15 / 21
ボイコットされるまでの裏舞台
15
しおりを挟む
庭園にいる男女、王太子のウィリアルとヘンリッカ・テルヴォ公爵令嬢は、非常に仲睦まじい様子だった。
以前は知ったことではないが、わたくしと婚約を交わした今、不貞という事実が出来上がった。
「堂々としてらっしゃいますわね」
嫌味というわけでもなく、すんなりと感じたままの言葉が溢れ出た。
「ええ、最近はとても懇意にされているようですわ」
「あらあら、元気ですわね。彼女は」
テルヴォ公爵令嬢は王太子と繋いでいた手を離して、スカートの裾を絡げて走り出す。そのまま何が楽しいのかクルクルと回る。
「令嬢としましては、、少々はしたないですね」
少々、どころかかなりはしたないと思う。
聞けば、テルヴォ公爵が愛人に産ませ、存在を知った5年ほど前に引き取られたとか。
お茶会や夜会などの社交場では、未熟なマナーに顔をしかめられることも多々あるらしい。
しかし、一部の子息達はそれが新鮮に映って良いという。
何の因果か女児が生まれにくいテルヴォ公爵家にようやく生まれたヘンリッカ嬢を王太子妃として、王家の権威が落ち目のいま介入することによって、民の支持を得ようとする狙いがあるとか。
「···5年もあって、アレですの?ミリア様の二の舞いになりかねないのではないかしら」
一同は苦笑し、微妙な空気が流れる。
テルヴォ公爵は老獪な狸なのかもしれないが、あれでは駒に難あり、教育は失敗なのではないか。
「いずれにせよ、テルヴォ公爵は退けるべきですので···」
「、そうね。油断していては、足元を掬われるわね」
微妙な空気のまま、大公殿下とその一行は退室していった。
窓の外では、いまだに王太子と公爵令嬢が仲睦まじげに戯れている。
「彼らはナルシア様を侮辱しているのでしょうか」
侍女が憤慨したように、憎らしげに彼らに視線を向ける。
「別に構わないわよ、わたくしは何とも思わないし。でも、不貞はないわね。···あらぁ」
2人を眺めながら侍女と話をしていれば、見つめ合い。互いを大事そうに抱きしめ、口付けた。
「大司教様にもお手紙を書かなくては、かしらね」
「本当に有り得ませんわ!ナルシア様、抗議をしなくてよろしいのですか?!」
「面倒だから良いわ。むしろ、何も言わないことで許されていると思っていたところに罪を突きつけるのも面白そうだわ」
神に祝福された子だからと言って、完全なる善人なわけではない。
わたくしだって人間だ。腹ただしいこともある。
知っていてやってるかはわからないが、これはわたくしを馬鹿にした上での挑戦状として受け取った。
「5日後には夜会もあることですし、様子見もしますが···彼らはどうするのかしら」
以前は知ったことではないが、わたくしと婚約を交わした今、不貞という事実が出来上がった。
「堂々としてらっしゃいますわね」
嫌味というわけでもなく、すんなりと感じたままの言葉が溢れ出た。
「ええ、最近はとても懇意にされているようですわ」
「あらあら、元気ですわね。彼女は」
テルヴォ公爵令嬢は王太子と繋いでいた手を離して、スカートの裾を絡げて走り出す。そのまま何が楽しいのかクルクルと回る。
「令嬢としましては、、少々はしたないですね」
少々、どころかかなりはしたないと思う。
聞けば、テルヴォ公爵が愛人に産ませ、存在を知った5年ほど前に引き取られたとか。
お茶会や夜会などの社交場では、未熟なマナーに顔をしかめられることも多々あるらしい。
しかし、一部の子息達はそれが新鮮に映って良いという。
何の因果か女児が生まれにくいテルヴォ公爵家にようやく生まれたヘンリッカ嬢を王太子妃として、王家の権威が落ち目のいま介入することによって、民の支持を得ようとする狙いがあるとか。
「···5年もあって、アレですの?ミリア様の二の舞いになりかねないのではないかしら」
一同は苦笑し、微妙な空気が流れる。
テルヴォ公爵は老獪な狸なのかもしれないが、あれでは駒に難あり、教育は失敗なのではないか。
「いずれにせよ、テルヴォ公爵は退けるべきですので···」
「、そうね。油断していては、足元を掬われるわね」
微妙な空気のまま、大公殿下とその一行は退室していった。
窓の外では、いまだに王太子と公爵令嬢が仲睦まじげに戯れている。
「彼らはナルシア様を侮辱しているのでしょうか」
侍女が憤慨したように、憎らしげに彼らに視線を向ける。
「別に構わないわよ、わたくしは何とも思わないし。でも、不貞はないわね。···あらぁ」
2人を眺めながら侍女と話をしていれば、見つめ合い。互いを大事そうに抱きしめ、口付けた。
「大司教様にもお手紙を書かなくては、かしらね」
「本当に有り得ませんわ!ナルシア様、抗議をしなくてよろしいのですか?!」
「面倒だから良いわ。むしろ、何も言わないことで許されていると思っていたところに罪を突きつけるのも面白そうだわ」
神に祝福された子だからと言って、完全なる善人なわけではない。
わたくしだって人間だ。腹ただしいこともある。
知っていてやってるかはわからないが、これはわたくしを馬鹿にした上での挑戦状として受け取った。
「5日後には夜会もあることですし、様子見もしますが···彼らはどうするのかしら」
0
お気に入りに追加
90
あなたにおすすめの小説
幼馴染に奪われそうな王子と公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
「王子様、本当に愛しているのは誰ですか???」
「私が愛しているのは君だけだ……」
「そんなウソ……これ以上は通用しませんよ???」
背後には幼馴染……どうして???
ままごとのような恋だった
弥生
恋愛
貴族学園に通う元平民の男爵令嬢「ライラ」
その初々しさから、男子の受けは良いが、婚約者のいる令息にもお構い無しにちょっかいを出す「クズ令嬢」として女子からは評判が悪かった。
そんな彼女は身の程知らずにも「王太子」にロックオンする、想像以上にアッサリと王太子は落ちたと思われたが、何処か様子がおかしくて…
伯爵令嬢の苦悩
夕鈴
恋愛
伯爵令嬢ライラの婚約者の趣味は婚約破棄だった。
婚約破棄してほしいと願う婚約者を宥めることが面倒になった。10回目の申し出のときに了承することにした。ただ二人の中で婚約破棄の認識の違いがあった・・・。
たのしい わたしの おそうしき
syarin
恋愛
ふわふわのシフォンと綺羅綺羅のビジュー。
彩りあざやかな花をたくさん。
髪は人生で一番のふわふわにして、綺羅綺羅の小さな髪飾りを沢山付けるの。
きっと、仄昏い水底で、月光浴びて天の川の様に見えるのだわ。
辛い日々が報われたと思った私は、挙式の直後に幸せの絶頂から地獄へと叩き落とされる。
けれど、こんな幸せを知ってしまってから元の辛い日々には戻れない。
だから、私は幸せの内に死ぬことを選んだ。
沢山の花と光る硝子珠を周囲に散らし、自由を満喫して幸せなお葬式を自ら執り行いながら……。
ーーーーーーーーーーーー
物語が始まらなかった物語。
ざまぁもハッピーエンドも無いです。
唐突に書きたくなって(*ノ▽ノ*)
こーゆー話が山程あって、その内の幾つかに奇跡が起きて転生令嬢とか、主人公が逞しく乗り越えたり、とかするんだなぁ……と思うような話です(  ̄ー ̄)
19日13時に最終話です。
ホトラン48位((((;゜Д゜)))ありがとうございます*。・+(人*´∀`)+・。*
断罪されそうになった侯爵令嬢、頭のおかしい友人のおかげで冤罪だと証明されるが二重の意味で周囲から同情される。
あの時削ぎ落とした欲
恋愛
学園の卒業パーティで婚約者のお気に入りを苛めたと身に覚えの無いことで断罪されかける侯爵令嬢エリス。
その断罪劇に乱入してきたのはエリスの友人である男爵令嬢ニナだった。彼女の片手には骨付き肉が握られていた。
初恋の終わり~私の大切なソフィア
あやむろ詩織
恋愛
「もう初恋の夢は見ない」「初恋の残滓」に続く、カレナ様視点です。
リクエストをいただき、書いてみました。
もしかしたら前作までのイメージを崩す可能性もありますので、ご注意ください。
*小説家になろう様にも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる