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未来編 機械伯爵の最後
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僕はジェットコースターに乗って絶叫していた。
楽しい―! でも、それは機械伯爵の罠だったんだ。
僕の声だけに反応するよう作られていた自動制御装置によって、ジェットコースターが本来の進路を外れ地下に向かう。
「きゃぁぁぁぁ! あれ!? なんか地下に行ってるー!?」
「クソ、これは機械伯爵の罠だったんだ! このままじゃあいつの本拠地に連れていかれる!」
「どうするのお兄様!」
「まあ見てろって。いつも言ってるだろ? 俺は問題ないって」
そして、ジェットコースターは最深部へ向かった。
そこは、石の玉座が置かれた広い空間だった。
床や壁には蛇のようにケーブルが張り巡らされている。
「よく来たな。馬鹿兄弟」
「ば、馬鹿って言ったー!」
「俺とコレットのどこが馬鹿なんだ! スクラップ野郎!」
「まだ自分の立場が分かっていないようだ」
機械伯爵の足元のケーブルが蠢いて、蛇のようなロボットになった。
「ナノマシンによる技術だよ。驚いたかね?」
「変身!」
え……。お兄様?
言うなり、お兄様がポーズを取って跳躍した。
「とうっ!」
そう言って着地すると、お兄様はコブラをモチーフにしたような異形の戦士になっていた。全身にビッチリしたスーツを着て、腰にはベルトがある。
「お兄様、どうしたの!?」
「ナノマシン技術を応用した変身ベルトを作らせていたのさ! こうなった俺は元の千倍以上の身体能力を発揮できるぞ」
「おのれ……! 私の技術を盗んだな!」
「ああ盗んだぜ。盗んだ上で大勢の研究者と情報を共有して最高の技術に昇華させた。ロボットなんか時代遅れなんだよ。時代は変身ヒーローだ」
「コブラマシン! やつを引き裂け!」
「無駄だ! アルティメット・オメガフォーム!」
ああ! お兄様が白と黒をモチーフにした終わりと始まりみたいなデザインのスーツに変わってる!
そして、一瞬の後、コブラマシンと機械伯爵は真っ二つにされていた!
「こ、これほどとは……」
「頭を真っ二つにされてもまだ息があるとはな」
「脳のバックアップも取ってあったのさ。しかし、私はもう終わるだろう」
機械伯爵……。
かつては仲間だったのに、どうして敵に回ってしまったんだろう……。
「最後に、コレットの顔を見せてくれ」
「見てどうする」
「どうもしない。ただ、最後に見ておきたかっただけだ」
「裏切者にくれてやるのは無慈悲な死だけだ! 地獄で懺悔しな!」
「ぎゃぁぁぁ!!!!」
お兄様はプラズマソードで機械伯爵の残骸を粉々に砕いた。
「悲しい奴だったな……」
お兄様もかなり悲しい人だよ。
そう思いながら、僕は機械の最期を看取った。
楽しい―! でも、それは機械伯爵の罠だったんだ。
僕の声だけに反応するよう作られていた自動制御装置によって、ジェットコースターが本来の進路を外れ地下に向かう。
「きゃぁぁぁぁ! あれ!? なんか地下に行ってるー!?」
「クソ、これは機械伯爵の罠だったんだ! このままじゃあいつの本拠地に連れていかれる!」
「どうするのお兄様!」
「まあ見てろって。いつも言ってるだろ? 俺は問題ないって」
そして、ジェットコースターは最深部へ向かった。
そこは、石の玉座が置かれた広い空間だった。
床や壁には蛇のようにケーブルが張り巡らされている。
「よく来たな。馬鹿兄弟」
「ば、馬鹿って言ったー!」
「俺とコレットのどこが馬鹿なんだ! スクラップ野郎!」
「まだ自分の立場が分かっていないようだ」
機械伯爵の足元のケーブルが蠢いて、蛇のようなロボットになった。
「ナノマシンによる技術だよ。驚いたかね?」
「変身!」
え……。お兄様?
言うなり、お兄様がポーズを取って跳躍した。
「とうっ!」
そう言って着地すると、お兄様はコブラをモチーフにしたような異形の戦士になっていた。全身にビッチリしたスーツを着て、腰にはベルトがある。
「お兄様、どうしたの!?」
「ナノマシン技術を応用した変身ベルトを作らせていたのさ! こうなった俺は元の千倍以上の身体能力を発揮できるぞ」
「おのれ……! 私の技術を盗んだな!」
「ああ盗んだぜ。盗んだ上で大勢の研究者と情報を共有して最高の技術に昇華させた。ロボットなんか時代遅れなんだよ。時代は変身ヒーローだ」
「コブラマシン! やつを引き裂け!」
「無駄だ! アルティメット・オメガフォーム!」
ああ! お兄様が白と黒をモチーフにした終わりと始まりみたいなデザインのスーツに変わってる!
そして、一瞬の後、コブラマシンと機械伯爵は真っ二つにされていた!
「こ、これほどとは……」
「頭を真っ二つにされてもまだ息があるとはな」
「脳のバックアップも取ってあったのさ。しかし、私はもう終わるだろう」
機械伯爵……。
かつては仲間だったのに、どうして敵に回ってしまったんだろう……。
「最後に、コレットの顔を見せてくれ」
「見てどうする」
「どうもしない。ただ、最後に見ておきたかっただけだ」
「裏切者にくれてやるのは無慈悲な死だけだ! 地獄で懺悔しな!」
「ぎゃぁぁぁ!!!!」
お兄様はプラズマソードで機械伯爵の残骸を粉々に砕いた。
「悲しい奴だったな……」
お兄様もかなり悲しい人だよ。
そう思いながら、僕は機械の最期を看取った。
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