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118 ゲームクリア

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 大陸を制覇した俺は大いなる支配者となり、並ぶものなき真の王となった。

 しかし、俺は冥界の力を持った神だ。カルマオンラインの世界において、俺はアルカナとカイリ、二柱の神と並び立つことで力の均衡を保つこととした。まあ、ユウタを生かしてやってるのもバランス取りの一環だな。

 俺の力が飛びぬけて強い状態だと、世界に死が溢れすぎてしまう。前世の俺が転生を選んだ理由も、強くなりすぎたが故に、世界を権能で侵してしまわないように――という願いからだったと聞いた。アルカナがそう言っていたんだ。まあ、今の俺からすれば軟弱な考えだと思うけどな。力が強くなりすぎたなら、いっそのこと手放してしまえばいい。今の俺には愛する女達がいる。彼女達がいれば、俺は例え力を失うことがあっても、構わないと思っている。

 さて――

 深夜、俺は久しぶりに分裂していた意識と身体を統合し、一人のタクマとなった。

 某ネズミみたいにタイムスケジュールを組んで同じ時間軸の自分と会わないよう気を遣っていたが、自分に気を遣うのもだんだんとバカらしくなってきた。

 いつまでこんな生活を続けているんだろうな……。

「いっそのこと逃げればいいんじゃねえか?」

 耳に馴染んだ声が聞こえた。

「ガランか」
「親父と呼べよ、タクマ」

 なんとなく、そろそろ会えるような気はしていた。俺の認めた男が、過去で消滅してそれっきりということはないと思っていた。腕っぷしの強そうな野性味溢れる男が、顎髭をなぜながら俺に微笑みかけてきた。悪戯に成功した子供のような表情だな。

「……俺を殺しにきたのか?」
「力試しはするつもりだが、そんなことをする為に帰ってきたんじゃねえよ」
「そんなこと……か。恨まれても仕方のないことをしたけどな。アルカナを寝取り、カイリも妻にした。あんたからすれば仇敵だ」
「ちいせえな。まあ、元々の俺はケツの穴の小さい男だったよ。だが、お前に分割されたお陰で、怒りや妬みなんて感情は克服することができた。今の俺には無限に湧きあがる愛情しかねえな」

 ああ、確かに凄味を感じる。このガランは、強い。

 神として力を得たからこそ見える世界がある。
 俺、アルカナ、カイリ、ガラン――ついでにユウタもか。

 本物の神となった俺達には、本物の感情だけがある。もしガランが俺を始末しにきたなら、戦いは既に終わっている頃だろう。

「それで、いい加減に用件を話してくれないか」
「せっかちなところは変わらないな。まあ、大したことじゃねえよ。カナミを俺にくれないか」
「……は?」
「もう散々抱いただろ。あいつのことは元々オナホとして育ててやったんだ。しかし、途中で育てるのに疲れてよ。お前に預けて死んだふりをしてたんだが、最近、思い出して覗いてみたらいい女に育っててなぁ」
「冗談にしては質が悪いな」
「だから冗談じゃねえっての。まあ、お前ももう分かってるんだろ? カルマオンラインは罪人の魂を使って作られたNPCの楽園だ。俺だって元々はNPC側だったんだ。しかし、俺は途中で目覚めた。自我を取り戻したんだ。でも、ここにいる連中は自分の罪に気づいちゃいない。だから、こんな未開で魔物が発生する鳥籠の世界に入れられてるんだよ。神の玩具にされてな」

 結局――同じか。

 何人か、ペラペラと俺に偉そうなご高説を垂れてくれた奴がいた。

 連中に言わせれば、ここにあるのは紛い物だけらしい。

 感情はあっても、神達の都合によって作られた被造物に過ぎないと。

 残念だが、ここにいる女達は俺が守ってやらないといけない。
 こういうクズ野郎達にいいようにされるからだ。

 クリュウが言っていたが、神達は自分の管理する楽園の女達をコレクションと呼び、女を交換して楽しんでいるらしかった。

 俺はクリュウに誘われて天国に脚を運んだこともあるが、男も女も神ってのはロクでもない連中だった。

『罪人の魂で作られてるから、好きにしていいんだって』

『感情がある? そりゃそうでしょ。じゃないと俺達が楽しめないしさ』

 ああ、本当に、ウンザリだ。

「改めて言ってやるよ。この世界にいるのは全員、俺の女だ。もしも手を出すってなら、たとえあんたでも容赦はしない」

 ガランが身の丈ほどもある大剣を抜き、俺に斬りかかる。
 しかし、俺が念じると彼は足元から崩れ落ちた。

「へへ……。ひでえな。権能で一発かよ」
「親子の情を期待しているなら御門違いだ。あんたはカナミを捨てた。もう俺の親じゃない」
「いいねぇ……」

 何がいいのか知らないが、ガランはそれ以上語ることはなかった。
 結局、何をしにきたんだ?
 読めない男だったな。

 俺はカナミを玉座に転移させた。

「ん……。どうしました? 急に」
「火がついたんだ。鎮めてくれ」

 カナミの巨乳を揉みながら、真紅のカーペットの上に彼女を寝かせる。

「もう、急なんですから」

 カナミの胸を吸いながら、穴を指で弄りまくる。
 たっぷりと濡らしたあとは、馬乗りにさせてカナミに腰を振らせた。
 カナミと手を握り合いながら、気持ちを高めていく。

 幸せだった。
 尽きることのない欲望は、俺にとって愛情の裏返しだ。

 たっぷりとカナミを抱いたあと、俺は真紅のカーペットの上で大の字になった。

「兄さん、だらしないって怒られちゃいますよ?」
「いいんだよ。怒られたら謝ればいい。二人でな」
「私もですか?」
「当たり前だろ。妹なんだから」

 カナミと手を握り合う。
 大事な妹と、大事な妻達。
 欲望は尽きることがないが、この家族がいればこの先も大丈夫だと思った。

 拳を突き出して、掴むフリをする。

「どうしたんですか?」
「ゲームクリアだ」

 カナミの腹部をさする。
 愛する者達と生き続けよう。
 永久に……。
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感想 27

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みんなの感想(27件)

竜二
2024.05.07 竜二

誤字脱字報告です

29話

盗賊が放った矢を掴んで投げ返す所で、
弓を投げ返し⇒矢を投げ返し
です

みかん畑
2024.05.07 みかん畑

報告ありがとうございます!

解除
m
2022.01.31

読み始めです。
最初から嫌悪感が尋常じゃない妹。でも主要人物ぽい?
ここまで読者に嫌わせてからの(読者の)好感度上げが気になる(すまない)
主人公は 更に更にゲスイ方が好きです。皆さんがドン引きするくらいでお願いします(殴

解除
キョウ
2022.01.20 キョウ

冷静に挟んでくるクズ小ネタにニヤッとさせられるw
クド過ぎないバランスも好き。最初の凄いクズ描写だと不快感しかなかったけど、欲求に正直ながらも優しい性格を理解すると逆に気持ち良い。

解除

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