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98 究極魔法
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無事にエルフの森を支配し、族長達も魔帝国へ転移させた。
(毎日エルフが選び放題だな)
女エルフが残ってないか村を散策していたところ、俺は誰もいなくなったエルフの村に女達が転移してくるのを確認した。現れたのはカナミ、エリス、レイナ、ジュリの四人だった。
何となく、嫌な予感がする。
女達の中でも比較的、俺が逆らえない四人だった。
「随分とはしゃいでたわね。エルフを106人も嫁にして満足だったかしら」
ジュリが全く笑顔を見せずに言葉を投げかけてきた。
「いや、あれは男達から救う為に仕方なくだな……。というか、いつから三人と面識があったんだ?」
「私の配下にはあまり頭を使えるのがいないから、たまにエリスを借りてたのよ。今日、ここに私達を集めたのも彼女よ」
正直、動揺しなかったかと言えば嘘になる。
腹心による不意打ちか。
まあ、エリスのことだから俺を想ってのことなんだろうが……。
「言っておくけど、エリスを責めるのはお門違いよ。あなたは前から無茶苦茶な人だったけれど、『冥王』を手に入れてからは拍車が掛かってるわね。もう少し私達の気持ちも考えたらどうかしら」
俺は常に皆のことを考えている。
そう思ったのが顔に出ていたらしい。
ジュリに溜息をつかれてしまった。
「あなたは女を独り占めできて満足でしょうけど、考えてもみなさい。例えば私に131人も恋人が居たらどう思うのよ」
何も言えない……。
あまりに的確な指摘だったからな。
俺だったらその131人を抹殺していただろう。
そう考えると女達が共生してくれてるのは本当にありがたいことだと思った。
「タクマ様、私達の抱える孤独、少しは分かっていただけましたか?」
「レイナ……。まあ、俺は身勝手すぎたかもな」
「納得いただけて良かったです。もし理解していただけないなら、私達も131人の殿方と関係を持とうと思っていました」
「それはやめてくれ」
その131人には地獄を見てもらうことになってしまう。
「やめて欲しいんですよね? でも、それだけ辛かったということは分かってください。ただ、実のところ解決方法は既にあるんです。エリスが解決策を用意してくれました」
そんなものがあるのか?
メイド服姿のエリスが軽く微笑する。
さすがは俺の万能メイドだ。
「この度、どれだけ恋人が増えても問題が起きない。そんな究極のスキルを私は完成させました。ラリエ様が協力してくださったお陰です」
「その魔法の名前を、教えてくれるだろうか」
「究極魔法『アルカナ』と言います。全ての乙女の意識を統合し、究極の少女を召喚する大魔法です。アルカナの器はタクマ様が愛した女性の魂をいつでも受け入れ、そして統合します。もちろん、いつでも受け入れた魂は分離可能です。それぞれの人生があるのだから当然ですね」
「まさかそんな魔法を思いつくとは……」
一つの器に女の意識を統合すれば、確かに孤独は消えるだろう。
「早速、試しますか?」
「そうだな。やってみてくれ」
「その前に、一つ注意点があります、兄さん」
なんだろう。
「誕生したアルカナは兄さんに愛されたいと願った私達の意識の集合体なんです。たぶん、多くの愛情を欲しがると思います」
一人や二人分の愛情では事足りないと言うことか。
まあ、犯しまくってやるから心配するな。
「分かった。どんな想いであっても受け入れると約束しよう」
カナミと約束する。
そうして、究極魔法アルカナが発動されることになった。
「『アルカナ』を発動させる為には『アルカナ因子』のスキルを植えつける必要があります。アルカナ因子があれば、『アルカナ』が発動するとどこにいても転移、統合することができます」
エリスの説明を一通り受けてから、俺は手をかざした。
「誕生せよ、『アルカナ』」
短く詠唱を終えた瞬間、カナミ、エリス、レイナ、ジュリのアルカナ因子が結合し、遠くの空から飛来した光が更にアルカナの召喚陣へ収束していった。そうして、ついに究極の少女が召喚された。
光の柱が空へと伸びていき、天から膨大な……俺でさえ観測不可能な熱量と共に銀髪の少女が降ってくる。これが、究極魔法アルカナか……。物凄い力を感じるな。
アルカナは白い翼を生やしていたが、地上に降りるとそれは粒子となって消滅した。どうやら自分の肉体を自由に構築できるらしい。ところで、俺の剣がないんだが……。アクアスもアルカナ化したのか?
「うん、成功したみたい。これが究極魔法『アルカナ』。全てを超えた少女の完成よ」
なかなか自意識の高そうな少女が完成した。
ジュリの人格をさらに高飛車にしたような雰囲気だ。
陶器のような白い肌が美しく、瞳には怜悧な雰囲気がある。
胸は育ちざかりだが握れる程はあり、早くセックスがしたいと思った。
「綺麗だな」
「そうでしょう。究極の少女だから」
「ところで、お前はなぜ武器を持ってるんだ?」
アルカナの手にいつの間にかアクアスが握られている。
しかし、そこにいつも感じてる彼女の意識は感じられなかった。
これは、完全な武器としてのアクアスだ。
やはりアクアスの意識もアルカナと統合しているのか。
「これで斬ったら、あなたも死ぬでしょうね」
「アルカナ……?」
「タクマ、あなたは調子に乗ったクソガキだわ」
はは……。
何か怒っているような気がする。
『鑑定』を使おうとするが、あっさり弾かれた。
馬鹿な……。
戦力値120万の俺が、スキルを弾かれるだと?
あくまで予測だが――戦力値140万には達してるように思う。
ラリエも統合しているはずだが、元の彼女はそこまで数値が高くなかったはずだ。
女達が融合したことによる化学変化。
それが、奇跡的な配分で究極の力を与えているようだった。
「私達の孤独を受けなさい」
言いながら、アルカナが髪を棚引かせて突っ込んでくる。
いつ消したのか見えなかったが、その手にアクアスはない。
殺す気はないようだが、静かな怒りは感じる。
これが、女達の抱えていた孤独か。
……そんなもの、都度俺に相談すればその場で抱いてやったのにな。
こうして爆発させるくらいならさっさと相談しておけと言いたい。
それにしても、速い。
眼にも止まらぬ速度で殴られ、とっさにガードする。
何とか防いだが、二手、三手と手刀が繰り出され、俺の頬が切れた。
それでも、まだ本気は出しきっていない。
受けた痛みを『冥王』で消そうとするが、中途半端にしか傷が消えなかった。
彼女の方が戦力値が上になってしまったからな。
上位者にはスキルが中途半端になるが、それだけじゃないと思う。
「私の固有スキルは『破邪顕正』。スキルによる歪みを修正する力がある」
「困ったな。『冥王』が半端にしか発動してない」
「それで随分と悪さをしたわよね。記憶を弄ったり、現実を塗り替えたり。私の前でそんなことは許さないわ」
これは、彼女達の総意だ。
俺が受け止めるべきものである。
「逃げずに戦うのね。だったら、私も本気を出そうかしら」
アルカナの足元に再度、召喚魔法陣が展開される。
「何をするつもりだ」
「私の呼びかけに応えなさい、エルフ達」
106もの輝きがアルカナの元に集まり、俺は察した。
時間も空間も超越してアルカナ因子を共有できるのか……。
大気を震わせる程だったアルカナの気が更に膨れ上がり、虹色のヤバいオーラを発してる。
「『色即是空』も効かないよな」
話し合う時間を稼ぐ為、肉体を「無」とするスキルを行使する。
しかし、アルカナは既に俺のスキルを破っていた。
「それを潰す為の『破邪顕正』なのよ」
アルカナの蹴りを脇腹で受け止める。
俺は喀血し、膝をついた。
地面が二重に見える。
一発腹に受けただけで、脳にまでダメージが入ったらしい。
弱ったな。その気になれば対処法はあるのだが、女を傷つけたくない。
気を緩めてくれればそれでも対抗はできるが、正攻法でやるとどうしてもアルカナを傷つけることになる。
それは、俺の本意じゃない。
「お前、少し厳しくないか。これでも一生懸命やってきたんだぞ。お前達の為に……」
「そういう甘えた考えを捨てなさいよ。努力したから、相手が悪かったから、そういう言い訳で自分を正当化して、やってることはクズそのものじゃない」
(毎日エルフが選び放題だな)
女エルフが残ってないか村を散策していたところ、俺は誰もいなくなったエルフの村に女達が転移してくるのを確認した。現れたのはカナミ、エリス、レイナ、ジュリの四人だった。
何となく、嫌な予感がする。
女達の中でも比較的、俺が逆らえない四人だった。
「随分とはしゃいでたわね。エルフを106人も嫁にして満足だったかしら」
ジュリが全く笑顔を見せずに言葉を投げかけてきた。
「いや、あれは男達から救う為に仕方なくだな……。というか、いつから三人と面識があったんだ?」
「私の配下にはあまり頭を使えるのがいないから、たまにエリスを借りてたのよ。今日、ここに私達を集めたのも彼女よ」
正直、動揺しなかったかと言えば嘘になる。
腹心による不意打ちか。
まあ、エリスのことだから俺を想ってのことなんだろうが……。
「言っておくけど、エリスを責めるのはお門違いよ。あなたは前から無茶苦茶な人だったけれど、『冥王』を手に入れてからは拍車が掛かってるわね。もう少し私達の気持ちも考えたらどうかしら」
俺は常に皆のことを考えている。
そう思ったのが顔に出ていたらしい。
ジュリに溜息をつかれてしまった。
「あなたは女を独り占めできて満足でしょうけど、考えてもみなさい。例えば私に131人も恋人が居たらどう思うのよ」
何も言えない……。
あまりに的確な指摘だったからな。
俺だったらその131人を抹殺していただろう。
そう考えると女達が共生してくれてるのは本当にありがたいことだと思った。
「タクマ様、私達の抱える孤独、少しは分かっていただけましたか?」
「レイナ……。まあ、俺は身勝手すぎたかもな」
「納得いただけて良かったです。もし理解していただけないなら、私達も131人の殿方と関係を持とうと思っていました」
「それはやめてくれ」
その131人には地獄を見てもらうことになってしまう。
「やめて欲しいんですよね? でも、それだけ辛かったということは分かってください。ただ、実のところ解決方法は既にあるんです。エリスが解決策を用意してくれました」
そんなものがあるのか?
メイド服姿のエリスが軽く微笑する。
さすがは俺の万能メイドだ。
「この度、どれだけ恋人が増えても問題が起きない。そんな究極のスキルを私は完成させました。ラリエ様が協力してくださったお陰です」
「その魔法の名前を、教えてくれるだろうか」
「究極魔法『アルカナ』と言います。全ての乙女の意識を統合し、究極の少女を召喚する大魔法です。アルカナの器はタクマ様が愛した女性の魂をいつでも受け入れ、そして統合します。もちろん、いつでも受け入れた魂は分離可能です。それぞれの人生があるのだから当然ですね」
「まさかそんな魔法を思いつくとは……」
一つの器に女の意識を統合すれば、確かに孤独は消えるだろう。
「早速、試しますか?」
「そうだな。やってみてくれ」
「その前に、一つ注意点があります、兄さん」
なんだろう。
「誕生したアルカナは兄さんに愛されたいと願った私達の意識の集合体なんです。たぶん、多くの愛情を欲しがると思います」
一人や二人分の愛情では事足りないと言うことか。
まあ、犯しまくってやるから心配するな。
「分かった。どんな想いであっても受け入れると約束しよう」
カナミと約束する。
そうして、究極魔法アルカナが発動されることになった。
「『アルカナ』を発動させる為には『アルカナ因子』のスキルを植えつける必要があります。アルカナ因子があれば、『アルカナ』が発動するとどこにいても転移、統合することができます」
エリスの説明を一通り受けてから、俺は手をかざした。
「誕生せよ、『アルカナ』」
短く詠唱を終えた瞬間、カナミ、エリス、レイナ、ジュリのアルカナ因子が結合し、遠くの空から飛来した光が更にアルカナの召喚陣へ収束していった。そうして、ついに究極の少女が召喚された。
光の柱が空へと伸びていき、天から膨大な……俺でさえ観測不可能な熱量と共に銀髪の少女が降ってくる。これが、究極魔法アルカナか……。物凄い力を感じるな。
アルカナは白い翼を生やしていたが、地上に降りるとそれは粒子となって消滅した。どうやら自分の肉体を自由に構築できるらしい。ところで、俺の剣がないんだが……。アクアスもアルカナ化したのか?
「うん、成功したみたい。これが究極魔法『アルカナ』。全てを超えた少女の完成よ」
なかなか自意識の高そうな少女が完成した。
ジュリの人格をさらに高飛車にしたような雰囲気だ。
陶器のような白い肌が美しく、瞳には怜悧な雰囲気がある。
胸は育ちざかりだが握れる程はあり、早くセックスがしたいと思った。
「綺麗だな」
「そうでしょう。究極の少女だから」
「ところで、お前はなぜ武器を持ってるんだ?」
アルカナの手にいつの間にかアクアスが握られている。
しかし、そこにいつも感じてる彼女の意識は感じられなかった。
これは、完全な武器としてのアクアスだ。
やはりアクアスの意識もアルカナと統合しているのか。
「これで斬ったら、あなたも死ぬでしょうね」
「アルカナ……?」
「タクマ、あなたは調子に乗ったクソガキだわ」
はは……。
何か怒っているような気がする。
『鑑定』を使おうとするが、あっさり弾かれた。
馬鹿な……。
戦力値120万の俺が、スキルを弾かれるだと?
あくまで予測だが――戦力値140万には達してるように思う。
ラリエも統合しているはずだが、元の彼女はそこまで数値が高くなかったはずだ。
女達が融合したことによる化学変化。
それが、奇跡的な配分で究極の力を与えているようだった。
「私達の孤独を受けなさい」
言いながら、アルカナが髪を棚引かせて突っ込んでくる。
いつ消したのか見えなかったが、その手にアクアスはない。
殺す気はないようだが、静かな怒りは感じる。
これが、女達の抱えていた孤独か。
……そんなもの、都度俺に相談すればその場で抱いてやったのにな。
こうして爆発させるくらいならさっさと相談しておけと言いたい。
それにしても、速い。
眼にも止まらぬ速度で殴られ、とっさにガードする。
何とか防いだが、二手、三手と手刀が繰り出され、俺の頬が切れた。
それでも、まだ本気は出しきっていない。
受けた痛みを『冥王』で消そうとするが、中途半端にしか傷が消えなかった。
彼女の方が戦力値が上になってしまったからな。
上位者にはスキルが中途半端になるが、それだけじゃないと思う。
「私の固有スキルは『破邪顕正』。スキルによる歪みを修正する力がある」
「困ったな。『冥王』が半端にしか発動してない」
「それで随分と悪さをしたわよね。記憶を弄ったり、現実を塗り替えたり。私の前でそんなことは許さないわ」
これは、彼女達の総意だ。
俺が受け止めるべきものである。
「逃げずに戦うのね。だったら、私も本気を出そうかしら」
アルカナの足元に再度、召喚魔法陣が展開される。
「何をするつもりだ」
「私の呼びかけに応えなさい、エルフ達」
106もの輝きがアルカナの元に集まり、俺は察した。
時間も空間も超越してアルカナ因子を共有できるのか……。
大気を震わせる程だったアルカナの気が更に膨れ上がり、虹色のヤバいオーラを発してる。
「『色即是空』も効かないよな」
話し合う時間を稼ぐ為、肉体を「無」とするスキルを行使する。
しかし、アルカナは既に俺のスキルを破っていた。
「それを潰す為の『破邪顕正』なのよ」
アルカナの蹴りを脇腹で受け止める。
俺は喀血し、膝をついた。
地面が二重に見える。
一発腹に受けただけで、脳にまでダメージが入ったらしい。
弱ったな。その気になれば対処法はあるのだが、女を傷つけたくない。
気を緩めてくれればそれでも対抗はできるが、正攻法でやるとどうしてもアルカナを傷つけることになる。
それは、俺の本意じゃない。
「お前、少し厳しくないか。これでも一生懸命やってきたんだぞ。お前達の為に……」
「そういう甘えた考えを捨てなさいよ。努力したから、相手が悪かったから、そういう言い訳で自分を正当化して、やってることはクズそのものじゃない」
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