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type B 3
しおりを挟む子猫ちゃんはやらかしてしまったことにはっと気づいたが遅かった。
「命令だよ、子猫ちゃん。こっちを向きなさい」
「……はい」
御主人様は基本的に子猫ちゃんの自由意思を尊重してくれる。子猫ちゃんが納得した上で気持ち良いことをしよう、というスタンスだ。
でも命令は違う。子猫ちゃんの意思とは関係なく、この言葉を出されたら絶対服従を強要する、という合図だ。子猫ちゃんは素直に御主人様の前に向き直り、顔を真っ赤にしながら行為の続きを始めた。
「出来るじゃん」
御主人様は「触りたくなっちゃうなあ」とかぼやきながら舌舐めずりをした。
触ってくれればいいのに。子猫ちゃんは羞恥で顔を背けながらひたすら自分のものをしごいた。これでは足りないことは自分で分かっているし、御主人様だって分かっている筈なのに。見られている恥ずかしさと中途半端な気持ち良さと触ってもらえない悔しさで子猫ちゃんはつい泣き出してしまった。
「かーわいい」
「うっさい変態」
気持ちは良いけどこれでは足りない。そんなふうにしたのは御主人様なのに、当の本人は悪戯染みた目で子猫ちゃんをじっと見下ろしてくる。
「さっきから人のこと変態変態言ってくるけど、俺が君の御主人様だって分かってる?」
「分かってますよ!」
「それに君も大概だからね。あと、子猫ちゃんはそれで満足できるの」
「え、」
「触りたいんじゃない? 後ろ」
「っ、」
別に触りたいんじゃない。違う。
そうじゃなくて、御主人様にいつもみたいに触って欲しいのに。
「触ってみなよ、自分で。ほら、ワセリンは貸してあげるからさ」
言って、御主人様はサイドテーブルに無造作に置いてあったワセリンのケースを手に取って、パカッと蓋を開けた。そうして使いかけの中身を見せつけるようにして子猫ちゃんに差し出してくる。
「はいどうぞ」
これは嫌だをしばらく聞いてもらえそうにない。子猫ちゃんはほんの少し躊躇ったあと、意を決して人差し指をワセリンの中に突っ込んだ。
たっぷり取ったその人差し指を、自分の尻に塗りつける。それから、そのままその指に軽く力を入れてみた。
「あっ、 あ あ あ あぁ」
えっ、どうしよう本当に入っちゃった!
第一関節までだけど、本当に本当に自分の指が自分の中に入っている。やばい、どうしよう。入ってる。
どきどきする。
自分の指が、自分の中が蠢いているのを感じている。感触が凄い。自分の指なのによがってしまうのを御主人様が目の前でじっと見ている。嫌だ、恥ずかしい。恥ずかしい。
「あっ、どうしよう、どうしよ、やだこれぇ」
「可愛い。俺も興奮してきちゃった。ねえ、その指もっと奥まで入れてみなよ」
「やだ、むり、こんなんむりっ」
「でも、子猫ちゃんの気持ち良いところは、そこじゃないだろ」
「……っく、」
仕方なしに恐る恐る、第二関節まで入れてみる。中は、きゅっとして締め付けるみたいで、それでいてぬるついている。
でももうこれ以上動かすことができない。恐いし、どう動かせば良いのかが自分では分からない。
「どう?」
「もうやです、自分じゃ届かない、きもちよくない、御主人様がしてくれないと、」
子猫ちゃんが目に涙を溜めてそう訴えると、御主人様は背凭れを抱いていた椅子から無言で立ち上がって、ベッドまで寄ってきた。そうして子猫ちゃんの隣に腰掛け、これまた無言で子猫ちゃんの身体をベッドに仰向けに転がした。
「御主人様……?」
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