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ベアルダウン王国編
181話 主人公、暗黒大陸を冒険するー3
しおりを挟むタムとカシムの攻撃が効いているのか、砂のガーディアンが、突如、動かなくなる。
これは…、効果があったのか?
が、様子を探っていた僕はゾクリとする気配を感じて、全員に聞こえるように叫ぶ。
「タム、カシム!そいつから離れて!みんな、すぐに防御結界を!来るよ!!!」
僕が叫ぶと同時に、砂のガーディアンの形が崩れ、僕達の真下からガルシアを襲った棘が出現する。
「「危なかったぁ。タクミ、ありがと!」」
リオンとシオンが、ライルとガルシアを守るように防御結界を展開している。
他のみんなも防御結界が間に合ったようだ。
良かった!全員、怪我はないようだな。
「タクミ、警告ありがとう!僕達パートナー精霊は、周囲やパートナーの反応を瞬時に感じとって結界を展開するんだけど、特殊な攻撃だと間に合わないことがあるんだよ。今のは危なかったよ!」
僕の肩の上のミライが興奮している。
「そうなんだ。良かったよ。間に合って。なんかスゴく嫌な気配がしたんだ。」
「うん。あの砂のガーディアンは普通じゃない。あいつの攻撃は、僕達パートナー精霊には感じられない。僕達はどんな危険にも反応できるように、常にバージョンアップしている。なのに反応できないってことは、初めて対する相手ってことだ。」
「それって…、つまり。」
「最高に危険な相手ってことだよ!気を抜かないで!防御結界では防げない攻撃が来るかも!」
全員が、この砂のガーディアンは危険だと認識する。
僕達を襲った棘は、それぞれ小型のガーディアンに変形する。
数が増えた…。
さっきのタムとカシムの攻撃は効いてなかったということか?
「ジル!核があるんじゃなかったのかい?」
ユーリはドラゴノイドに変現して、1人で2体を相手にしている。
タムもカシムも、それぞれガーディアンの相手をしている。
僕はユーリと同じようにドラゴノイドに変現して、ジルのところに駆け寄る。
ジルは病み上がりだ。助けなくては!
が、ジルは紋章システムからバカでかい斧を出して、ガーディアンを粉砕していた。
おっと、助けは必要ないみたいだ。
ジルは王宮歴が長い。戦闘も得意なのだろう。
ジルが斧でどれだけ砕いても、ガーディアンは再生する。
「これは困ったな。これだけ砕けば、普通なら核も消滅するはずなんだが。こいつらには弱点が無いのか?」
「ジルにも分からない?」
「いや、核を粉砕している手応えはある。なのに再生してくる。何か秘密があるはずだ。そうだ、タクミ。ドラゴンの瞳は本質を見抜く力があるのだろ?何か見えないか?あのガーディアンの中心あたりだ。」
ジルに言われた僕は、金色の瞳でガーディアンを凝視する。
たしかに力の塊があるのが分かる。ジルが本体ごと核を砕くのも確認できた。が、すぐに核ごと再生する。
んっ?再生する時に核が一瞬光るな。
ジルの向こうでは、ユーリが2体を撃破するのが見えた。が、やはり2体とも再生する。
やっぱり、再生する時に一瞬光るな。しかも他のガーディアンの核も同時に光る。
同時に光る?もしかして…。
「タム、カシム!ガーディアンの中心に核がある。それぞれ、核を狙って攻撃して!」
「分かったべ!」
タムが武器を長槍に変えて、ガーディアンの中心を砕く。砕かれた後、一瞬光ってから再生する。
「ココですね!」
カシムも弓矢で核を砕く。やはり同じだ。
「分かったぞ!この核は連動してるんだ!」
「どゆこと?」
ミライが可愛く聞いてくる。
「ガーディアンは全部で9体。全てのガーディアンの核は同じものなんだよ。だから、それぞれ砕いてもダメなんだ。9体の核を同時に砕く必要があるんだよ!」
「オイオイ、冗談だろ。こいつらは一体でもかなりの強さだ。いくらアタイが強くても2体の核を同時に砕くのは無理だよ。」
ユーリが叫ぶ。
「それなら、1人1体倒せばいいんだろ?俺とライルもやれば問題ないぜ。」
ガルシアが立ち上がって歩いてくる。
「ガルシア様!キズは?大丈夫なの?」
「おぅ!ライルの治癒は、この世界最高クラスのエル仕込みだからな。すっかり元どおりだ。」
治ったとしても、ガルシアの戦闘能力でガーディアンを相手にできるのか?
ライルは強いからガーディアンの1体や2体、サクッと倒せるだろう。リオンとシオンもこの小型のガーディアンなら核を砕くのは問題ないと思うが。ガルシア様って…。
「ガルシア様!コレを!」
カシムが紋章システムから何かを出して、ガルシアに手渡す。
ガルシアくらいの丈がある銃だ。
「ガルシア様の背丈って180cmくらいはあるよね?そんなに大きな銃って…。」
「あい!スナイパーライフル(狙撃銃)だよ!」
「おぅ!俺は普通のヒトだ。防御力ゼロだから、接近戦は苦手なんだ。俺の闘い方は、遠距離からこれで一撃ってのが多くてな。」
いやいや!そんな大きな銃を使いこなせるの?反動もスゴイはず!
ガルシア様って体格もいいし、強そうだとは思ってたけど。これを支えるための筋肉だったんだ!
「それじゃ、始めるとするか。1人1体同時撃破!タクミはドラゴンの瞳で確認して、タイミングを指示してくれ!みんな、いいな!」
ガルシアの指示で、僕達はそれぞれ撃破するガーディアンを決めて、相対する。
「ミライ、危ないから少し離れたところで待つんだ。自分の身が危ないと感じた時は防御結界を使うんだよ。僕は大丈夫だから。」
「あい!タクミ、がんばってね!」
よし!それじゃ、やるとしますか!
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