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4 接近
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「お疲れ様でした。サイハラ様」
「またここか……」
白いドレスを着た女性が穏やかに微笑んでいる。
例の女神様だ。俺はまた失敗してしまった。
「あなたには二つの選択肢があります。異世界に再挑戦するか、新しい人生をスタートするか」
「え……。まだやり直せるんですか?」
「はい。あなたの心が折れない限り、何度でも」
(一回失敗したらゲームオーバーってわけじゃないのか)
しかし、俺の心は折れる寸前だ。
時間停止のスキルを全く使いこなせなかった。
少し止めただけでフルマラソンをしたのと同じくらい息切れが酷くなって、立っていることすらままならなくなった。もっと使い勝手のいいスキルがあるんじゃないか?
「女神様、チートスキルを取り換えてもらえませんか? 俺、あんなスキルじゃ戦えませんよ」
「それは無理です。付与できるスキルはあらかじめ決められています。もし諦めるというなら、新しい人生への転生を手配しますが」
なんか二回も拷問されたし、もう諦めようかな。
チートスキルも全然期待できないし。
「じゃあ諦め――」
「ちなみに、勇者として世界を救ったあかつきには、願い事を一つ叶えられます」
「え? それ本当ですか?」
「はい。私を抱きたいとかは駄目ですが、それ以外であれば結構色々なことが叶えられますよ。というか、私に害がなければなんでもいいですよ。私に害がなければ」
「どんだけ警戒してるんですか。まあ、女神様は綺麗ですもんね」
見た目だけなら美少女だ。性格も、少し事務的な対応が目立つけど、極端に悪いわけではないし。
「褒めても何も出ませんよ? あ、そういえばあなたに与えた時間停止のスキルですが、使うなら5秒以下の小出しとかにした方がいいです。前回の人はそうやって使ってました」
(ちょっと褒めたらあらかさまに態度が変わった……! 今まで助言とか一切なかったのに!)
「それと、もしスキルが扱えないなら、最初は魔法を使うことをお勧めします」
「俺にも魔法が使えるんですか!?」
「はい。精霊と契約すれば使えます」
「精霊とはどうやって契約すれば……」
「精霊よ、我が魔力と引き換えに百年の契約を願う。ハッキリとこう告げれば、きっと応じてくれる精霊がいるはずです。時間停止のスキルは、強大な魔力がなければ発動すらできません。全宇宙の時すら止めるスキルですからね。あなたの力に惹かれる精霊は多いと思います」
「そうだったんですね……。ありがとうございます! 何とか頑張れそうな気がしてきました!」
「いえ。ところで参考までに、私のどういうところが魅力的ですか?」
めちゃくちゃ気にしてるよ……。
「声とか、笑顔とかですかね」
「笑顔は作り物です。普段の私はこんな感じです」
女神様が能面になった。いや、俺は何を見せられているんだろう。
「それはそれで、クーデレっぽくて俺は好きですけどね」
「よく分かりませんが褒めているのですか?」
女神様とちょっと仲良くなれた気がした。
「では、いってらっしゃいませ。久しぶりに神託でも告げましょうかね。今日は気分がいいので」
「またここか……」
白いドレスを着た女性が穏やかに微笑んでいる。
例の女神様だ。俺はまた失敗してしまった。
「あなたには二つの選択肢があります。異世界に再挑戦するか、新しい人生をスタートするか」
「え……。まだやり直せるんですか?」
「はい。あなたの心が折れない限り、何度でも」
(一回失敗したらゲームオーバーってわけじゃないのか)
しかし、俺の心は折れる寸前だ。
時間停止のスキルを全く使いこなせなかった。
少し止めただけでフルマラソンをしたのと同じくらい息切れが酷くなって、立っていることすらままならなくなった。もっと使い勝手のいいスキルがあるんじゃないか?
「女神様、チートスキルを取り換えてもらえませんか? 俺、あんなスキルじゃ戦えませんよ」
「それは無理です。付与できるスキルはあらかじめ決められています。もし諦めるというなら、新しい人生への転生を手配しますが」
なんか二回も拷問されたし、もう諦めようかな。
チートスキルも全然期待できないし。
「じゃあ諦め――」
「ちなみに、勇者として世界を救ったあかつきには、願い事を一つ叶えられます」
「え? それ本当ですか?」
「はい。私を抱きたいとかは駄目ですが、それ以外であれば結構色々なことが叶えられますよ。というか、私に害がなければなんでもいいですよ。私に害がなければ」
「どんだけ警戒してるんですか。まあ、女神様は綺麗ですもんね」
見た目だけなら美少女だ。性格も、少し事務的な対応が目立つけど、極端に悪いわけではないし。
「褒めても何も出ませんよ? あ、そういえばあなたに与えた時間停止のスキルですが、使うなら5秒以下の小出しとかにした方がいいです。前回の人はそうやって使ってました」
(ちょっと褒めたらあらかさまに態度が変わった……! 今まで助言とか一切なかったのに!)
「それと、もしスキルが扱えないなら、最初は魔法を使うことをお勧めします」
「俺にも魔法が使えるんですか!?」
「はい。精霊と契約すれば使えます」
「精霊とはどうやって契約すれば……」
「精霊よ、我が魔力と引き換えに百年の契約を願う。ハッキリとこう告げれば、きっと応じてくれる精霊がいるはずです。時間停止のスキルは、強大な魔力がなければ発動すらできません。全宇宙の時すら止めるスキルですからね。あなたの力に惹かれる精霊は多いと思います」
「そうだったんですね……。ありがとうございます! 何とか頑張れそうな気がしてきました!」
「いえ。ところで参考までに、私のどういうところが魅力的ですか?」
めちゃくちゃ気にしてるよ……。
「声とか、笑顔とかですかね」
「笑顔は作り物です。普段の私はこんな感じです」
女神様が能面になった。いや、俺は何を見せられているんだろう。
「それはそれで、クーデレっぽくて俺は好きですけどね」
「よく分かりませんが褒めているのですか?」
女神様とちょっと仲良くなれた気がした。
「では、いってらっしゃいませ。久しぶりに神託でも告げましょうかね。今日は気分がいいので」
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