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二色~双子の兄~
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「透明ちゃん。」
「はい。」
「透明ちゃんは何で私をこの世界に連れて来たの?」
この世界に来た時から不思議に思っていた。なぜ透明は自分のような普通の高校生を連れてきたのかと。
「あぁ、そんなことですか。あなたが願ったからですよ。あとね、あなたと私はよく似ているんです。」
透明は当たり前のように言った。
「じゃあ、透明ちゃんもお姉ちゃんがいるの?」
「違うよ~~。姉じゃなくて兄。」
何処からかまだ幼さのある声が響いた。
突然何もなかった世界に何かがあらわれた。それは、透明と同じ髪色をした男の子だった。だが、その容姿に当てはまる知り合いは居なかったため、編は透明の知り合いだと思い視線を男の子から透明の方にずらした。
「誰?」
「…。」
透明は答えない。ただ男の子のほうを睨んでいるだけだった。
「え?」
「色有……。」
透明が初めて感情を表した。それは怒りの感情だった。
「うん。透明、お客さん?」
「え?誰なの?」
編は何もわからなかった。目の前の男の子が誰かもわからず、透明が怒っている理由もわからない。ただ、この男の子―色有が、透明を怒らすほどの何かをしでかした人物だということだけは分かった。透明はなかなか感情を表さなかった。その透明が怒るほどだから、色有はそれほどのことをしたのだろう。
「…。帰れ。でなけりゃ…」
カチィィィン
透明が色有に刀を止められる。色有はにんまりと笑いながら言った。
「刀でさす。でしょ?」
「どうしよう…」
編は呟いた。二人が戦っているのに混じっていけない自分の無力さがじれったい。
「ねえ何で邪魔するの?この世界に色はいらないのに。」
色有がそう呟くと、透明は色有を睨む目をさらに鋭くした。
「色有・・・!!!!」
(透明ちゃん、怒ってる…もしかしてあの子…敵?)
編が何かないかと周囲を見渡すと、30㎝くらいの短い棒があることに気が付いた。
「あっ!」
「いまさら何をしに来たの?」
透明は色有にきりかかった。
「とりゃあああああああああ!」
遠くから、編の叫ぶ声が聞こえる。でも今の透明はそんなことにかまっている暇はなかった。
「色を集めるのの、邪…」
色有が透明の問いかけに答えたその瞬間、
カキィーーーーーーーン!
無音の世界に音が響いた。
「ぅわっ!」
色有の口から思わず声が漏れる。
「ええっ!?」
透明は驚きの声を上げた。
そう、編が色有の頭にあの棒をぶつけたのだ。編は透明の驚きをよそにビシッと色有を指さす。
「透明ちゃんを傷つけたら絶対に許さないんだからね!」
その時、すべてが止まった気がした。全てが止まった後、茫然としていた色有は叫んだ。
「…痛ったァァァァ!!」
「えっ(何が起こったの?…)」
あまりの気の抜けように透明はまたしても驚きの声を上げた。上げるしかなかった。まさか自分が連れてきた客が宿敵を突然殴るなどだれが予想できただろうか。
「…ぼ…僕はもう帰るよ…」
色有は涙目で編を見た後、
シュッ!
と消えた。編は透明にかけよる。
「透明ちゃん、大丈夫~?」
「あなた…」
少し驚いたような顔をして、透明は、
「〝色戻し〟の仕事をしてみませんか?」
と言った。
「色、戻し…?」
「人間界から人を連れてきて、ここに住まわせます。そして色を取って、この世界に色を取り戻していくんです。」
「え…」
編は戸惑う。そんな編を見て透明は人差し指を立てた。
「とりあえず、1か月くらいやってみません?」
(…)
少し悩んでから編は言った。
「や…やる!やってみる!」
透明はにっこりと笑った。
本日の色の集計 なし
「はい。」
「透明ちゃんは何で私をこの世界に連れて来たの?」
この世界に来た時から不思議に思っていた。なぜ透明は自分のような普通の高校生を連れてきたのかと。
「あぁ、そんなことですか。あなたが願ったからですよ。あとね、あなたと私はよく似ているんです。」
透明は当たり前のように言った。
「じゃあ、透明ちゃんもお姉ちゃんがいるの?」
「違うよ~~。姉じゃなくて兄。」
何処からかまだ幼さのある声が響いた。
突然何もなかった世界に何かがあらわれた。それは、透明と同じ髪色をした男の子だった。だが、その容姿に当てはまる知り合いは居なかったため、編は透明の知り合いだと思い視線を男の子から透明の方にずらした。
「誰?」
「…。」
透明は答えない。ただ男の子のほうを睨んでいるだけだった。
「え?」
「色有……。」
透明が初めて感情を表した。それは怒りの感情だった。
「うん。透明、お客さん?」
「え?誰なの?」
編は何もわからなかった。目の前の男の子が誰かもわからず、透明が怒っている理由もわからない。ただ、この男の子―色有が、透明を怒らすほどの何かをしでかした人物だということだけは分かった。透明はなかなか感情を表さなかった。その透明が怒るほどだから、色有はそれほどのことをしたのだろう。
「…。帰れ。でなけりゃ…」
カチィィィン
透明が色有に刀を止められる。色有はにんまりと笑いながら言った。
「刀でさす。でしょ?」
「どうしよう…」
編は呟いた。二人が戦っているのに混じっていけない自分の無力さがじれったい。
「ねえ何で邪魔するの?この世界に色はいらないのに。」
色有がそう呟くと、透明は色有を睨む目をさらに鋭くした。
「色有・・・!!!!」
(透明ちゃん、怒ってる…もしかしてあの子…敵?)
編が何かないかと周囲を見渡すと、30㎝くらいの短い棒があることに気が付いた。
「あっ!」
「いまさら何をしに来たの?」
透明は色有にきりかかった。
「とりゃあああああああああ!」
遠くから、編の叫ぶ声が聞こえる。でも今の透明はそんなことにかまっている暇はなかった。
「色を集めるのの、邪…」
色有が透明の問いかけに答えたその瞬間、
カキィーーーーーーーン!
無音の世界に音が響いた。
「ぅわっ!」
色有の口から思わず声が漏れる。
「ええっ!?」
透明は驚きの声を上げた。
そう、編が色有の頭にあの棒をぶつけたのだ。編は透明の驚きをよそにビシッと色有を指さす。
「透明ちゃんを傷つけたら絶対に許さないんだからね!」
その時、すべてが止まった気がした。全てが止まった後、茫然としていた色有は叫んだ。
「…痛ったァァァァ!!」
「えっ(何が起こったの?…)」
あまりの気の抜けように透明はまたしても驚きの声を上げた。上げるしかなかった。まさか自分が連れてきた客が宿敵を突然殴るなどだれが予想できただろうか。
「…ぼ…僕はもう帰るよ…」
色有は涙目で編を見た後、
シュッ!
と消えた。編は透明にかけよる。
「透明ちゃん、大丈夫~?」
「あなた…」
少し驚いたような顔をして、透明は、
「〝色戻し〟の仕事をしてみませんか?」
と言った。
「色、戻し…?」
「人間界から人を連れてきて、ここに住まわせます。そして色を取って、この世界に色を取り戻していくんです。」
「え…」
編は戸惑う。そんな編を見て透明は人差し指を立てた。
「とりあえず、1か月くらいやってみません?」
(…)
少し悩んでから編は言った。
「や…やる!やってみる!」
透明はにっこりと笑った。
本日の色の集計 なし
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