結婚式をボイコットした王女

椿森

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ボイコットされるまでの裏舞台

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その後も、余計な口を挟む一部のはた迷惑な者が居たが、無事に謁見という名の顔合わせは終了した。

「このお茶が終わったら報告書をまとめるわ。準備を頼めるかしら」

ここであったことは、逐一祖国とハイデル帝国へ報告することとなっている。
侍女は一礼をして、側から離れていった。

お茶も飲み終わるころ、来客の知らせがあった。
来客は大公夫妻と、他にも数名いるとのことだ。

「ナルシア様、改めまして紹介をさせてください」

大公夫妻が連れてきたのは、特に信用のおける貴族達だった。
国をよりよくしようと諌言してきたが、要職を追われた者もいるという。

「そうですか···。都合が悪いこと、者を遠ざけるなど愚か以外に何も言えませんわね。もしくは王家を傀儡として操りたい黒幕がいるか···」
「まさにその通りです。まだ、確固たる証拠までは掴めていませんが、十中八九、その権力を手に入れようと画策しているものがおります」

大公殿下はその者を排斥して国を立て直そうとしたいのだとか。

「いるのですね」
「はい、テルヴォ公爵です」
「テルヴォ公爵の祖父は、王兄殿下だった方です。本来であれば王位を継ぐはずの方だったのですが、権力争いに敗れて臣下に降ったという経緯があります」
「つまり、自らの血を王家に戻すことで復権を目論んでいるということかしら」

同席者が頷く。
想像していた以上に複雑で面倒な事情が絡んでいるようだ。

「ナルシア様には、国の権力争いに巻き込んでしまい申し訳ございませんが、お力添えを頂ければと···」

王位を移譲するにはカティーラ教の承認も必要となるが、カティーラ教の中枢にあるわたくしが対立派閥にいることによって、少なくとも防波堤の役割を担えるわけだ。

「···仕方ありませんわ。すでに乗り掛かった船ですもの、民の為にも動きましょう」
「ありがとうございます!」

よくよく話を聞いていけば、テルヴォ公爵は中々に黒いことにも手を出しているらしい。
奴隷商はこの国の法により禁止されているが、裏では盛んな取引がされており、その中枢にいるとか。

「ああ、噂をすれば」

セレン様が示した方を見れば、庭園に男女の影が。
ひとりは王太子、もう一人は

「彼女はヘンリッカ・テルヴォ。テルヴォ公爵の庶子ですわ」


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どうしてこうなった。
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