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いつもの日常の変化
2,ぐっさりいきました
しおりを挟む亜希side
正気に戻ったのは、大家さんが消防車を呼び炎が消されてからだった。
またひとつ溜息をつきながら、今日はどうしようかと考える。
「はぁ。」
懐具合も少々、いやかなり寂しい。
通帳やカードは家にあったから引き出しはしばらくできないだろう……。
「今日は野宿かなぁ。」
ぽつりとそうつぶやき、人気のない方へとふらふら歩く。
職も失ったし、家も燃えたし、お財布寂しいしなんでこんなことになってるんだ。
ケチらずに、色々保険に入っておけばよかった。
ポロポロと色々キャパオーバーなせいか涙が出てくる。
「ずビッ!」
鼻をすする。
なんでこんな目にあうんだか。
そんなことを考えながら、路地裏に入る。
変質者に間違えられたら今度こそ生きていけないだろう。
その瞬間、鳩尾から耐え難い痛みが襲った。
「ぅぐっ!いっ!?」
思わず倒そうになるとふわりと羽にでも触れたように優しい手つきで抱きしめられた。
ぼんやりとした脳みそで必死に考える。
何が起こった?
刺された。
痛い。寒い。熱い。苦しい。
痛みやらなんやらで正常に判断できないが抱きしめられている?
なんで?
僕を刺したのはこの人では無さそうだ。
耳がキーンとして聞きづらかったが走っていく足音がした。
『亜希、や……。…れ……く……。』
優しく、そして悲しそうに僕を呼ぶ声がした。
『……んね。』
そこから、僕は起きていられなくて意識を手放した。
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