乙女ゲームのモブに転生したので、幸せになろうと思います。

Siawase

あの後屋敷は全部燃えたし、屋敷の人間は全員死んだようだ。もちろんソフィー達も。私以外全員死んだ。ライも死んだ設定になっている。
そしてなんと一大ニュース！！私が「犬のライが守ってくれたの」発言をしたことでお母様が私を気味悪がり始めたのだ。
いやぁ冗談と思っていたからこそ、怖いだろうねぇ？
虐待するかな？してくれると楽なんだけれども。次はどうやって殺そう？次は孤児院に行きたい。なら、また屋敷壊すか…。違う人の仕業だと思わせたいから…水？屋敷を使えなくすれば孤児院に行ける可能性は高まるよね…
さぁ、どうしてやろうか。
形式だけの家族の食事。その中に愛はない。
あっちからきて虐待をしない…なら、こっちから近づけばいいじゃないの！！
「ねぇお母さま！似顔絵書いたの！」
「お母さま！」
「お母さまぁ！！」
私が会いに行くことで、初めは愛想笑いしていたお母様も、徐々に気味悪がり始めた。
そしてついに。
パァン！！
私に平手打ちをした。
お母様はおびえた顔をしている。何をやっているのだろう。早く私に暴言を言えばいいのに。私は「虐待されていたのに母親を愛していた、可哀想な子供」になって、お前を殺さなきゃいけないんだから。
ほら。
早く殴ってよ、早く蹴ってよ、私の悲劇の過去になれよ。
真顔でお母様を見続けていたら、お母様はさらにおびえた顔になって私を蹴り始めた。
「なんであんたなんか生まれたの…ッあんたが私の娘なせいでみんな私を見下す…ッ」
メイドさんが怯えてこっちを見る。
あ～あ。もうちょっとうまいところでやればいいのにさ。バカだなぁ。
私が本当に何もしない純粋で無垢な子供だって思っちゃって。本ッ当、
バカすぎる。
なんで私だけが生き残ったのか、本当に犬が守ったのか、疑いもしないで。
…お母様が、バカでアホなおかげで助かったよ、ありがとう。
愛してるよ。絶対に逃がさない
お母様に蹴られながら、私はニヤッと笑った。