39 / 40
39話
しおりを挟む
――女神エウポリア様、どうか我々の想いにお応えください――
二人の声が重なった。
しかし、虹水晶が変わらず淡く光るのみ。
――一刻。
二人はそのままだ。
まるで、出てくるまで止めない。
そう言わんばかりに。
しかし、顔に焦りも不安も苛立ちもなかった。
柔らかく穏やか。
自然体、そうした感じだ。
やがて、虹水晶が反応する。
瞬く間に辺りは光に包まれる。
先ほどの誓約の儀の時の光よりも強烈だと思われた。
そして、二人の目の前。
微笑みを湛えた女性が浮かんでいた。
揺らめくような光そのものといった存在だ。
二人は目を開けた。
そして、アティアは、両膝を。
ヒーロスは片膝をついて傅《かしず》いた。
二人の頭の中に直接声が聞えて来る。
――二人とも、顔をお上げなさい――
二人は、顔を上げる。
そして、アティアがさっそくと願い出た。
「エウポリア様、厚かましい事は重々に承知しております。ですがどうか、どうか、願いをお聞き届けいただけないでしょうか?」
――その願いは聞き届けられません――
「な、何故でございますか!?」
「アティア、少し落ち着こう」
ヒーロスは、アティアの肩に手を置いた。
それから、女神に顔を戻す。
「既に天界から見られていた事と思います。我々の願いもご存じの事と。わざわざ、ご降臨なされたのは、断りを入れるためとは思えません」
――では、何故とお思いですか? 若きアノイトスの王ヒーロスよ――
「……提案と条件……でしょうか?」
「どういう事?」
アティアは、ヒーロスに尋ねる。
ヒーロスは答えない。
女神を見詰めている。
やや間があって。
――よろしいでしょう。聖女アティアの力を返上させます。そ……――
アティアには、その言葉が青天の霹靂だったのだろう。
仰天して、すぐさま申し出る。
「お待ちください!? それではっ……!」
「アティア。最後までエウポリア様の話しを聞こう」
「……も、申し訳ございません……」
――良いのです。驚くのも無理からぬことでしょう。全知全能の大御神様が、わたくしをここへ、お使わしになられたのです。その時に、一つの提案と条件を受け入れるかを、お示しくださいました――
黙して聞く二人に、女神は続ける。
二か国に四季を与える。
代わりにアティアの力をエウポリアへ召し上げる、と。
アティアは、不思議そうに聞いた。
「シキ、でございますか?」
――春、夏、秋、冬。一年が四つの季節になるという事です――
夏と冬があるだなんて。
それが、アティアの顔にありありと現れていた。
「お、お言葉ですが、それでは人は暮らして行けません!」
――自らに考えるのです――
考える。その言葉の意味をアティアは理解できていないようだった。
冬はヒエムスに来た時に、夏は本などで高温が続き、干ばつに苦しんでいると知っている。
そんな季節が二つもある。
とても生きて行けるはずがない。
そう思ったのだろう。
「エウポリア様、宜しいでしょうか?」
アティアとは対照的に、ヒーロスは、動揺よりかは興味関心が先立っているように見える。
――何でしょう?――
「ハルとアキとは、どういう季節なのでしょうか?」
――今まで、あなた方が暮らしていた季節を二つに分けたのが、春と秋なのです――
「なるほどねー」
ヒーロスは、考え込む。
女神を言う。
四季を受け入れた場合。
聖女の力は失われ、年中当たり前に実っていた果物、野菜類はその季節ごとにしか取れなくなる、と。
しかも、それは今までのように勝ってに実ったり、即座に実ったりもしない。
一度、採ってしまえば、次の年の、その季節を待たねばならないものも多くあるのだ、と。
野菜に関して言えば、自らが育てなければならない。
大地からひょっこりと生えて来ることはないという。
そして、全ての植物には命が宿り、それぞれの生を全うすれば、人や動物と同じく死を迎える。
「そ、それでは、どうやって生活をしていけば……?」
――考えるのです。知恵を絞り、考えるのです――
アティアは、とても受け言えられる提案ではないと思ったのだろう。
ヒーロスと違い、二か国を救う事など出来ないのだと、絶望した表情となっていた。
女神は続ける。
冬しかない国がどのように暮らしていたかを知っているはずだ。
夏しかない国がどのように暮らしているかを知るべきだ、と。
大御神は、人を見捨てなかった。
だからこそ、冬の国も夏の国でも、人は暮らしている。
そこから、学びなさい、と。
――大御神様は、いずれこのような事になると見通されていたのでしょう――
アティアは、何かを言おうと口を開こうとする。
しかし、それより先にヒーロスが声を発した。
「エウポリア様、アノイトスに鉱山はありません。つまり、そういう事なのでしょうか?」
――その通りです。冬の国には冬の国で生きていくための術が与えられているのです――
「ねえ、アティア。この提案と条件を受け入れよう」
アティアは、まるで自分の愛する男がとち狂ったのか、とでもいった表情だ。
「四つも季節があるだなんて、素敵じゃない? きっと趣を感じるよ」
「……ま、待ってください! 人々の暮らしをどうなさるおつもりですか! わたくしたちの一存で人々を苦しめることに……」
「エウポリア様の話しを聞いてなかったの? 大御神様は生きていくための術を与えてるって。だから、考えろって」
「で、ですけれど……」
ヒーロスは、力強くアティアの手を握る。
「僕を、信じてくれないかな。僕はね、何とかできると思ってるんだ」
「……どうやって……」
アティアには悲痛と猜疑心が混じっている。
アティアには、この提案を受け入れるのは難しい、しかし、受け入れなければヒーロスを失う事になる。
それが、顔に出ているのだろう。
ヒーロスは、女神に向き直る。
「受け入れた場合。聖女の力が失われるまでの猶予はどれくらいでしょうか? また、アノイトスも含めての一年でしょうか?」
アティアは少し驚いている。
――アノイトス王ヒーロスよ、そなたの成人の儀。つまり十五歳の誕生日までです。大御神様は二か国をと仰せになられました――
「ほらね、アティア。神様は良くお考えになって下さってるって事さ。約一年。その間に学び、知恵を絞れ。そういう事なんだよ」
「で、できるでしょうか」
ヒーロスは、胸を叩いて自信満々に言う。
「できる!」
女神はまた語る。
四季を受け入れた場合。
猶予は与えるが、誓約を持って必ず力は召し上げる、と。
そして、二度と季節と豊穣の力を分け与える事はない。
――条件と提案を受け入れますか?――
ヒーロスは、逡巡しているアティアの肩を抱く。
アティアは、その逞しい男の顔を見た。
そして、自然と声を発した。
「わたくし、聖女アティアは、お申し出を謹んでお受けいたします」
――わかりました。では、誓約を――
虹水晶が輝く。
二人の胸元へ、その光が吸い込まれていった。
――以前の誓約は、ここに破棄されました――
「と、いうことは、つまり話しても大丈夫と?」
――はい。大御神様は、二人は必ず受け入れるおっしゃっておいででした。新しい誓約も含め、人々に語って聞かせることを許可なさいました――
「それは、つまり、教訓にせよと。そして、今からは己が力で生きて行け。そういう事にございますね」
それに、女神は答えなかった。
やがて、女神の光体が揺らめく。
そして、天上へと昇り始めた。
「あ、お待ってください。お帰りになる前に、僕からも一つ提案があるのでございます」
ヒーロスが、去ろうとする女神を呼び止めた。
――何でしょう?――
「もし……もし!」
ヒーロスは、今までに見せた事もない程に、真剣で覚悟を持った表情となっている。
「僕が、魔王を討ち果たした時! どうか、世界の人々が生きる国、全てに四季をお与えいただけないでしょうか?」
間。
――わかりました。大御神様に、その旨を進言致しましょう――
女神は、天上へと光の粒子となって去って行った。
二人の声が重なった。
しかし、虹水晶が変わらず淡く光るのみ。
――一刻。
二人はそのままだ。
まるで、出てくるまで止めない。
そう言わんばかりに。
しかし、顔に焦りも不安も苛立ちもなかった。
柔らかく穏やか。
自然体、そうした感じだ。
やがて、虹水晶が反応する。
瞬く間に辺りは光に包まれる。
先ほどの誓約の儀の時の光よりも強烈だと思われた。
そして、二人の目の前。
微笑みを湛えた女性が浮かんでいた。
揺らめくような光そのものといった存在だ。
二人は目を開けた。
そして、アティアは、両膝を。
ヒーロスは片膝をついて傅《かしず》いた。
二人の頭の中に直接声が聞えて来る。
――二人とも、顔をお上げなさい――
二人は、顔を上げる。
そして、アティアがさっそくと願い出た。
「エウポリア様、厚かましい事は重々に承知しております。ですがどうか、どうか、願いをお聞き届けいただけないでしょうか?」
――その願いは聞き届けられません――
「な、何故でございますか!?」
「アティア、少し落ち着こう」
ヒーロスは、アティアの肩に手を置いた。
それから、女神に顔を戻す。
「既に天界から見られていた事と思います。我々の願いもご存じの事と。わざわざ、ご降臨なされたのは、断りを入れるためとは思えません」
――では、何故とお思いですか? 若きアノイトスの王ヒーロスよ――
「……提案と条件……でしょうか?」
「どういう事?」
アティアは、ヒーロスに尋ねる。
ヒーロスは答えない。
女神を見詰めている。
やや間があって。
――よろしいでしょう。聖女アティアの力を返上させます。そ……――
アティアには、その言葉が青天の霹靂だったのだろう。
仰天して、すぐさま申し出る。
「お待ちください!? それではっ……!」
「アティア。最後までエウポリア様の話しを聞こう」
「……も、申し訳ございません……」
――良いのです。驚くのも無理からぬことでしょう。全知全能の大御神様が、わたくしをここへ、お使わしになられたのです。その時に、一つの提案と条件を受け入れるかを、お示しくださいました――
黙して聞く二人に、女神は続ける。
二か国に四季を与える。
代わりにアティアの力をエウポリアへ召し上げる、と。
アティアは、不思議そうに聞いた。
「シキ、でございますか?」
――春、夏、秋、冬。一年が四つの季節になるという事です――
夏と冬があるだなんて。
それが、アティアの顔にありありと現れていた。
「お、お言葉ですが、それでは人は暮らして行けません!」
――自らに考えるのです――
考える。その言葉の意味をアティアは理解できていないようだった。
冬はヒエムスに来た時に、夏は本などで高温が続き、干ばつに苦しんでいると知っている。
そんな季節が二つもある。
とても生きて行けるはずがない。
そう思ったのだろう。
「エウポリア様、宜しいでしょうか?」
アティアとは対照的に、ヒーロスは、動揺よりかは興味関心が先立っているように見える。
――何でしょう?――
「ハルとアキとは、どういう季節なのでしょうか?」
――今まで、あなた方が暮らしていた季節を二つに分けたのが、春と秋なのです――
「なるほどねー」
ヒーロスは、考え込む。
女神を言う。
四季を受け入れた場合。
聖女の力は失われ、年中当たり前に実っていた果物、野菜類はその季節ごとにしか取れなくなる、と。
しかも、それは今までのように勝ってに実ったり、即座に実ったりもしない。
一度、採ってしまえば、次の年の、その季節を待たねばならないものも多くあるのだ、と。
野菜に関して言えば、自らが育てなければならない。
大地からひょっこりと生えて来ることはないという。
そして、全ての植物には命が宿り、それぞれの生を全うすれば、人や動物と同じく死を迎える。
「そ、それでは、どうやって生活をしていけば……?」
――考えるのです。知恵を絞り、考えるのです――
アティアは、とても受け言えられる提案ではないと思ったのだろう。
ヒーロスと違い、二か国を救う事など出来ないのだと、絶望した表情となっていた。
女神は続ける。
冬しかない国がどのように暮らしていたかを知っているはずだ。
夏しかない国がどのように暮らしているかを知るべきだ、と。
大御神は、人を見捨てなかった。
だからこそ、冬の国も夏の国でも、人は暮らしている。
そこから、学びなさい、と。
――大御神様は、いずれこのような事になると見通されていたのでしょう――
アティアは、何かを言おうと口を開こうとする。
しかし、それより先にヒーロスが声を発した。
「エウポリア様、アノイトスに鉱山はありません。つまり、そういう事なのでしょうか?」
――その通りです。冬の国には冬の国で生きていくための術が与えられているのです――
「ねえ、アティア。この提案と条件を受け入れよう」
アティアは、まるで自分の愛する男がとち狂ったのか、とでもいった表情だ。
「四つも季節があるだなんて、素敵じゃない? きっと趣を感じるよ」
「……ま、待ってください! 人々の暮らしをどうなさるおつもりですか! わたくしたちの一存で人々を苦しめることに……」
「エウポリア様の話しを聞いてなかったの? 大御神様は生きていくための術を与えてるって。だから、考えろって」
「で、ですけれど……」
ヒーロスは、力強くアティアの手を握る。
「僕を、信じてくれないかな。僕はね、何とかできると思ってるんだ」
「……どうやって……」
アティアには悲痛と猜疑心が混じっている。
アティアには、この提案を受け入れるのは難しい、しかし、受け入れなければヒーロスを失う事になる。
それが、顔に出ているのだろう。
ヒーロスは、女神に向き直る。
「受け入れた場合。聖女の力が失われるまでの猶予はどれくらいでしょうか? また、アノイトスも含めての一年でしょうか?」
アティアは少し驚いている。
――アノイトス王ヒーロスよ、そなたの成人の儀。つまり十五歳の誕生日までです。大御神様は二か国をと仰せになられました――
「ほらね、アティア。神様は良くお考えになって下さってるって事さ。約一年。その間に学び、知恵を絞れ。そういう事なんだよ」
「で、できるでしょうか」
ヒーロスは、胸を叩いて自信満々に言う。
「できる!」
女神はまた語る。
四季を受け入れた場合。
猶予は与えるが、誓約を持って必ず力は召し上げる、と。
そして、二度と季節と豊穣の力を分け与える事はない。
――条件と提案を受け入れますか?――
ヒーロスは、逡巡しているアティアの肩を抱く。
アティアは、その逞しい男の顔を見た。
そして、自然と声を発した。
「わたくし、聖女アティアは、お申し出を謹んでお受けいたします」
――わかりました。では、誓約を――
虹水晶が輝く。
二人の胸元へ、その光が吸い込まれていった。
――以前の誓約は、ここに破棄されました――
「と、いうことは、つまり話しても大丈夫と?」
――はい。大御神様は、二人は必ず受け入れるおっしゃっておいででした。新しい誓約も含め、人々に語って聞かせることを許可なさいました――
「それは、つまり、教訓にせよと。そして、今からは己が力で生きて行け。そういう事にございますね」
それに、女神は答えなかった。
やがて、女神の光体が揺らめく。
そして、天上へと昇り始めた。
「あ、お待ってください。お帰りになる前に、僕からも一つ提案があるのでございます」
ヒーロスが、去ろうとする女神を呼び止めた。
――何でしょう?――
「もし……もし!」
ヒーロスは、今までに見せた事もない程に、真剣で覚悟を持った表情となっている。
「僕が、魔王を討ち果たした時! どうか、世界の人々が生きる国、全てに四季をお与えいただけないでしょうか?」
間。
――わかりました。大御神様に、その旨を進言致しましょう――
女神は、天上へと光の粒子となって去って行った。
0
お気に入りに追加
1,256
あなたにおすすめの小説
離縁してくださいと言ったら、大騒ぎになったのですが?
ネコ
恋愛
子爵令嬢レイラは北の領主グレアムと政略結婚をするも、彼が愛しているのは幼い頃から世話してきた従姉妹らしい。夫婦生活らしい交流すらなく、仕事と家事を押し付けられるばかり。ある日、従姉妹とグレアムの微妙な関係を目撃し、全てを諦める。
金貨増殖バグが止まらないので、そのまま快適なスローライフを送ります
桜井正宗
ファンタジー
無能の落ちこぼれと認定された『ギルド職員』兼『ぷちドラゴン』使いの『ぷちテイマー』のヘンリーは、職員をクビとなり、国さえも追放されてしまう。
突然、空から女の子が降ってくると、キャッチしきれず女の子を地面へ激突させてしまう。それが聖女との出会いだった。
銀髪の自称聖女から『ギフト』を貰い、ヘンリーは、両手に持てない程の金貨を大量に手に入れた。これで一生遊んで暮らせると思いきや、金貨はどんどん増えていく。増殖が止まらない金貨。どんどん増えていってしまった。
聖女によれば“金貨増殖バグ”だという。幸い、元ギルド職員の権限でアイテムボックス量は無駄に多く持っていたので、そこへ保管しまくった。
大金持ちになったヘンリーは、とりあえず念願だった屋敷を買い……スローライフを始めていく!?
聖女召喚に巻き込まれた私はスキル【手】と【種】を使ってスローライフを満喫しています
白雪の雫
ファンタジー
某アニメの長編映画を見て思い付きで書いたので設定はガバガバ、矛盾がある、ご都合主義、深く考えたら負け、主人公による語りである事だけは先に言っておきます。
エステで働いている有栖川 早紀は何の前触れもなく擦れ違った女子高生と共に異世界に召喚された。
早紀に付与されたスキルは【手】と【種】
異世界人と言えば全属性の魔法が使えるとか、どんな傷をも治せるといったスキルが付与されるのが当然なので「使えねぇスキル」と国のトップ達から判断された早紀は宮殿から追い出されてしまう。
だが、この【手】と【種】というスキル、使いようによっては非常にチートなものだった。
【完結】召喚されて聖力がないと追い出された私のスキルは家具職人でした。
井上 佳
ファンタジー
結城依子は、この度異世界のとある国に召喚されました。
呼ばれた先で鑑定を受けると、聖女として呼ばれたのに聖力がありませんでした。
そうと知ったその国の王子は、依子を城から追い出します。
異世界で街に放り出された依子は、優しい人たちと出会い、そこで生活することになります。
パン屋で働き、家具職人スキルを使って恩返し計画!
異世界でも頑張って前向きに過ごす依子だったが、ひょんなことから実は聖力があるのではないかということになり……。
※他サイトにも掲載中。
※基本は異世界ファンタジーです。
※恋愛要素もガッツリ入ります。
※シリアスとは無縁です。
※第二章構想中!
異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
とりかえばや聖女は成功しない
猫乃真鶴
ファンタジー
キステナス王国のサレバントーレ侯爵家に生まれたエクレールは、ミルクティー色の髪を持つという以外には、特別これといった特徴を持たない平凡な少女だ。
ごく普通の貴族の娘として育ったが、五歳の時、女神から神託があった事でそれが一変してしまう。
『亜麻色の乙女が、聖なる力でこの国に繁栄をもたらすでしょう』
その色を持つのは、国内ではエクレールだけ。神託にある乙女とはエクレールの事だろうと、慣れ親しんだ家を離れ、神殿での生活を強制される。
エクレールは言われるがまま厳しい教育と修行を始めるが、十六歳の成人を迎えてもエクレールに聖なる力は発現しなかった。
それどころか成人の祝いの場でエクレールと同じ特徴を持つ少女が現れる。しかもエクレールと同じエクレール・サレバントーレと名乗った少女は、聖なる力を自在に操れると言うのだ。
それを知った周囲は、その少女こそを〝エクレール〟として扱うようになり——。
※小説家になろう様にも投稿しています
聖女が降臨した日が、運命の分かれ目でした
猫乃真鶴
ファンタジー
女神に供物と祈りを捧げ、豊穣を願う祭事の最中、聖女が降臨した。
聖女とは女神の力が顕現した存在。居るだけで豊穣が約束されるのだとそう言われている。
思ってもみない奇跡に一同が驚愕する中、第一王子のロイドだけはただ一人、皆とは違った視線を聖女に向けていた。
彼の婚約者であるレイアだけがそれに気付いた。
それが良いことなのかどうなのか、レイアには分からない。
けれども、なにかが胸の内に燻っている。
聖女が降臨したその日、それが大きくなったのだった。
※このお話は、小説家になろう様にも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる