巻き込まれ転移者の異世界ライフ。○○人の女を囲って幸せに生きる ~ざまぁで終わらせるわけないだろ~

みかん畑

文字の大きさ
上 下
10 / 69

10 精霊フレア

しおりを挟む
 どうしてあんなことしてしまったんだ……。
 アイスが綺麗すぎて歯止めがきかなかった。
 しかし、彼女は最初からそんな関係を俺に求めてなかった。
 何度も釘を刺されてたのに、言うことを聞かず暴走してしまった。
 強引にキスまで迫ってしまった。

「すまなかった」

 伝える相手がいなければ、ただの独り言だ。

 アイスに契約破棄された俺は、失った魔法を再現できないか試すことにした。
 魔力を消費し、アクア・ランスの魔法を何度も試行する。
 しかし、やはり発動すらしない。

 俺に才能がないのか、精霊がいなければ発動すらしないように作られているのか、答えは分からない。一つだけ分かるのは、このまま精霊と契約しなければ、俺の身に危険が及ぶということだ。この国が力を持たない人間をどう扱うか、俺は身を以って知っている。

 アイスとの契約を失ったことは辛かったが、悲しんでいる暇もないというのが現実だった。

「精霊よ、我が魔力と引き換えに百年の契約を願う」

『我、汝の呼びかけに応じ、契約に応じよう』

 アイスを失った俺の元に召喚されたのは、真紅の髪を持つ少女だった。アイスと同年代くらいの見た目で、俺は自分がロリコンなのではないかと疑いたくなった。どうして若い少女ばかり召喚してしまうのだろう。

 彼女には好戦的な雰囲気があり、なぜか睨まれてしまった。

「あなた、結構な魔力を持ってるみたいだけど、見てたわよ。精霊と交わろうとするなんて、かなりのヘンタイみたいね。あたしに舐めた真似してくれたら十倍にして返してあげるから」
「二度と精霊には手を出さないつもりだ」
「当然でしょ。あたしはあの娘みたいに甘くない。魔法を奪って始末してやってもいいくらいのところを、契約破棄だけで済ませたのは恩情なんだからね?」
「ああ……」
「本当に分かってる!? 精霊はね、自分の魔法に誇りを持ってるの! 肉体関係なんか結んだら、そっちで契約を取ってるって思われるじゃない! アイスはずっと自分の魔法を役立てることを夢見てたのに……こんなの悲しすぎるじゃない!」

 どうやらアイスの知り合いのようだ。
 フレアは怒りのあまり泣いてしまっていた。
 友達の為に泣けるのは、それだけ情が深い精霊だからだ。

 俺は罪悪感で胸が痛んだ。

「本当にすまなかった……」

 契約するなり睨んできたのは、俺が友人に手を出してしまったせいだろう。

「なあ、どうして俺みたいなのと契約してくれたんだ……?」
「言いたくないけど、アイスの頼みよ」

 あんなことがあったばかりなのに、別の精霊に口添えしてくれたのか。

 アイスの優しさに視界がぼやけた。
 俺は、全然彼女の気持ちを汲みとれてなかった。

 せめて、期待に恥じない戦士になりたいと思う。
 それが、せめてもの罪滅ぼしだ。

 フレアの魔法は屋内で使うには危険すぎるということで、外に出て練習することになった。俺が最初に学んだ魔法は、フレア・バーストという空間を指定して爆発させる魔法だった。フレアは炎の揺らめきで的を作り、そこを爆破するよう俺に命じた。練習は夜中まで続き、食事の時間さえ削って俺は練習に励んだ。

「筋はいいわね。的を素早く正確に狙えるのは才能よ。魔力量も申し分ない」
「……ありがとう」
「ただ、フレアバーストは魔法のなかでももっとも簡単な部類よ。狙いを定めて魔力を注ぐだけ。あなたが習ったウォーターカッターやアクアランスとは毛色が違うでしょう」
「正直、魔力を安定させる工程がないから楽に使えた印象だ」
「そうね。遠距離で戦うだけなら最初はこれだけでいいわ。撃ち漏らしたら終わりだけど」
「近距離と遠距離、両方使えた方がいいよな」
「いずれそうなる必要はある。でも、今は実践に投入できる魔法を一つでも増やすことを優先しなさい。それまではあたしがカバーしてあげる」

 フレアの申し出は意外だった。

「精霊は直接的に魔法を行使しないんじゃないのか?」
「そうね。魔力で生命を維持してる精霊にとって、魔法を使うことは身を削るに等しい行為よ。でも、あなたはきっと大物になる。その為だったら、少し身を削るくらいなんてことないわ。アイスのお願いでもあるしね……」

 フレアは本当に情が深い……。
 俺は今度こそ精霊を裏切らないことを誓った。
 きっと、二人の期待に応えてみせる。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

勇者のハーレムパーティー抜けさせてもらいます!〜やけになってワンナイトしたら溺愛されました〜

犬の下僕
恋愛
勇者に裏切られた主人公がワンナイトしたら溺愛される話です。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

薬漬けレーサーの異世界学園生活〜無能被験体として捨てられたが、神族に拾われたことで、ダークヒーローとしてナンバーワン走者に君臨します〜

仁徳
ファンタジー
少年はとある研究室で実験動物にされていた。毎日薬漬けの日々を送っていたある日、薬を投与し続けても、魔法もユニークスキルも発動できない落ちこぼれの烙印を押され、魔の森に捨てられる。 森の中で魔物が現れ、少年は死を覚悟したその時、1人の女性に助けられた。 その後、女性により隠された力を引き出された少年は、シャカールと名付けられ、魔走学園の唯一の人間魔競走者として生活をすることになる。 これは、薬漬けだった主人公が、走者として成り上がり、ざまぁやスローライフをしながら有名になって、世界最強になって行く物語 今ここに、新しい異世界レースものが開幕する!スピード感のあるレースに刮目せよ! 競馬やレース、ウマ娘などが好きな方は、絶対に楽しめる内容になっているかと思います。レース系に興味がない方でも、異世界なので、ファンタジー要素のあるレースになっていますので、楽しめる内容になっています。 まずは1話だけでも良いので試し読みをしていただけると幸いです。

処理中です...