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イリステラ王国編

157話 主人公、ドラゴンの本質を知るー2

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 転移した先は、不思議な空間だった。

 〈カップル専用ダンジョンへようこそ~〉と書かれた光り輝く看板がある。

 これは…。繁華街とかにある、光る看板!

『恋人達よ、ようこそ~!今からカップル対抗でゲームを楽しんでもらうよ!協力して頑張ってね!早くゴールできた2人にはご褒美を進呈~!では、はじめるよ!』

 どこからともなく、声が聞こえる。

 この声はソラ!そして、この強引な進め方はソラ!間違いない!

「えっ?なに?何が起こるの?」
「んだ。どうなってるべ?」
「あらぁ、なにかしらねぇ。」

「みんな!今からはじまるゲームをクリアするとソラに会えるから、頑張ろう!僕はこのソラに会いに、ここまで来たんだよ。」

「そうだっただか。事情はよく分からないだが、タクミのために頑張るだよ!」
「うん!ティアも頑張る!」

『では、それぞれのカップルで、こちらの場所に移動してもらうよ!』

 以前ソラが造った闘技場のようなステージが2つ現れる。タムとイリス、僕とティアはそれぞれのステージに上がる。すると、目の前の空中に何かが表示される。

 あっ!これは、スゴロクだ!

『サイコロを振って、出た目の数だけ進めます!最初にゴールまでたどり着いたカップルの勝ちだよ~!では、はじめるよ!こっちのカップルからね!仲良く投げるんだよ~!』

 僕とティアの目の前に大きなサイコロが現れる。

「タクミ、これどうするの?」
「このサイコロを投げるんだよ。ほらっ、せーの!」

 出た目は6だ。やったね!

『6マス進むよ。〈彼女の女子力を試してみよう。浴衣作りに挑戦!〉』

 なに?それ?

『今から彼女に浴衣作りに挑戦してもらうよ!完成したら、サイコロを投げられるから、頑張ってね!』

 嘘だろ~!順番じゃないんだ!?

 材料と完成図を見たティアは、「大丈夫だよ、タクミ!これ、作ったことあるよ!」と言うと、早速作りはじめる。

 えっ?早い!手際がとてもいいし。

「うふふっ、うちのティアは女子力最高クラスよぉ!ティアは、500年以上も王宮のお母さん役だったのよ!」
 イリスが自分のことのように、ティアの自慢をしている。




『じゃあ、次はこっちのカップルね。サイコロ投げて!』

 タムとイリスが投げたサイコロの目は、3だ。

『3マス進むよ。〈彼氏のかっこいいところ見てみたい!ガーディアンを10体倒せ!〉』

 なんだ、それ?

「オラの番だか?戦闘は、あまり得意じゃないだが、仕方ないべ。碧、アレを出すだよ!」

 タムの周りにガーディアンが現れる。
 以前見たガーディアンと同じ形だ。だとすると、かなりの強さのはず。

 タム、大丈夫かなぁ。
 が、僕の心配は全く必要なかった。

 タムは碧が出した武器を受け取ると、次々にガーディアンを撃破していく。

 つ、強い!タムって、すごく強かったんだ!しかもタムは碧が出す武器をすべて使いこなしている。
 剣、槍、弓、銃、そして拳。

「しばらく戦闘訓練してないだで、身体が鈍ってるだ。ちょうどいい運動だべ。」

 あっという間にガーディアンを撃破したタム達は、再びサイコロを投げる。

「タクミぃ、ごめんね。もう少しで完成するから。」
「ティア、大丈夫だよ。スゴロクは、早くサイコロを投げてもダメなんだよ。」
「えっ、そうなの?」
「まぁ、見ててごらん。」

『次は5進む。〈2人の時間を楽しもう!一回お休み〉だよ!お茶とデザートを用意したから、2人でゆっくりお話ししてね~』

「なんだべ?何をするだべ?」
「タム、それは一回お休み。僕達がサイコロを投げるまで進めないってことだよ。」
「なんだべ、そのルール!」
「それがスゴロクだよ!」

 タムとイリスは、僕達がサイコロを投げるのをお茶を飲みながら待っている。仲良く話をしている光景は、まるで恋人同士のようだ。

 あれはあれで、うらやましい! 

「タクミ、完成したよ!」
 ティアが浴衣に着替えている。

 かっ、可愛い!

『なかなかのデキだ!合格~!じゃあ、サイコロをどうぞ!』

 サイコロを投げて出たマスの指示に、僕は困惑する。

『〈対戦チャンス!〉これは、カップル対抗だよ!じゃあ、2人でこれをくわえて、両端から食べてね。早い方が勝ちだよ~』

 目の前に現れたのは、チョコレートがついた細長い焼き菓子。

 これって、◯ッキーだよね?

「ふふふっ!対決なら負けないわよ!」
 イリスが張り切っている。

「タクミぃ、こっちからくわえるんだよね?」
 ティアが反対からくわえて、僕を待っている。が、無理!ティアと顔が近いよ!
「なに恥ずかしがってるの?負けちゃうよ!」

『用意、はじめ!』

 僕が戸惑っている間に、イリスがすごい速さでポッ◯ーを食べきる。が、タムは口を押さえて悶えている。勢い余って、イリスに噛み付かれたようだ。

「ふふん、私の勝ちね!」
 イリスがドヤ顔をしている。




 こんな感じでゲームは進んでいき、タムとイリスはあと少しでアガリとなる。

「私達の勝ちのようねぇ!」
 イリスが勝利宣言をするが、僕はまだ諦めていなかった。

 これがスゴロクなら、アレがまだあるはず!

「4が出たら、ゴールだべ。」
「あらぁ、残念、3よ。でもあとひとつだしね。勝ったわねぇ。」

『3マス進む!〈仲良しな2人には2人の時間をもっと楽しんでもらうよ!ふりだしに戻る!〉』

 やっぱり!これがあったか!

「えっ?なに?どういうことよぉ!」
「なんだべ?どうなってるべ?」
 タムもイリスも、戸惑っている。

「これがスゴロクだよ!ふりだしに戻るってマスがあるんだよ!」

「なによ、それぇ~!!!」
 イリスの叫び声が響き渡った。



 その後、僕とティアは順調にマスの指示をこなし、無事ゴールする。
『先にゴールしたカップルにはご褒美を進呈!こちらへどうぞ!』
 その声と同時に、僕とティアの姿はそこから消えた。

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