巻き込まれ転移者の異世界ライフ。○○人の女を囲って幸せに生きる ~ざまぁで終わらせるわけないだろ~

みかん畑

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60 王子

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 魔人に襲撃されたり色々あったが、シディアとも親密になって旅路を再開できそうだ。

 そんなことを考えていると、空から三人の男女が降ってきた。
 男2:女1という構成だ。

「片付いてますね」

 そう言ったのは黒髪の少女、日本人である。

「殿下、あの者ですが隷属の首輪をつけられています」

 こちらも日本人顔の学生だ。恵まれたガタイをしており、腕っぷしに自信がありそうだ。

「襲撃してきた魔人を返り討ちにして奴隷にしたのか。弱い個体でよかったな」

 最後の一人だけがこの世界の住民っぽかった。
 三人の中だと一番偉そうにしているな。

 様子から見るに、俺達を助けにきたようだ。

「初めまして。私はミナガルデの第一王子にして、この国の勇者の一人、レオル・シキ・ガルデインだ。こちらにいるのは同じく勇者のフジサキ・レイナと、モリ・ユウマだ」
「迎えにきていただきありがとうございます」

 クアラが挨拶をすると、レオルは嬉しそうに頷いた。

「君がピンチだと思って急がせてもらったよ」
「あの、私はもう……」
「ああ、別の男と結婚したばかりなんだってね。サイハラ・ハジメ。君が彼女の夫なんだろ?」

 笑顔がコロコロ変わるやつだ。
 好戦的に笑っている。

 一国の王に対して王子がタメ語で話すなんてありえないことなんだが、その辺は気にしないらしい。

「今回の大会で私が優勝できたら、彼女を譲ってくれないか」
「いったい何を……」

 クアラも、他の女達も驚いている。
 しかし、三人組は『当然だろう』とでも言いたげだ。

「その提案、お前の父親は知っているのか?」
「もちろんだよ。というか、さっきから君失礼じゃないか。王とは言えウチの属国みたいなものだろ? だったらそれなりの態度ってものがあるんじゃないか?」
「殿下の仰るとおりです。客人だと思って調子に乗っているのですか? 言っておきますが、あくまで一参加者という位置づけですので、来賓の席にあなた方の椅子はありません。誤解なさらないでくださいね」
「手紙を出しておいてそのような冷遇、あまりにも無礼でしょう!」
「クアラ元女王陛下。我が国の王子との婚姻を拒絶したあなたに言われたくありませんね。冷遇されて当然ではないですか。属国が、宗主国に逆らったのですから」

 俺の女達が殺気立つ。
 特にフレアの怒りは相当だった。

「ねえ、殿下とか言われてたかしら。さっきからあんた匂うのよ。リーフと契約したの、あんたでしょ」
「リーフ……リーフ……。すまない。何の話か分からないな」
「あんたが契約した精霊のことよ!」
「ああ、ああー。あれのことか。王城に行けば見れるんじゃないかな」
「リーフに何をしたの……?」
「別に、地脈と繋いで結界の一部にしただけだよ。おかげで契約者の私もだいぶ強くなれたし、この国の結界も安定してる。いや、あれには感謝しかないね」
「この……ッ」
「フレア、俺が話をつける」

 精霊王を結界の術式の一部にしたか。
 悔しさのあまりフレアは泣きそうだ。
 そして、俺自身も――許せそうにない。

 フレアにこんな顔をさせたことも、精霊を道具のように扱ったこともだ。

 俺は女を便器のように使う時、どれだけのものをこの先返せるかを考える。
 そして、共に幸せになるプランを立てる。

 一方的に消耗させるなど、ただの甲斐性のないクズのすることだ。
 俺の正義には反する。

「女子供は幸せにする。そんな当たり前のことも理解してないようなクズが王族とは、ミナガルデも先が見えたな」
「殿下に向かってなんて口の利き方を……!」
「クズにクズと言って何が悪い」

 時間を停止する。
 そして、俺は思いきりレオルを殴りつけてやった。
 時間停止を解く。

「ぎゃっ……わ、私の鼻が……」
「安心しろよ。大会ではこれは使わないでおいてやる。その代わり、たっぷり時間をかけて潰してやるから覚悟しろよ」
「仲間に魔法でも使わせたんだろ。自分に意識を逸らしておいての奇襲……。できる勇者って聞いたけど高が知れたな! 私との勝負からも逃げるつもりだろう!」
「負けた方が隷属の首輪をつけて何でも言うことを聞く。それで問題ないだろ」
「よし、レイナ。君のスキルで契約書を作れ」

 彼女は黄金に輝くペンを生成した。

(あれが神器か……)

 レイナはペンを効果を使い、契約書を二部作成した。

「私の神器、『制約』は同意によって決められた内容を遵守させることができます。また、契約内容の履行も自動で行います」

 俺は契約書を鑑定した。
 内容、効果ともに理解した。
 問題はなさそうだ。

 その場でサインをしてやる。

「殿下、俺はあの女が欲しいです」
「はぁ? 私のこと見てんの?」

 アンナが憮然としている。

「声も可愛い……。俺は大会に出るつもりだ。是非、俺の勇姿を見ていてくれ」
「いや、ありえないんですけど。私が好きなのはこいつだけだし」
「俺の神器『抑制』を見ても同じことが言えるか楽しみだな」

 話は終わった。三人は来た時と同じように空を飛んで王都に戻っていった。

「イラつく奴らだったねー。さっさと斬りたいよ」
「皆、勝手な賭けをしてすまない」
「ハジメ様は勝ちますし、何の問題もありませんよ?」
「てかあの男、私の胸ずっと見てたんだけど」

 アンナも巻き込んですまない……。
 ユウマの視線は俺もちょっと気になってた。
 俺が言えたことじゃないけど、あいつ節操がないな。

「アイスは大丈夫か?」
「はい。何度か頭に来て氷漬けにしちゃいそうでしたけど、我慢しました」
「俺が代わりに氷漬けにしとくよ」
「楽しみです」

 誰が大会に出てこようが潰すだけだ。
 そしてリーフを助け出す。……必ずだ。
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