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7話 桜子と葉太と桜佑 1
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それからぼくたちは、週に一度か二度、夜にあの公園で会うようになった。
ラインで桜佑くんから「今日どうですか」と連絡がくるから、ぼくは「いいよ」と応える。
桜佑くんはトイレで着替えて、ベンチで丁寧にお化粧をして、長い髪の毛を被り、桜子ちゃんに変身する。
それからその姿で公園の中をうろうろ回りながら、ほんの少ししかない遊具を背景に、スマホ片手に自撮りする。
ぼくは時々そのスマホを受け取って、桜子ちゃんの全身を写してやったりした。
ぼくは桜子ちゃんの屈託のない笑顔を、素直に可愛いと思っていた。
その姿に何度も櫻子ちゃんを重ねた。
時間は大体一時間くらい。
ちゃんとお化粧を拭き取って、桜佑くんに戻ってから帰っていく。
そんな新しい習慣にも慣れてきて、ぼくたちはすっかり仲良くなった。
ぼくは時々ほろ酔いでその公園を訪れ、今日もそんなほろ酔いの日だった。
桜子ちゃんが
「先生も一緒に撮ろう」
と言って、スマホ片手に楽しそうに、ベンチに座るぼくに身を寄せて顔を近づけてくる。
だから、ぼくはその髪の毛の長さに不意にまた櫻子ちゃんを思い出して、ついうっかりだった。
そのくちびるにキスをした。
「せんせ、へ、……んぅ、」
ぐいっと首に腕を回して、その身体を抱き寄せてキスをした。
手入れをされているらしいくちびるは柔らかくてふわふわしていて、ぼくは目を閉じたままそれに自分のくちびるを好きなように押し当てた。
いろんな角度からそのくちびるを、くちびるで挟むようにして堪能していく。
時折、ちゅ、と小さくリップ音が洩れた。
相手がろくな抵抗をしないのをいいことに、ぼくは調子に乗って
「櫻子、」
と呼んでからその隙間に舌を這わせる。
すると急に相手の身体が強張り、ぼくはそこではっと我に返った。
あれ、櫻子ちゃん、違う、桜子ちゃん……桜佑くん……
「あっ、ごめん!!」
ぼくは慌ててがばっと身体を離した。
桜子ちゃんは、お化粧で大きくした目を更に大きく見開いて、困ったような、戸惑ったような、怒ったような、なんともいえない顔をして固まってしまっていた。
「あ、いや、大丈夫、あのおれ、……、」
桜子ちゃんは焦ったようにそれだけ言って、俯いてしまった。
しまった、やってしまった。
ぼくはなにをやってるんだ。
ラインで桜佑くんから「今日どうですか」と連絡がくるから、ぼくは「いいよ」と応える。
桜佑くんはトイレで着替えて、ベンチで丁寧にお化粧をして、長い髪の毛を被り、桜子ちゃんに変身する。
それからその姿で公園の中をうろうろ回りながら、ほんの少ししかない遊具を背景に、スマホ片手に自撮りする。
ぼくは時々そのスマホを受け取って、桜子ちゃんの全身を写してやったりした。
ぼくは桜子ちゃんの屈託のない笑顔を、素直に可愛いと思っていた。
その姿に何度も櫻子ちゃんを重ねた。
時間は大体一時間くらい。
ちゃんとお化粧を拭き取って、桜佑くんに戻ってから帰っていく。
そんな新しい習慣にも慣れてきて、ぼくたちはすっかり仲良くなった。
ぼくは時々ほろ酔いでその公園を訪れ、今日もそんなほろ酔いの日だった。
桜子ちゃんが
「先生も一緒に撮ろう」
と言って、スマホ片手に楽しそうに、ベンチに座るぼくに身を寄せて顔を近づけてくる。
だから、ぼくはその髪の毛の長さに不意にまた櫻子ちゃんを思い出して、ついうっかりだった。
そのくちびるにキスをした。
「せんせ、へ、……んぅ、」
ぐいっと首に腕を回して、その身体を抱き寄せてキスをした。
手入れをされているらしいくちびるは柔らかくてふわふわしていて、ぼくは目を閉じたままそれに自分のくちびるを好きなように押し当てた。
いろんな角度からそのくちびるを、くちびるで挟むようにして堪能していく。
時折、ちゅ、と小さくリップ音が洩れた。
相手がろくな抵抗をしないのをいいことに、ぼくは調子に乗って
「櫻子、」
と呼んでからその隙間に舌を這わせる。
すると急に相手の身体が強張り、ぼくはそこではっと我に返った。
あれ、櫻子ちゃん、違う、桜子ちゃん……桜佑くん……
「あっ、ごめん!!」
ぼくは慌ててがばっと身体を離した。
桜子ちゃんは、お化粧で大きくした目を更に大きく見開いて、困ったような、戸惑ったような、怒ったような、なんともいえない顔をして固まってしまっていた。
「あ、いや、大丈夫、あのおれ、……、」
桜子ちゃんは焦ったようにそれだけ言って、俯いてしまった。
しまった、やってしまった。
ぼくはなにをやってるんだ。
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