大事に育てた畑を奪われたからこの村は見捨てることにした ~今さら許しを乞うても無駄なんだよ~(完)

みかん畑

文字の大きさ
上 下
75 / 118

75 冥王復活

しおりを挟む
「偶然、偶然、こんなの偶然なんだよ。僕ならもっと上手くやった。酷すぎて見てられなかったね!」
「いや、悪くない手だった。奥の手を温存したな?」

 ラリエに甘えられ、その肩に腕を回した俺をワタルが刺すような目で睨んでる。
 一方、ジンの方は冷静に俺の戦いについて批評していた。

「連中は戦いの記録を同胞へ伝えるんだ。相手がどのように戦い、同朋がどのようにして死んだか。『色即是空』を使わずに触手を消し飛ばしたのはいい判断だった。今後も手の内はあまり見せない方がいい」
「ただの結果論だろ。僕だったらもっと綺麗にやれたよ」
「ただの人間の身で外道神を退けたんだ。俺は評価する。また今度、お前の戦いぶりを見せてくれ」

 言って、ジンは『転移』で姿を消した。

「ワタルも帰っていいよ? あとは私とタクマだけの時間だからさ」
「いえ、そういうわけにはいきませんよ。僕はこれでもずっと我慢していたんです。でも、こんなところを見せられたらもう黙ってられないです。タクマ、ラリエは僕がもらう。お前はお家で寝んねしてろ」
「ああ、分かっ――」

『アストラル・クリア……。さっそく『ヒュプノス』を仕掛けてきおったのう。手癖の悪い神じゃ』

 一瞬、催眠で意識を飛ばされていたらしい。
 俺は『転移』でワタルの背後を取ると、『唯我独尊』を使いながら奴の背中を刺してやった。
 やられたらやり返す。倍返しだ。

「……がっ。てめ……なんで」

 聖剣を抜いて殴り飛ばす。
 そのまま『変貌』させた腕をワタルに伸ばし、『硬化粘液』で床に縫いつける。

「お、俺の拘束を今すぐ解除しろ!」
「ああ、今すぐお前の拘束を――」

『また『ヒュプノス』を使いおったのう。しかし、バカの一つ覚えじゃな。『アストラル・クリア』じゃ』

 意識を取り戻した俺は『硬化粘液』の締め付けをキツくしてやった。

「がぁぁぁ……! ありえねえ! こいつどうして『ヒュプノス』が効かないんだ!」

 効いてるけど毎回解除してもらってるだけなんだけどな。

「悪い子には罰が必要だねー。『アンチスキルエリア』展開」

 床に倒れたワタルの周囲一帯が、赤い光が満ちたエリアに転じる。

「これは管理神に備わった特殊なスキルなんだよ。自分の管理下にある破壊神の力を制限できちゃうんだー」

 身動きができず『転移』もできなくなったワタルの前で、ラリエが正面から抱きついてきた。そして、当前のようにキスをしてきた。舌をガッツリと入れて絡ませるキスだ。横目で見るとワタルが蒼白になってる。

(こいつ、ラリエに惚れてたんだよな)

「ん……ちゅ……タクマぁ。ここでセックスしちゃおうよ」
「冗談はよしてください! 僕の気持ち、知ってますよね!?」
「ワタルはさ、恋人のいる女神に手を出してイタズラしたんだよ。寝取りってヤツしちゃったんだね」
「ああ、だからこいつにも寝取られる側の気持ちを味わってもらうわけか?」
「そういうこと。いっぱいパンパンして、中で出してね」

 ラリエが俺のペニスを取り出し、自分の穴に当てがった。

「やめろぉぉぉ!」

 やめるわけがない。これはワタルに対する罰であり、俺にとってはご褒美だ。
 ラリエのケツを乱暴に掴み、俺は徐々に挿入した。

「ふざけんな! その人から離れろ……!」
「見て……。処女膜がなくなったよ。んちゅ……ちゅる」
「ワタル、キツかったら目を閉じてたらどうだ? まあ、お前が目を瞑ったらもっと酷いことをするけどな」

 腰を抱いてゴリゴリと中を抉る。
 気持ち良すぎてピストンをする力が強まった。
 小さな穴が残酷に開かれ、抜き差しする度に中で果ててやりたくなる。

「あーん。タクマの形が分かっちゃうかも」
「とんだ変態女神だ。そんなにセックス好きならワタルも慰めてやったらどうだ?」
「タクマがそうして欲しいならそうするけど」
「冗談だ。お前は俺だけのモノだ」
「ふふ。んっんっんっ。ちゅ……」

 チュパチュパとキスをしながらピストンを加速させた。

「あ、あ、来そう! ねえ、来るの!? 私の中に出すの!?」
「やめてくれぇぇぇぇ!!!!!」

 ――『信仰値』が3億振り込まれました。

 中にしっかり注いだ後で、脳裏にメッセージが届く。

「ふ、ふふ……。私でいっぱい気持ちよくなってくれたご褒美」
「さすがに多すぎないか?」
「いいの。その代わり、一つ覚えて欲しいスキルがあるんだ」

 俺はラリエに命じられるがまま、受け取った一億でスキルを解放した。
 そのスキルは『冥王』という名称だった。
 俺も聞いたことがないスキルだ。

「たった一人しか覚えられないエクストラスキル。古い神様が持ってたスキルだよ」
「お前、最初からこれが狙いだったのか?」
「私の目は無数の未来を見せてくれる。不確定な未来の内の一つで、タクマは大きく世界を変えてたんだよ。この、タクマだけが得られるスキルで……」

 ラリエが『アンチスキルエリア』を解除する。
 彼女の股から垂れた精液を見たワタルが、血走った目で俺を見ていた。

「こんなにコケにされたのは初めてだよ。お前は死ね……!」
「ん? 何も起こらないが」
「バカな……。アンチスキルエリアは解除されたんだ。どうして……」
「ワタルの『ヒュプノス』は戦力値に倍以上の開きがあると通じないんだよー」
「いや、倍以上の差なんて、そんなことあるはずが」

 俺は自分のステータスを見て呆れてしまった。
 戦力値……120万だと?

「なんだこりゃ……」
「『冥王』としての覚醒が力を与えてくれたんだよ……!」

 スキル『冥炎』なるものがあったので軽くワタルへ飛ばしてみる。
 すると、彼は「ギャァァァァ」と全身に炎が燃え移りのたうち回った。

「すまなかったな。加減を間違えた」
「ヒィィィィ!」

 脇目も振らず『転移』で消えるワタル。
 よっぽど怖かったんだろうか。

 しかし、こんだけ強いと信仰値稼ぎに外道神を狩る必要がなくなってくるな。

「もうバイト、辞めていいか?」
「んー……。ま、いいかなー。その代わり、私も屋敷に住んでいい?」
「断っても住みつきそうだな」
「うん!」

 否定しないのか。図々しい。

「しかし、あの世界に神は入れないんだよな?」
「タクマがそのルールを壊してくれればいいんだよ。『冥王』には概念を殺せる能力があるから、タクマが邪魔だと思えばそのルールはなくなるよ。そのあとで、ルールが消えたっていう事実を殺せば、元通りになるし」
「無茶苦茶じゃねえか」

 そんなことできるのか?
 と思ったが、本当にできてしまった。
 自分の才能が怖いな……。
しおりを挟む
感想 27

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

処理中です...