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異世界こんにちわ
5,側近とし……、いや、論理的にも物申したい
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魔王様が小柄な……、何があった?
汗をかいて、青ざめた顔の少年を連れてきた。
おそらくは、成人していないだろう顔立ちだ。
まさか……!
さらってきたのでは……!!!
「ま、魔王様っ!!その子供は!?」
もう1人の側近が、魔王様に子供をどうして城に連れてきたのか問いかける。
「俺の生涯の伴侶だ。」
あっけらかんと言う。
あまりのことにぽかんと口を開けて驚いた。
「はっ!そんなことよりも、亜希が刺されたんだ!治してくれ!!」
魔王様は先程のあっけらかんとした空気をなかったようにし焦ってその子供を治してくれと言った。
「分かりましたが、こんな状態だと少し危ないです。幸いにも急所は外れているため命に別状はありませんが……。あの、早く渡してくださいませんか?」
魔王様がなかなか差し出してくれないので治療ができないといい子供を渡してもらおうとする。
長年魔王様に仕えているが、こんなに焦った魔王様は初めて見た。
「だ、だがっ!!」
「助けたいのでしょう?さぁ、早く。」
あまりに焦らすのでイラッとする。
分かりました。魔王様が渡したくないと渋るのならこちらにも考えがあります。
「魔王様、この子供を殺してしまうのですね?」
「なっ!?」
魔王様は顔を青くして声を上げる。
「まさか、なんの罪のない子を失血死させようとするとは……。魔王様も人が悪い。」
もう1人の側近は、こちらを見てうわぁという顔をしていた。
後で、仕事を増やしておきましょう。
「そんなわけない!」
そういい、渋々だったが優しくこちらに渡してきた。
「あぁ。大丈夫そうです。ポーションをかけて気を失っているうちに縫いましょう。」
「おい!あとを残すなよ!?」
「はぁ。私の腕を疑っているんですか?」
「いや、その、疑ってはいないが……。」
「あぁ。1回で治さない理由ですか?」
「あ、あぁ。そうだ。」
「俺も気になるなぁ。」
「まぁ、そうですね。理由は1つこの子が魔素慣れしていないからですね。」
そういいながら、処置を進める。
ポーションをかけて治った表面以外をしっかり見て針を刺して縫っていく。
「うへぇ。痛そう。」
「あぁ……!亜希ッ!」
側近は、いたそうと言いながら顔を顰め、魔王様は見ていられないというように顔をおおった。
「はい。治療完了です。まぁ、一応様子は見なくてはいけないですが。ところで、魔王様違う世界から人をさらってきたようですがもう既にこちらの人になる準備が始まっています。」
「あっと……。」
「まじ!?この子異世界人なの!?」
「みたいですね。魔素慣れしてないのもそのせいみたいです。さて、話を聞こうじゃありませんか。」
ずずいっと魔王様に迫ると魔王様は顔を青ざめさせながら事情を話した。
曰く、彼が刺されたため以前から計画していたが我慢ならず連れてきたらしい。
「あなたは!馬鹿ですか!?彼の同意無く連れてくるなんて!拒絶反応が起こったらどうするつもりだったんですか!!!」
ちなみに、拒絶反応とは世界を渡った際に起こる体の拒否反応のこと。渡ろうと思って、さらに世界を渡れるものが手を貸したらごく低確率でしか発生しないが無理やり連れてきてしまった場合、体が受け入れていないため高確率で発生する。
「はあ。彼が、こちらの世界に同化してくれる準備をしてくれてほんと良かったです!じゃないと最悪大変なことになってましたよ!」
また、同化とはこちらの世界に馴染むことで、体がこちらの世界にいる似たような生き物に変化していくこと。
私は、彼を覗き込みながら、
「ふむ、彼は魔族になるみたいですけど……。なんの魔族になるんでしょうね……。完全に同化するまで1週間はかかるみたいですね。」
と言った。
その言葉に魔王様ともう1人の側近も興味津々で彼を見ていた。
もう1人の側近side
「魔王様ってぇ、この子のこと伴侶って言ってたけど…………。ロリコンなのかなぁ……?確かに可愛くて襲いたいくらいだけどぉ。流石に10歳くらいの子をねぇ。」
ほんと、どんな思考回路してるんだかわかんないなぁ。
だから、面白いんだけどね。
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