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第14話 1546年(天文十五年)8月 鷺浦(さぎうら)
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6月に横田を下賜された時、晴久からまたまた近習をあてがわれた。もうこれは家臣団といっていいだろう。戦国武将らしくなってきた。
後見として中井駿河守久包。中井は俺と晴久、菊の繋ぎ役だ。近習として立原源太兵衛久綱、横道兵庫介、熊谷新右衛門の三人が加わった。それに横田の代官に任命されていた森脇市正久仍が副代官として俺を手伝ってくれる。これで元いた本田、米原と合せて7人。それぞれに役割を与えよう。本田と米原は側に置きながら農業とモノ作りを担当させる。立原は諜報だ。まだ俺の諜報能力は弱い。急ぐ必要がある。鉢屋以外の忍びの者も必要かと思っている。
横道、熊谷は軍事部門。俺の直轄軍担当にする。森脇は事務方だな。
次は軍か。直轄軍が必要だ。武装も槍や弓矢、刀だけでなく新兵器を導入したい。鉄砲の生産は始まっている。問題は硝石だ。自前で作りたいがいきなり大量には作れない。自作を進めながらもやはり交易で手に入れる方が現実的か。アユタヤでたくさん手に入らないかな。
あと弩を作らせている。矢に毒を塗れば殺傷力は高まる。まずは弩隊を組織しようと思う。そのために横田に流民を集め軍に選抜する。早速横道、熊谷には働いてもらわないといけない。
それぞれ動き出し一ヶ月近く経った。今日俺は鷺浦にいる。目的は鷺銅山だ。大森銀山より前、室町時代から開発されている銅山でここの鉱夫が大森銀山を見つけたそうだ。
ここで南蛮吹きを行う。銅吹き職人の伊右衛門に知っていることを教える。三日目なんとか形になってきた。
「若様。もう少しで物にできますけ」
「よし、後は頼んだぞ」
「ははっ」
これで今まで取りきれなかった銅鉱石に含まれる銀を取ることが出来る。この技を持って大森銀山に食い込み銀山衆の取り込みを行なう。大森銀山は直轄化する。それと全国から銅を集めよう。銅銭がいいな。貨幣鋳造も視野に入れておこう。
鷺浦の町を見て回る。ここは水軍の基地にしようと思っていたが、銅山経営を考えると基地はなしだな。宇龍も鉄の積み出し港だ。基地は再検討が必要だ。
少し足をのばして宇龍の港に行き船に乗る。
「若、どちらへ」
本田の問いに答える。
「のろの洞窟だ」
四半刻ぐらい船に揺られ目的地に着いた。船の上から洞窟を眺める。
「中に入れ」
この洞窟は通り抜けることができる。抜けると天然のプールだ。先は反対側の海に繋がっている。
「若、ここになにかあるのでしょうか」
「いや、夢のお告げに出てきたので来てみたのだ。特になにもなかったな。大黒様のお告げには分からん事もあるのだな」
「左様でございましたか」
「よし、戻るぞ」
洞窟を後にしながら前の世界をなつかしんでいた。此処には楽しい思い出しかない。
よし、明日からこの出雲で生き抜こう。もう一度心に思った。
後見として中井駿河守久包。中井は俺と晴久、菊の繋ぎ役だ。近習として立原源太兵衛久綱、横道兵庫介、熊谷新右衛門の三人が加わった。それに横田の代官に任命されていた森脇市正久仍が副代官として俺を手伝ってくれる。これで元いた本田、米原と合せて7人。それぞれに役割を与えよう。本田と米原は側に置きながら農業とモノ作りを担当させる。立原は諜報だ。まだ俺の諜報能力は弱い。急ぐ必要がある。鉢屋以外の忍びの者も必要かと思っている。
横道、熊谷は軍事部門。俺の直轄軍担当にする。森脇は事務方だな。
次は軍か。直轄軍が必要だ。武装も槍や弓矢、刀だけでなく新兵器を導入したい。鉄砲の生産は始まっている。問題は硝石だ。自前で作りたいがいきなり大量には作れない。自作を進めながらもやはり交易で手に入れる方が現実的か。アユタヤでたくさん手に入らないかな。
あと弩を作らせている。矢に毒を塗れば殺傷力は高まる。まずは弩隊を組織しようと思う。そのために横田に流民を集め軍に選抜する。早速横道、熊谷には働いてもらわないといけない。
それぞれ動き出し一ヶ月近く経った。今日俺は鷺浦にいる。目的は鷺銅山だ。大森銀山より前、室町時代から開発されている銅山でここの鉱夫が大森銀山を見つけたそうだ。
ここで南蛮吹きを行う。銅吹き職人の伊右衛門に知っていることを教える。三日目なんとか形になってきた。
「若様。もう少しで物にできますけ」
「よし、後は頼んだぞ」
「ははっ」
これで今まで取りきれなかった銅鉱石に含まれる銀を取ることが出来る。この技を持って大森銀山に食い込み銀山衆の取り込みを行なう。大森銀山は直轄化する。それと全国から銅を集めよう。銅銭がいいな。貨幣鋳造も視野に入れておこう。
鷺浦の町を見て回る。ここは水軍の基地にしようと思っていたが、銅山経営を考えると基地はなしだな。宇龍も鉄の積み出し港だ。基地は再検討が必要だ。
少し足をのばして宇龍の港に行き船に乗る。
「若、どちらへ」
本田の問いに答える。
「のろの洞窟だ」
四半刻ぐらい船に揺られ目的地に着いた。船の上から洞窟を眺める。
「中に入れ」
この洞窟は通り抜けることができる。抜けると天然のプールだ。先は反対側の海に繋がっている。
「若、ここになにかあるのでしょうか」
「いや、夢のお告げに出てきたので来てみたのだ。特になにもなかったな。大黒様のお告げには分からん事もあるのだな」
「左様でございましたか」
「よし、戻るぞ」
洞窟を後にしながら前の世界をなつかしんでいた。此処には楽しい思い出しかない。
よし、明日からこの出雲で生き抜こう。もう一度心に思った。
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