がってますよね?

「おい、セシル、トール。タクミに説明することが山程あるだろ?こんな砂漠のど真ん中じゃ、説明聞いてる間に干からびるからよぉ。ひとまず王宮へ行こうぜ。」
 ガルシアが声をかけた。

「おお、そうじゃな!久しぶりに王宮で朔夜の料理を馳走になるとしようか!」
 セシルがはしゃいでいる。が、そのおじいちゃん口調と美少女の姿のギャップがものすごく気になる。

「おーい、準備できたぞ。」
 ガルシアの方を見ると、やはり左手の甲がほのかに発光している。僕たちがガルシアに近づくと、光が大きくなり、眩しいと感じた瞬間、5人の姿は砂漠から消えていた。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

箱庭から始まる俺の地獄(ヘル) ~今日から地獄生物の飼育員ってマジっすか!?~

白那 又太
ファンタジー
とあるアパートの一室に住む安楽 喜一郎は仕事に忙殺されるあまり、癒しを求めてペットを購入した。ところがそのペットの様子がどうもおかしい。 日々成長していくペットに少し違和感を感じながらも(比較的)平和な毎日を過ごしていた喜一郎。 ところがある日その平和は地獄からの使者、魔王デボラ様によって粉々に打ち砕かれるのであった。 目指すは地獄の楽園ってなんじゃそりゃ! 大したスキルも無い! チートも無い! あるのは理不尽と不条理だけ! 箱庭から始まる俺の地獄(ヘル)どうぞお楽しみください。 【本作は小説家になろう様、カクヨム様でも同時更新中です】

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

【完結】暁の荒野

Lesewolf
ファンタジー
少女は、実姉のように慕うレイスに戦闘を習い、普通ではない集団で普通ではない生活を送っていた。 いつしか周囲は朱から白銀染まった。 西暦1950年、大戦後の混乱が続く世界。 スイスの旧都市シュタイン・アム・ラインで、フローリストの見習いとして忙しい日々を送っている赤毛の女性マリア。 謎が多くも頼りになる女性、ティニアに感謝しつつ、懸命に生きようとする人々と関わっていく。その様を穏やかだと感じれば感じるほど、かつての少女マリアは普通ではない自問自答を始めてしまうのだ。 Nolaノベル様、アルファポリス様にて投稿しております。執筆はNola(エディタツール)です。 Nolaノベル様、カクヨム様、アルファポリス様の順番で投稿しております。 キャラクターイラスト:はちれお様 ===== 別で投稿している「暁の草原」と連動しています。 どちらから読んでいただいても、どちらかだけ読んでいただいても、問題ないように書く予定でおります。読むかどうかはお任せですので、おいて行かれているキャラクターの気持ちを知りたい方はどちらかだけ読んでもらえたらいいかなと思います。 面倒な方は「暁の荒野」からどうぞ! ※「暁の草原」、「暁の荒野」共に残酷描写がございます。ご注意ください。 ===== この物語はフィクションであり、実在の人物、国、団体等とは関係ありません。

ボーンネル 〜辺境からの英雄譚〜

ふーみ
ファンタジー
大陸の端に存在する小国、ボーンネル。 バラバラとなったこの国で少女ジンは多くの仲間とともに建物を建て、新たな仲間を集め、国を立て直す。 そして同時にジンを中心にして世界の歯車は動き出そうとしていた。 これはいずれ一国の王となる少女の物語。

悪行貴族のはずれ息子【第1部 魔法講師編】

白波 鷹(しらなみ たか)【白波文庫】
ファンタジー
★作者個人でAmazonにて自費出版中。Kindle電子書籍有料ランキング「SF・ホラー・ファンタジー」「児童書>読み物」1位にWランクイン! ★第2部はこちら↓ https://www.alphapolis.co.jp/novel/162178383/450916603 「お前みたいな無能は分家がお似合いだ」 幼い頃から魔法を使う事ができた本家の息子リーヴは、そうして魔法の才能がない分家の息子アシックをいつも笑っていた。 東にある小さな街を領地としている悪名高き貴族『ユーグ家』―古くからその街を統治している彼らの実態は酷いものだった。 本家の当主がまともに管理せず、領地は放置状態。にもかかわらず、税の徴収だけ行うことから人々から嫌悪され、さらに近年はその長男であるリーヴ・ユーグの悪名高さもそれに拍車をかけていた。 容姿端麗、文武両道…というのは他の貴族への印象を良くする為の表向きの顔。その実態は父親の権力を駆使して悪ガキを集め、街の人々を困らせて楽しむガキ大将のような人間だった。 悪知恵が働き、魔法も使え、取り巻き達と好き放題するリーヴを誰も止めることができず、人々は『ユーグ家』をやっかんでいた。 さらにリーヴ達は街の人間だけではなく、自分達の分家も馬鹿にしており、中でも分家の長男として生まれたアシック・ユーグを『無能』と呼んで嘲笑うのが日課だった。だが、努力することなく才能に溺れていたリーヴは気付いていなかった。 自分が無能と嘲笑っていたアシックが努力し続けた結果、書庫に眠っていた魔法を全て習得し終えていたことを。そして、本家よりも街の人間達から感心を向けられ、分家の力が強まっていることを。 やがて、リーヴがその事実に気付いた時にはもう遅かった。 アシックに追い抜かれた焦りから魔法を再び学び始めたが、今さら才能が実ることもなく二人の差は徐々に広まっていくばかり。 そんな中、リーヴの妹で『忌み子』として幽閉されていたユミィを助けたのを機に、アシックは本家を変えていってしまい…? ◇過去最高ランキング ・アルファポリス 男性HOTランキング:10位 ・カクヨム 週間ランキング(総合):80位台 週間ランキング(異世界ファンタジー):43位

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

お兄様のためならば、手段を選んでいられません!

山下真響
ファンタジー
伯爵令嬢のティラミスは実兄で病弱の美青年カカオを愛している。「お兄様のお相手(男性)は私が探します。お兄様を幸せするのはこの私!」暴走する妹を止められる人は誰もいない。 ★魔力が出てきます。 ★よくある中世ヨーロッパ風の世界観で冒険者や魔物も出てきます。 ★BL要素はライトすぎるのでタグはつけていません。 ★いずれまともな恋愛も出てくる予定です。どうぞ気長にお待ちください。

悪行貴族のはずれ息子【第2部 魔法師匠編】

白波 鷹(しらなみ たか)【白波文庫】
ファンタジー
※表紙を第一部と統一しました ★作者個人でAmazonにて自費出版中。Kindle電子書籍有料ランキング「SF・ホラー・ファンタジー」「児童書>読み物」1位にWランクイン! ★第1部はこちら↓ https://www.alphapolis.co.jp/novel/162178383/822911083 「お前みたいな無能は分家がお似合いだ」 幼い頃から魔法を使う事ができた本家の息子リーヴは、そうして魔法の才能がない分家の息子アシックをいつも笑っていた。 東にある小さな街を領地としている悪名高き貴族『ユーグ家』―古くからその街を統治している彼らの実態は酷いものだった。 本家の当主がまともに管理せず、領地は放置状態。にもかかわらず、税の徴収だけ行うことから人々から嫌悪され、さらに近年はその長男であるリーヴ・ユーグの悪名高さもそれに拍車をかけていた。 容姿端麗、文武両道…というのは他の貴族への印象を良くする為の表向きの顔。その実態は父親の権力を駆使して悪ガキを集め、街の人々を困らせて楽しむガキ大将のような人間だった。 悪知恵が働き、魔法も使え、取り巻き達と好き放題するリーヴを誰も止めることができず、人々は『ユーグ家』をやっかんでいた。 さらにリーヴ達は街の人間だけではなく、自分達の分家も馬鹿にしており、中でも分家の長男として生まれたアシック・ユーグを『無能』と呼んで嘲笑うのが日課だった。だが、努力することなく才能に溺れていたリーヴは気付いていなかった。 自分が無能と嘲笑っていたアシックが努力し続けた結果、書庫に眠っていた魔法を全て習得し終えていたことを。そして、本家よりも街の人間達から感心を向けられ、分家の力が強まっていることを。 やがて、リーヴがその事実に気付いた時にはもう遅かった。 アシックに追い抜かれた焦りから魔法を再び学び始めたが、今さら才能が実ることもなく二人の差は徐々に広まっていくばかり。 そんな中、リーヴの妹で『忌み子』として幽閉されていたユミィを助けたのを機に、アシックは本家を変えていってしまい…? ◇過去最高ランキング ・アルファポリス 男性HOTランキング:10位 ・カクヨム 週間ランキング(総合):80位台 週間ランキング(異世界ファンタジー):43位

処理中です...