こいびとごっこ

夏緒

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4話

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 家に着いて、テレビ観ながら弁当食って、そんな何気ない感じに、ああ、こういうの良いなあと思う。見慣れない部屋に、畳の感触に、生温い空気に、テレビ観てるハルさんを見てる。なんか、自然なお付き合いしてるみたいじゃん。
 先に俺が風呂に入って、ハルさんが風呂入ってる間にTシャツ着て縁側から外を覗いてみた。見上げたら、今まで見たこともないくらいに、空が近かった。
「うわ」
 星がでかい。輪郭がくっきりしていて、手を伸ばせば触れそうな気さえする。
「すげえな」
 見上げたまま縁側に座り込んで、しばらくそのまま近すぎる星を眺めていた。空気が澄んでいるっていうのは、多分こういうのを言うんだな。あー酒が片手にあれば良かった。でも動くのも勿体ない。部屋から小さな音で流れてくるバラエティーの笑い声も、なんだか良い感じのBGMに聴こえてくる。
 俺がそうやって必死こいて星空を眺めていると、風呂から出たらしいハルさんが後ろから「なんか見えんの」と声を掛けてきた。
「いや、星が凄くて……こんなん見たの初めてだから」
 言いながら振り返ると、ハルさんは何故か紺色の浴衣を着ていた。俺の隣に立ったまま、さっきの俺と同じように上を見上げている。
「あー、まあ田舎だからな」
「どうしたんそれ」
「あ、これ? 昼に引き出し開けたら入ってたから」
 言って、軽く笑って、足を伸ばして座っている俺をゆっくりと跨ぐようにして馬乗りになってきた。
 すり、と尻がいいところを擦ってくる。
「好きかな、と思ってさ。こういうの」
 にこっとしてから、すり寄ってきて、柔らかいくちびるがキスをしてくる。なにしてんだこの人。
 こんなん、好きに決まってんだろ。
 はだけた裾から太もも出てんだよ。撫でたら風呂上がりらしくすべすべしてる。脚の付け根、撫でるだけで妄想が膨らんできて興奮する。軽く吸い付いてくるだけでは満足しなくて、できるだけ舌を伸ばして口の中を舐め回してやった。んんん、とくぐもったような声を出しながら後ろにずれようとするから、逃がさないように首と腰をしっかりと引き寄せた。
 たっぷり堪能してからやっと解放すると、ハルさんは完全にスイッチ入った顔をしている。俺も人のこと言えない。服越しに擦り合わせてるお互いのものが、さっきより全然硬くなってる。
 星空眺めてた俺の感動は完璧にどっか飛んでった。だってもう浴衣はだけてきてて、いろいろ丸見えだし。そら目の前にこんな乳首出てたらしゃぶるだろ。
「あっ、……やば、こえが……、」
「ハルさん、ここでもいいんだけどさ、布団行こ。ちゃんとしたい」
「いいよ」 
 なんて言って忙しなく移動したものの、布団放り投げたまんまで敷いてない。まあ、どうでもいいや、早く続きがしたい。
 シーツもまだつけてない、乱雑に重なっただけの布団の上でハルさんを組み敷いて、首筋から、肩から、薄い身体を順番に堪能していく。ボディソープの匂いがする身体がだんだん湿り気を帯びてくる。乳首を指で擦るとビクッと全身で反応した。
「あれ、ハルさん乳首こんな好きだったっけ」
 あまりの良い反応にからかいたくなって、皮肉っぽく言ってみたら、ハルさんはさも恍惚、みたいな表情しながら、
「興奮してっからな」
と煽るようなこと返してきた。
 何回もキスして、ハルさんも俺の背中を撫で回したり、擦り合わせたりして、好きなとこ全部触って、尻に指当てたら、まだ濡らしてもないのにちょっと力入れただけで勝手に指が潜り込んだ。 汗の力かな。
「あっ……」
「ハルさん興奮しすぎだろ。気持ちいい?」
「きもちいい、孝信」
 俺の指の動きに合わせて息をするハルさんは可愛い。なんか今にもイきそうなくらいびくびくしてる。
「入れていい?」
「だめ」
「えっ」
 まさかの返事に一拍固まると、ハルさんはいやらしい目で人のことを見下ろしてきた。自分が下にいるくせに。
「だから、言ったじゃん、あとでするから、って」
 そう言って、俺の指を抜いてから、ごろん、と俺と場所を入れ替わった。畳の感触を背中に感じながら、乗っかっているハルさんを仰ぎ見る。はだけた浴衣に、俺が湿らせた身体。なにこのサービス。
「ハルさんが入れてくれんの」
「そう。入れちゃうよ」
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