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18話 働くストーカー。2
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拓ちゃんはもともと人よりも粘着質で愚直で生真面目几帳面でがんばり屋である。
だからこそジュリアも2年もの間、それこそ拓ちゃんが自ら失態を犯すまで、毎日のストーカー行為に気づかなかったのだ。
その性格のおかげもあって、毎日がんばる拓ちゃんは毎日少しずつ体力をつけてきた。
おかげで昼夜は逆転しているものの、毎日同じような肉体労働生活をしているために気づけば規則的な生活習慣になり、どちらかといえば今までよりも心身ともに健康的になってきた。
そんな生活を続けて数週間。久々にパソコンを起動して隣の部屋の様子を窺ってみる。今までにこんなにパソコンを触らなかったことはない。拓ちゃんは少しばかり新鮮な気持ちで画面を覗いてみた。
ジュリアは、いつかと同じようにしてビビッドイエローのベッドに寝転がっていた。
スマホをいじりながら呟く声が聞こえる。
『拓ちゃん、いなくなっちゃったのかなぁ。……寂しいなぁ』
拓ちゃんは目を見開いて耳を疑った。
聞き間違いだろうか。
久しぶりだから、ヘッドホンが壊れてしまったのだろうか。
ジュリアが寂しいと言った気がする。
拓ちゃんがいなくて寂しい、と……。
拓ちゃんはガタッと勢いよく椅子から立ち上がり、いつぞやのように玄関に足を向けかけた。
そうしてはた、と思い直して、もう一度椅子に腰掛ける。
どうするのが正解だ……?
聞き間違いでなければジュリアは拓ちゃんがいなくて寂しいと言った。
もしかしたら、拓ちゃんが泥のようになって眠りこけている間に、何度も拓ちゃんのことを呼んだのかもしれない。
ああ、すまないジュリア、気がつかなくて。
だが今その言葉に釣られて隣へ行っても良いものか。
いつぞやの大騒動を思い出さずにはいられない。
よく考えなければ。
あの言葉はどこまで本心だ?
寂しいのはたまたま他の男たちが掴まらなくて、自分に貢いでくれる相手がいないからに違いない。
今すぐにでも玄関から出て、この間のように隣のインターホンを押したい。
だが拓ちゃんが身ひとつで行ってどうなる。
なにかを買っていくべきか。
でもなにを買えばいい。
今ジュリアが欲しいものが、分からない。
拓ちゃんは考えた。
それに、もしかしたら自分なんかが近づかないほうが、ジュリアのためではないのか。
こんな鬱蒼とした姿の男が、ジュリアの傍にいると、彼女が汚れてしまうのでは。
拓ちゃんは迷った。どうするべきなのか。
迷って、迷って迷って、そうしてとうとう、もう一度立ち上がった。
着替えればいい。
髪を整えればいい。
慌てず準備して、ジュリアの部屋のインターホンを押そう。
今すぐに渡せるものがないけれども、それでも許されるなら会いたいと思った。
ジュリアに、ここにいるから、寂しくないから、と伝えたい。
だからこそジュリアも2年もの間、それこそ拓ちゃんが自ら失態を犯すまで、毎日のストーカー行為に気づかなかったのだ。
その性格のおかげもあって、毎日がんばる拓ちゃんは毎日少しずつ体力をつけてきた。
おかげで昼夜は逆転しているものの、毎日同じような肉体労働生活をしているために気づけば規則的な生活習慣になり、どちらかといえば今までよりも心身ともに健康的になってきた。
そんな生活を続けて数週間。久々にパソコンを起動して隣の部屋の様子を窺ってみる。今までにこんなにパソコンを触らなかったことはない。拓ちゃんは少しばかり新鮮な気持ちで画面を覗いてみた。
ジュリアは、いつかと同じようにしてビビッドイエローのベッドに寝転がっていた。
スマホをいじりながら呟く声が聞こえる。
『拓ちゃん、いなくなっちゃったのかなぁ。……寂しいなぁ』
拓ちゃんは目を見開いて耳を疑った。
聞き間違いだろうか。
久しぶりだから、ヘッドホンが壊れてしまったのだろうか。
ジュリアが寂しいと言った気がする。
拓ちゃんがいなくて寂しい、と……。
拓ちゃんはガタッと勢いよく椅子から立ち上がり、いつぞやのように玄関に足を向けかけた。
そうしてはた、と思い直して、もう一度椅子に腰掛ける。
どうするのが正解だ……?
聞き間違いでなければジュリアは拓ちゃんがいなくて寂しいと言った。
もしかしたら、拓ちゃんが泥のようになって眠りこけている間に、何度も拓ちゃんのことを呼んだのかもしれない。
ああ、すまないジュリア、気がつかなくて。
だが今その言葉に釣られて隣へ行っても良いものか。
いつぞやの大騒動を思い出さずにはいられない。
よく考えなければ。
あの言葉はどこまで本心だ?
寂しいのはたまたま他の男たちが掴まらなくて、自分に貢いでくれる相手がいないからに違いない。
今すぐにでも玄関から出て、この間のように隣のインターホンを押したい。
だが拓ちゃんが身ひとつで行ってどうなる。
なにかを買っていくべきか。
でもなにを買えばいい。
今ジュリアが欲しいものが、分からない。
拓ちゃんは考えた。
それに、もしかしたら自分なんかが近づかないほうが、ジュリアのためではないのか。
こんな鬱蒼とした姿の男が、ジュリアの傍にいると、彼女が汚れてしまうのでは。
拓ちゃんは迷った。どうするべきなのか。
迷って、迷って迷って、そうしてとうとう、もう一度立ち上がった。
着替えればいい。
髪を整えればいい。
慌てず準備して、ジュリアの部屋のインターホンを押そう。
今すぐに渡せるものがないけれども、それでも許されるなら会いたいと思った。
ジュリアに、ここにいるから、寂しくないから、と伝えたい。
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