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日常

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「ん……ん……」

 昼間から盛ってるアルトと一緒にベッドのなかにいる。
 アルトは何が楽しいのか私の反応を見ながら腰を揺らしていて、私はそんなお馬鹿なアルトをじっと睨みつけていた。

「可愛い。もっと睨んで欲しいよ」

 さっきからこんな調子だ。
 私がイク寸前で止めて楽しんでる。
 何度目かの波のあと、私は限界になったので、アルトを落とすことにした。
 これ以上は付き合いきれない。

「酷い……。やっぱり私は、オモチャなんだ。アルトなら大事にしてくれると思ってたのに」
「あ、え? 違うよ? ごめん、きつかったかな?」
「……切ないの。好き、アルト。一緒にいこう?」
「くっ……」

 だいぶアルトの扱い方が分かってきた。
 私の下手な演技にアルトはころっと騙される。

「これで最後にするから……愛してる、ジェシカ……ッ」

 少し締めてやるとアルトは情けない表情になった。
 散々イジメてくれたので、今度は仕返しだ。

「好きだジェシカ! ジェシカ……ッ」

 お疲れ様でした。執拗に責められて疲れましたが、最後は気持ちよかったのでトータルでいうと満点をあげていいですね。泣き落としに弱くて面白かったです。

「なあ、ジェシカ。さっきの涙はホンモノ? ニセモノ?」
「すみません、今のは演技です。しつこいエッチも嫌いじゃないです」
「ジェシカは解けないジグソーパズルみたいな子だな」

 苦笑するアルトに抱きしめられる。

 それから、アルトは珍しく机の上で図面を引き始めた。
 アルトは仕事をしてないって自称するけど、何か重要な仕事を引き受けているような感じはしていた。

 じゃないとわざわざ騎士団長様に見回りさせたりしないだろうし。

 無防備に仕事してるけど、私が見ていていいものなのかな、と思う。

「秘密にしなくていいんですか?」
「そうだね。君の口から僕の仕事の内容が漏れたら、僕は殺されてしまうと思うよ」
「とばっちりで私まで死にそうなので口外しないことにします」
「はは、冗談だけど、まあ漏らさないに越したことはないね」

 私がいると気が散りそうなので、部屋を出ていく。

 するとメイドのモニカ、レイナ、コレットの三姉妹に見つかった。

「あっ! ジェシカ様だ! 今日もお美しいですね!」
「本当に綺麗です。ジェシカ様が来てから屋敷の空気が柔らかくなりましたね」
「ふふ、私もそう思います」

 元気いっぱいモニカ。
 クール系なレイナ。
 フワフワなコレット。

 屋敷を回してるのはこの三人で、あとは料理長の気の難しいお爺さんと庭師のお姉さんがいるだけだ。たまに騎士団長さんも見えるけど、基本はこの人達が屋敷を回してる感じかな。

 豪邸に見合わない少数精鋭だと思う。でも、アルトは屋敷を隅から隅まで四六時中綺麗にしていろ、というタイプではなく、目につくところを清潔に、あとは余裕のある時にコツコツと、というタイプなので何とか回っているらしかった。

 細かい清掃は定期的に騎士団も集めて対応しているらしい。
 大変だなあ、騎士って……。

「お暇ならお茶会でもされますか? 今日はお天気ですし」
「お願いできると嬉しいかな」
「ふふ、では日傘をお持ちしますね?」

 三人のなかでのリーダー格は、なぜかフワフワなコレットがしている。
 コレットの指示の元、すぐにお茶会の会場がセッティングされた。

「あの、皆もよかったら休憩にしない? 一人だと寂しいから」
「わあ、いいんですか!?」
「ジェシカ様は太陽のような方ですね」
「ふふ、では少しだけ近くで休ませていただきますね?」

 怒られるかな、と思ったけど。
 アルトは私が彼女たちを気安く扱っても怒らない。

 むしろ差し入れまでくれるし、そういうところ、理解のあるアルトは好きかなって思う。

「私たちは本当に優しい主に恵まれましたね」

 レイナがしみじみと呟いた。
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