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六話目
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目が覚めるとベットで寝ていた。ベットに付属しているデジタル時計が午前8時をさしていて、起き上がると全身が痛く、何個も切り傷やアザが見つかった。
無性にお腹が空いて何か食べなければ、と思いリビングに行ったがおばさんが作ってくれる朝ごはんはない。もしかしたらおばさんは私に失望したのかもしれない、と思いながら台所の一番下の棚を漁りカップラーメンを取り出す。一緒に風邪薬も出てきたが、適当に棚に戻しお湯を沸かし始める。
お湯が沸くのをじっと待ちながら昨日のことを考える。私が気絶した後どうなったのか、どうやっておじさんの怒りが収まり、何故私はベットで寝ていたのか、わからないことはいくつもあるが、考えたところでわかることではない。目線をポットに戻すと、お湯は沸き上がった後だったようでポットは静かになっていた。
もやもやした気持ちを抱えながらカップラーメンにお湯を注ごうとポットを傾けるが、邪念からか狙いを外れカップラーメンを支えていた私の手にかかってしまった。電気を流されたような衝撃が走り皮膚が赤く腫れ上がる。火傷の痛みに悲鳴を上げながら、その場でしばらく悶え苦しんだ。
正気を取り戻りし水道で火傷した手を洗い流す。ヒリヒリした感触が皮膚から伝わるが、水につけている間は心地いい。軟膏を塗りカップラーメンを食べようと今度は手にかからないように、カップラーメンを抑えず慎重に注ぐ。途中カップラーメンが倒れそうになったが、何とか持ち堪えゆっくりとお湯を注いだ。
3分が経ちカップラーメンが完成し、少し歓喜しながら麺を少し持ち上げて息を吹きかける。この前と同じ失敗はしないと思いながら、口に入れたラーメンはこの前のような目新しい美味しさは感じなかった。
慣れてしまえばこんなものか、そんな寂しさを痛感しながらカップラーメンを完食する。片付けを済ませ部屋に帰った後は、やることがなくベットに寝転び後の配信のことを考えていた。
大体言うことは決まっている。みんなありがとうと、お別れが寂しいけどみんな笑顔でいてほしいだ。サクはファンのことを心の底から思っているからこの言葉を伝えるはずだ。
たとえサクがいなくなったとしても、ファンのみんなが悲しまないような配信にするはずだ。最後の配信は明るく、楽しく、元気に、を心がけるだろう。悲しんでいる姿はもちろん涙なんか絶対に見せないだろう。
なんだかサクに元気付けられているよな気がしてきた。私達ならやれるよ、どこからかそんな声が聞こえてくる。そんな声援を抱えながら私はベットで居眠りをしてしまった。
起きた時にはもう外は暗くなり始め、デジタル時計を確認すると午後4時だった。私は飛び起き急いで配信の準備をする。配信の準備は最低でも30分は掛かり、今の寝起きの声ではまともな声が出ないため声出しをしないといけない。
焦りからか手元が狂いなかなか準備が進まない。やっとの思いで準備が終わり時計を確認するともう5時半を過ぎようとしていた。急いでDメガネを起動しお気に入りの曲を流す。前半はスローテンポだが後半にかけてアップテンポになるこの曲は声出しにはちょうどいい。1回目は小さな声で歌い2回目からはお腹から声を出して歌う。
3回目を歌い終わり今日の声は絶好調だと確信する。午後5時55分私は時計を一瞥し、ベットに横たわる。ネックフォンを首にかけお腹の中からフーッと息を吐き出し目を閉じた。
「今日の配信一緒に頑張ろうね…」
どこからか聞こえてきた声にそのまま頷く。ネックフォンの起動音が妙に大きく聞こえる。次の瞬間目を開けるといつもの配信部屋が目に飛び込んできた。
無性にお腹が空いて何か食べなければ、と思いリビングに行ったがおばさんが作ってくれる朝ごはんはない。もしかしたらおばさんは私に失望したのかもしれない、と思いながら台所の一番下の棚を漁りカップラーメンを取り出す。一緒に風邪薬も出てきたが、適当に棚に戻しお湯を沸かし始める。
お湯が沸くのをじっと待ちながら昨日のことを考える。私が気絶した後どうなったのか、どうやっておじさんの怒りが収まり、何故私はベットで寝ていたのか、わからないことはいくつもあるが、考えたところでわかることではない。目線をポットに戻すと、お湯は沸き上がった後だったようでポットは静かになっていた。
もやもやした気持ちを抱えながらカップラーメンにお湯を注ごうとポットを傾けるが、邪念からか狙いを外れカップラーメンを支えていた私の手にかかってしまった。電気を流されたような衝撃が走り皮膚が赤く腫れ上がる。火傷の痛みに悲鳴を上げながら、その場でしばらく悶え苦しんだ。
正気を取り戻りし水道で火傷した手を洗い流す。ヒリヒリした感触が皮膚から伝わるが、水につけている間は心地いい。軟膏を塗りカップラーメンを食べようと今度は手にかからないように、カップラーメンを抑えず慎重に注ぐ。途中カップラーメンが倒れそうになったが、何とか持ち堪えゆっくりとお湯を注いだ。
3分が経ちカップラーメンが完成し、少し歓喜しながら麺を少し持ち上げて息を吹きかける。この前と同じ失敗はしないと思いながら、口に入れたラーメンはこの前のような目新しい美味しさは感じなかった。
慣れてしまえばこんなものか、そんな寂しさを痛感しながらカップラーメンを完食する。片付けを済ませ部屋に帰った後は、やることがなくベットに寝転び後の配信のことを考えていた。
大体言うことは決まっている。みんなありがとうと、お別れが寂しいけどみんな笑顔でいてほしいだ。サクはファンのことを心の底から思っているからこの言葉を伝えるはずだ。
たとえサクがいなくなったとしても、ファンのみんなが悲しまないような配信にするはずだ。最後の配信は明るく、楽しく、元気に、を心がけるだろう。悲しんでいる姿はもちろん涙なんか絶対に見せないだろう。
なんだかサクに元気付けられているよな気がしてきた。私達ならやれるよ、どこからかそんな声が聞こえてくる。そんな声援を抱えながら私はベットで居眠りをしてしまった。
起きた時にはもう外は暗くなり始め、デジタル時計を確認すると午後4時だった。私は飛び起き急いで配信の準備をする。配信の準備は最低でも30分は掛かり、今の寝起きの声ではまともな声が出ないため声出しをしないといけない。
焦りからか手元が狂いなかなか準備が進まない。やっとの思いで準備が終わり時計を確認するともう5時半を過ぎようとしていた。急いでDメガネを起動しお気に入りの曲を流す。前半はスローテンポだが後半にかけてアップテンポになるこの曲は声出しにはちょうどいい。1回目は小さな声で歌い2回目からはお腹から声を出して歌う。
3回目を歌い終わり今日の声は絶好調だと確信する。午後5時55分私は時計を一瞥し、ベットに横たわる。ネックフォンを首にかけお腹の中からフーッと息を吐き出し目を閉じた。
「今日の配信一緒に頑張ろうね…」
どこからか聞こえてきた声にそのまま頷く。ネックフォンの起動音が妙に大きく聞こえる。次の瞬間目を開けるといつもの配信部屋が目に飛び込んできた。
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