27 / 69
27 バレる
しおりを挟む
クアラと腕を組んで廊下を歩く。
会議が終わったのでこれから昼食だ。
しかし、このままずっと拘束されるのは困るな。
アイスとフレアに事情を説明したいし――いや、どうやって説明すればいいんだ。
状況的にはハッキリ言って四股だ。
これ、バレたら非常にまずいことになるんじゃ……。
そう思っていたら、怒り顔のアイスとフレアが歩いてくるのが見えた。
「もう! 大事な恋人を置いてどこに行ってたんですか!」
「すぐに戻ってくるって言ったきり、一晩も留守なんてどういうことよ。心配してたのよ?」
アイスとフレアからお叱りを受ける。
フレアは目ざとく俺の腕を見つめた。
「ちょっとそこの人間、確かクアラ女王とか言ったかしら? そこのマスターはあたし達の恋人だから、放してあげてくれない?」
(まずい……! バレたか!)
クアラの出方が未知数だったが、彼女は俺と組んでいた腕を振り解いた。そして、思いきり俺の頬を張った!
「いった……」
「わ、私を強姦しておいて、他に恋人を……! この嘘つき強姦魔! 精霊と結ばれるなんて不潔です! このヘンタイ! ロリコン! ぶち殺してさしあげます!」
「え? え!? あんた浮気したの!?」
「ハジメさん浮気したんですか!!!???」
や……やべ……。どうすりゃいいんだ。
「お姉さんたち落ち着きなって。ハジメ、皆が捨てても私は一緒にいるからね」
「まーたー新しい娘ですかーーーー!!!???」
アイスの絶叫が響き渡る。
四度目の人生も詰んだかもな……。
シロナ、出てくるタイミングが完璧すぎだ……。
で、俺は会議が終わったばかりだというのに、彼女達と話し合いの場を設けることになってしまった。これはもう昼食どころじゃなかった。
「ところで奴隷エルフはどこにいるんだ?」
「また浮気を考えてるんですか!? ハジメさんの浮気者!」
「……あんたは今、その心配をしなくていいわ。言っとくけど、いくら強くなったって言ってもあたしとアイスが本気出したらタダじゃ済まなくなるからね」
「すみませんでした……」
まずは謝罪をする。
「ねえ、ハジメだって故郷とお別れして寂しかったんだしさ。許してあげれば?」
そういうシロナは俺の膝の上を独占してる。皆からの視線が痛いが、シロナは『話し合いがどうなろうが私はハジメと一緒だから構わないでしょ?』と強気だった。シロナたん好き……。思わず頭を撫でてしまう。このまま犯したいけど自重しよう。
「いやいやいや、その理屈は無理ですから! 田舎から引っ越して一人暮らし始めたら何股かけてもいいんですか!? よくないですよねぇ!? 私はこの男に騙されて、一国の女王なのに中出しまで決められて……!」
「王って言うならあたし達も精霊の王なのよねえ。あなたのことは信用していただけに、とってもショックだわ」
「酷いですハジメさん……。私達じゃ恋人失格でしたか?」
苦しすぎる……。特にアイスの言葉が響いた。
俺は正直に謝ることにした。
「皆すまない。俺は、元の世界じゃただの凡人だったんだ。特別に優れたこともないどこにでもいるような一般人だった。それが、ここに来てからは魔法の才能があるとか、聖剣に選ばれたとか、そんなことで調子に乗ってしまってた。だから、やっちゃいけないことまで……。こんな有様だけど、皆のことは愛してるんだ。すまなかった」
辛いが、これで捨てられたらそこまでだと思う。シロナ以外の女達を時間停止して監禁し、一生お人形にするしか……いや、違うだろ。俺は、彼女達を幸せにしたいんだ。そこだけはクズだが譲れない。今まで尽くしてくれた彼女達を時の止まった人形にするなど、一瞬でもそんな考えに流れた自分が許せない。本当に、愛してるんだ。駄目な俺だけど、受け入れてほしい。ずっとそばで笑ってて欲しい。それが偽らざる俺の本音だ。
「ハジメ、許されないことしたね。皆は許さないだろうけど、私だけは最後まで一緒にいるから。ねえ、この国を出て結婚しちゃおっか? 古い貨幣だけど、金貨も少しは持ってるからさ」
「ああ、その、ありがとう……」
シロナはダメ男製造機だな……。メスガキなのに優しくて好きだ。
「あんたさっきから何抜け駆けしようとしてんのよ!!!」
フレアが激怒した。
まあ、確かに抜け駆けっぽかったからな。
「私は悲しかったし驚いたけど、怒ってはいませんよ? 皆さん素敵な人でしたし、きっと仲良くできます。だから、これからも一緒にいましょう?」
「アイス、ありがとう……」
天使だな……。
「はぁ……。あんたはこの先も自重できないと思うけど、一度契約したマスターを見捨てるなんてありえないから。つまりどういうことかと言うと、あんたがこの先どれだけ道を踏み外して馬鹿な真似をしても、あたしは注意をしつつ叱ったりしてずっと傍にいてあげるってこと! これからも感謝し続けなさい!」
「ありがとう。フレアの愛情深さには本当に助けられてるよ」
「仕方のない人ね……」
呆れたように笑うフレアの顔が好きだ。ずっと見守っていて欲しいと思う。
「側室……はぁぁぁ。私、本当は独占欲強めなんですからね。たまには独り占めさせてください。あと、もっと優しくしてくださいね? お姫様扱いして欲しいです」
クアラを招き寄せて頭を撫でる。
正直、憎い女王だとは思ってたけど、今は恋人だ。彼女のことも大切にしていきたいと思う。もともと能力もない女王だし、俺が大人になって見守ってやらないとな。
「ちょっと私のこと馬鹿にしてません?」
「してないよ」
嘘である。
こうして俺は最大の危機を乗り越えることができた。
アイス、フレア、クアラ、シロナ。
彼女達と共に、この異世界を生き抜いていこう。
(……縁に恵まれたな)
会議が終わったのでこれから昼食だ。
しかし、このままずっと拘束されるのは困るな。
アイスとフレアに事情を説明したいし――いや、どうやって説明すればいいんだ。
状況的にはハッキリ言って四股だ。
これ、バレたら非常にまずいことになるんじゃ……。
そう思っていたら、怒り顔のアイスとフレアが歩いてくるのが見えた。
「もう! 大事な恋人を置いてどこに行ってたんですか!」
「すぐに戻ってくるって言ったきり、一晩も留守なんてどういうことよ。心配してたのよ?」
アイスとフレアからお叱りを受ける。
フレアは目ざとく俺の腕を見つめた。
「ちょっとそこの人間、確かクアラ女王とか言ったかしら? そこのマスターはあたし達の恋人だから、放してあげてくれない?」
(まずい……! バレたか!)
クアラの出方が未知数だったが、彼女は俺と組んでいた腕を振り解いた。そして、思いきり俺の頬を張った!
「いった……」
「わ、私を強姦しておいて、他に恋人を……! この嘘つき強姦魔! 精霊と結ばれるなんて不潔です! このヘンタイ! ロリコン! ぶち殺してさしあげます!」
「え? え!? あんた浮気したの!?」
「ハジメさん浮気したんですか!!!???」
や……やべ……。どうすりゃいいんだ。
「お姉さんたち落ち着きなって。ハジメ、皆が捨てても私は一緒にいるからね」
「まーたー新しい娘ですかーーーー!!!???」
アイスの絶叫が響き渡る。
四度目の人生も詰んだかもな……。
シロナ、出てくるタイミングが完璧すぎだ……。
で、俺は会議が終わったばかりだというのに、彼女達と話し合いの場を設けることになってしまった。これはもう昼食どころじゃなかった。
「ところで奴隷エルフはどこにいるんだ?」
「また浮気を考えてるんですか!? ハジメさんの浮気者!」
「……あんたは今、その心配をしなくていいわ。言っとくけど、いくら強くなったって言ってもあたしとアイスが本気出したらタダじゃ済まなくなるからね」
「すみませんでした……」
まずは謝罪をする。
「ねえ、ハジメだって故郷とお別れして寂しかったんだしさ。許してあげれば?」
そういうシロナは俺の膝の上を独占してる。皆からの視線が痛いが、シロナは『話し合いがどうなろうが私はハジメと一緒だから構わないでしょ?』と強気だった。シロナたん好き……。思わず頭を撫でてしまう。このまま犯したいけど自重しよう。
「いやいやいや、その理屈は無理ですから! 田舎から引っ越して一人暮らし始めたら何股かけてもいいんですか!? よくないですよねぇ!? 私はこの男に騙されて、一国の女王なのに中出しまで決められて……!」
「王って言うならあたし達も精霊の王なのよねえ。あなたのことは信用していただけに、とってもショックだわ」
「酷いですハジメさん……。私達じゃ恋人失格でしたか?」
苦しすぎる……。特にアイスの言葉が響いた。
俺は正直に謝ることにした。
「皆すまない。俺は、元の世界じゃただの凡人だったんだ。特別に優れたこともないどこにでもいるような一般人だった。それが、ここに来てからは魔法の才能があるとか、聖剣に選ばれたとか、そんなことで調子に乗ってしまってた。だから、やっちゃいけないことまで……。こんな有様だけど、皆のことは愛してるんだ。すまなかった」
辛いが、これで捨てられたらそこまでだと思う。シロナ以外の女達を時間停止して監禁し、一生お人形にするしか……いや、違うだろ。俺は、彼女達を幸せにしたいんだ。そこだけはクズだが譲れない。今まで尽くしてくれた彼女達を時の止まった人形にするなど、一瞬でもそんな考えに流れた自分が許せない。本当に、愛してるんだ。駄目な俺だけど、受け入れてほしい。ずっとそばで笑ってて欲しい。それが偽らざる俺の本音だ。
「ハジメ、許されないことしたね。皆は許さないだろうけど、私だけは最後まで一緒にいるから。ねえ、この国を出て結婚しちゃおっか? 古い貨幣だけど、金貨も少しは持ってるからさ」
「ああ、その、ありがとう……」
シロナはダメ男製造機だな……。メスガキなのに優しくて好きだ。
「あんたさっきから何抜け駆けしようとしてんのよ!!!」
フレアが激怒した。
まあ、確かに抜け駆けっぽかったからな。
「私は悲しかったし驚いたけど、怒ってはいませんよ? 皆さん素敵な人でしたし、きっと仲良くできます。だから、これからも一緒にいましょう?」
「アイス、ありがとう……」
天使だな……。
「はぁ……。あんたはこの先も自重できないと思うけど、一度契約したマスターを見捨てるなんてありえないから。つまりどういうことかと言うと、あんたがこの先どれだけ道を踏み外して馬鹿な真似をしても、あたしは注意をしつつ叱ったりしてずっと傍にいてあげるってこと! これからも感謝し続けなさい!」
「ありがとう。フレアの愛情深さには本当に助けられてるよ」
「仕方のない人ね……」
呆れたように笑うフレアの顔が好きだ。ずっと見守っていて欲しいと思う。
「側室……はぁぁぁ。私、本当は独占欲強めなんですからね。たまには独り占めさせてください。あと、もっと優しくしてくださいね? お姫様扱いして欲しいです」
クアラを招き寄せて頭を撫でる。
正直、憎い女王だとは思ってたけど、今は恋人だ。彼女のことも大切にしていきたいと思う。もともと能力もない女王だし、俺が大人になって見守ってやらないとな。
「ちょっと私のこと馬鹿にしてません?」
「してないよ」
嘘である。
こうして俺は最大の危機を乗り越えることができた。
アイス、フレア、クアラ、シロナ。
彼女達と共に、この異世界を生き抜いていこう。
(……縁に恵まれたな)
1
お気に入りに追加
421
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!


とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

薬漬けレーサーの異世界学園生活〜無能被験体として捨てられたが、神族に拾われたことで、ダークヒーローとしてナンバーワン走者に君臨します〜
仁徳
ファンタジー
少年はとある研究室で実験動物にされていた。毎日薬漬けの日々を送っていたある日、薬を投与し続けても、魔法もユニークスキルも発動できない落ちこぼれの烙印を押され、魔の森に捨てられる。
森の中で魔物が現れ、少年は死を覚悟したその時、1人の女性に助けられた。
その後、女性により隠された力を引き出された少年は、シャカールと名付けられ、魔走学園の唯一の人間魔競走者として生活をすることになる。
これは、薬漬けだった主人公が、走者として成り上がり、ざまぁやスローライフをしながら有名になって、世界最強になって行く物語
今ここに、新しい異世界レースものが開幕する!スピード感のあるレースに刮目せよ!
競馬やレース、ウマ娘などが好きな方は、絶対に楽しめる内容になっているかと思います。レース系に興味がない方でも、異世界なので、ファンタジー要素のあるレースになっていますので、楽しめる内容になっています。
まずは1話だけでも良いので試し読みをしていただけると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる