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8話
しおりを挟む「おかえりー」
扇風機の風を浴びながらだらしない格好でテレビを観ていたらしいハルさんは、俺が帰ってきたのを見つけると俺に手を伸ばした。俺は持ってた袋の中からお茶を取ってその手に渡してやる。
ハルさんはサンキュ、と軽く礼を言ってからそれを一気に半分飲み干した。
「何買ってきたん?」
「冷やし中華。と、俺は普通に麻婆豆腐丼。暑いから食欲ないとか言いそうだなって思って」
「よく分かってんじゃん。流石、孝信」
「どうも」
昼飯は簡単に済まして、時計は気づけば午後三時。
「なにする?」
「うーん」
何するも何も、こんな何もないところで何ができるんだ。
「明日はちょっと遠いけど、電車で買い物でも行くか」
「ハルさん何か欲しいものあんの」
「服とか? 靴とか、鞄とか、時計とかアクセサリーとか美味いものとかなんか面白そうなものとかかな」
「多いな」
「ま、気に入るものがあるかは分かんないけどな」
「じゃあ明日は買い物だな。今からはー、」
「セックスでもする?」
「……どうしたん」
「さっきお前が、」
「俺?」
「道端で急にキスなんてしてくるからさ、」
「あー」
「したいのかなーって、思った」
だけ。
「っ、あ、たかのぶ、そこいやだ」
「なんで、好きじゃん、ここ」
ハルさんは無理やり奥まで押し付けられるのが好きだ。
動かなくても、無理やり、本当に無理やり、乱暴なほど奥まで押し付けてやると、どろどろに溶けたみたいな顔になって、勝手にびくびく震えて、下手したら一人で勝手にイってしまうほどだ。汗まみれになって、どっか意識飛んだみたいになる。
それはつまり、俺じゃない誰かが、俺がハルさんを知るよりも前にこの身体に、多分しつこくしつこく仕込んだってことだ。俺じゃない奴に散々仕込まれて、俺が好きなハルさんは仕上がっている。
「あ、あ、たかのぶ、だめだってもう、それ、や……」
小刻みに震えるハルさんは、欲情の塊みたいにいやらしい。
「イくの?」
「いやだ、動いてくれないと、」
力の入ってない腕で引き寄せられてキスをせがまれるから、噛みつくみたいにして貪ってやる。口開けてるだけで精一杯らしいハルさんは息を乱して、そんな姿がひたすら可愛い。
本当はここからもっと焦らして泣かせてみたりしてしまいたいけど、俺もそこまで我慢がきくわけじゃないから、結局はねだられるがまま悪戯に腰を打ち付けて、簡単に満足させてしまう。
「ハルさんは今まで何人の人とこういうことをしてきたの」
「それ、終わった直後に聞きたいことなん?」
「気になるじゃん」
「じゃあ内緒」
「俺はハルさんだけだよ」
「絶対嘘だ」
「まあね」
全裸のまま固い布団に寝転がって、腕枕しながらハルさんの背中をさする。
柔らかくはないけど、華奢だ。
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「無理」
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