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真相
そして……11
しおりを挟むえっ?長いからぶっちぎったって前回言いました?
えぇ……書きましたし途中でブッチギ……切りました。
ぼーっと日常生活を送っていたら、こうした方がいいなと思いまして( ;´꒳`;)
何度か軌道修正しようとして軌道修正が不可能になり……ボツと言う形で残りました(涙)
また今年もハロウィンが近いので、またハロウィン編を書いてます。(言い訳)
◆
「ワシは今度こそミクを助けるにゃ、だが数年とはいえ祈りの乙女の身体にミクが馴染んだか見ないとにゃ、」
窓を魔法で開ける、この方法はよく最愛ミクが使っていた手法であり、その感覚の懐かしさに遠い昔を思い出しながらヒラリと窓からアルゲティの部屋の床に降りる、カラフル色のふかふかな絨毯は女の子らしい部屋だと思う、ミクはもう少し落ち着いた色を好んでいた。本を読む机の上を見れば、小さな人形が数体飾られている。そこに足を向け机の上に乗り確認すると、スカート丈の短い女の子の人形らしい、
「ミクの趣味ではない、これでは馴染んだか分からんにゃ。」
ベッドの上でスヤスヤ眠るクルミの様子は警戒心の欠けらも無いが、やはりミクの魂は浄化されつつあった。ララ君はこれならとタイミングを見計らう為クルミの寝顔を見る。
「ヨダレを垂らしおってだらしが無いにゃ、ミクが空に帰った時どれ程絶望し悔いた事か、ミクどこにも行かないでにゃ。」
成功の確率はクルミが寝てる間だけ、ミクが行動出来るようになりそうだ。膨大な魔力があれば別だが数年ではこれが限界だった。クルミが何かを祈る時この祈りは叶うだろう、
「ワシは願う、最愛の魂とクルミの魂が入れ替わり反転しミクが前に出ることをにゃ。」
ピタリと当てた肉球を更にグッと押し当てる、一瞬クルミが苦しそうにもがいたが、すぐに呼吸が安定しむにゃむにゃと何かを言っている。
その時クルミは暗い底に落ちるかのように夢を見た。クルミもふんわりとしか知らない過去の話、
◆
ミクは家にいる事は好きだったが、時々家を抜け出そうとしてた。理由は話してくれなかったが理由はすぐに分かった。
ラグエルが自身のチカラを渡し風の精霊王となったミク、娘や風の精霊が素直な為話してくれた。街に降りた子供達と連絡をとってるらしい、心が広いところを見せようとニヤリとする、けしてミクがやましい事を持ってないのは知っている。ラグエルのココロが狭いだけ、器量なしなんて知らないラグエルは早速許可を出した。しかし嫉妬深いラグエルは手紙の中まで知りたい、それをラグエル自身が生み出した眷族クロ、クク、メメの3人の内クロに命令をする、
メメはミクの側にいて何かあればすぐにラグエルに連絡出来る様控えさせ、ククはラグエルの側に控えさせる。ラグエルに何かあったり有事の際はククが全ての精霊の指揮をする。ククはメメとクロとで協力をしミクを守る事、ラグエルが視線を向ければ、ククは言いたいことを全て察しラグエルの前に膝をつき頭を垂れる、
『ラグエル様お言葉ですがそんな事にならないでしょう、ラグエル様ほど強大な魔力を持ち、精霊全てを使役出来る者などいません。風の精霊王ミク様の事は全て私たちにお任せを、』
『うむ、ワシが不在の際はミクや子供達の事を第1に考え行動する様ミクの事を頼む、ワシのチカラを与え精霊になったとはいえミクは人の子、』
『ご心配いりません。メメやクロそしてすでに外に出た長女メルル様やラグエル様の偉大さを教え所(教会)に務める者にもその様に伝えております。
私はラグエル様の危機等はないとは思いますが、ラグエル様たってのご希望ですので抜かりなく準備をしております。メルル様に有事の際はミク様やお子様達の最優先の保護をと伝えてありますのでご心配いりません。』
ですが、とククは一言置いてまた話し出す。
『娘様達はまだ良いとして、息子様達については父親でもあるラグエル様の魔力が怖いから近づけない等、言語道断でありますが、ラグエル様が許されるなら私としても何も言えません。』
『ミクの周りを息子とはいえ男がちょろちょろする事は許せんが、あれ達もミクとワシの子、ミクもあれ達を無下にすれば悲しむ、ワシは最愛の悲しむ姿は見とうないからな、地の人族の所に行きたいと言う願いは叶えられんが、昔から花を愛でたいと願うミクのため大きな庭を作り出る事を許しておる、出来るなら最愛は誰の目にも触れさせたくない、ミクはワシ以外見られた男は恐怖を覚える、恐怖を覚えないのは精霊と娘と異性に恋を覚えた男のみ、心の優しく美しいミクは息子達の異変を感じとったのだろう、ワシにあの子達が生涯過ごせる街を作る事を許して欲しいと言ってきた。まぁワシとしては願ってもない事じゃったから、クロとメメルの協力をして街を作る事を許可した。』
ククは遙か昔を思い出す。我々とは違い至高なる翼を持たぬ人族だったミク、大精霊王ラグエル様から様々なものを授けミクはその恩恵を受け風の精霊王となった。
ミクと出会う前のラグエル様は困ってる人族がいても関与もせず無関心を貫き通していた。
だが小さな精霊達に人々の暮らしを助けることは良しとしていた。精霊は各精霊王や人族から魔力を貰い成長し人型になる、精霊が人型になれば悪事を働く者にけしてチカラを与えない、だが小さな精霊は人の善悪が分からない為、ラグエル様は常に各精霊王達に監視させていた。
ある時光の精霊王が引退し次代へ交代する事となり、精霊が不自由をしてないか調べるため、ラグエル様は風を纏い人々の住む地へ降りた。降りた理由それはなにかの理由で慌てた風の精霊、ラグエル様にぶつかり気まぐれで理由を聞いた。
風の精霊に導かれるまま花が満開に咲く池のほとりへ降り立つと、病弱な妹を思い泣いていたミクがいた。元々精霊が見える程才能があったのかもしれない、
クロの証言だとラグエル様の一目惚れらしく、事ある毎に足繁くミクの元に通い、ついに思いを告げたがミクは思い詰めた表情で何も言わなかったらしい、
当時それを聞いたククは心底驚きはしたが、大精霊王ラグエル様が願うなら叶えるのも我々の役目、
2人は逢瀬を重ねミクもラグエル様に心を許し笑う日も多くなってきたが、しかし日に日にミクの表情が暗くなる、ラグエル様は泣いていた理由を知ってる。その為ミクにある取り引きを持ちかける。
『ワシが妹の病を治してやろう、代償は必要だがそれでもお前は願うのか?その代償はワシの嫁になれ、ワシはミクを地上に返す訳には行かんが、ワシはずっとミクのそばに居たいし、ミクの笑顔をずっと見ていたい、良いと思ったらこれを飲め、ワシと同じ存在になれるぞ、』
差し出したのは真珠の様な見た目のラグエル様の涙、キラキラと光っていて飲みやすいように小さめだ。
それに涙と一言でいっても膨大な魔力が詰め込まれた物、ラグエル様自体伴侶等と鼻で笑ってたが、ククが苦言をして渋々準備していたもの、後にラグエル様からお礼を言われ嬉しかった事を、ククは昨日の事の様に覚えている。
『ラグエル本当に?でも妹がそれで病から解放され元気でいてくれるなら、私は安心出来る。だけど病気が治ってから大丈夫なのかな?』
『ミクは何も心配は要らんよ、ワシの従者に面倒を見させよう、クロここに来い、』
『ラグエル様お呼びですか?』
呼べばクロはぬるりと影から現れ、ラグエルの前に恭しく膝を折り頭を垂れラグエルの言葉を待つ、
なぜここまでの事をククが知ってるかと疑問に思うだろう、元々は精霊王になれる程の力を持ったひとりの精霊だった。ラグエルが精霊に力を与え3人に分裂したのがクク達だ、その真相を知ってる者は分裂した当人達とラグエル以外いない、ククとメメは当然現在クロがどこにいるのかも知っている、
それにラグエル様のミクへの執着は凄まじい、
娘達に母親が外に行かなくてもいい様に、外に行く用事は全て娘の仕事だった。特に末っ子ルルは母親に似て暗いピンク色の髪と瞳を持っていた。
のちにルルはクロ達が作った街へと降り、結婚をし子供を出産し生まれた子は祈りの乙女だった。その頃初代祈りの乙女が空に帰っており、それからというものルルの家系が代々祈りの乙女を多く産まれるとなった。いわばアルゲティのご先祖さまという事になる。
ラグエルとミクの間に産まれた男の子供3人、自分によく似た黒色の髪を持つ子双子と青い髪をした子供が生まれたが、どちらもラグエルの姿を見れば隠れてしまう、
何故なら最愛ミクに近づこうものなら嫉妬をする、器量が狭い男それがラグエルだ。
クロには男の子の面倒を見るようにと命令を出したが、最愛ミクや精霊王達と共に街を作り、そこに子供たちを連れて行き住まわせてるらしい、
『私は意見だけです意見ぐらいなら宜しいですよね。愛おしい旦那様?』
『うむ、美しく華麗なミクを他の者に見せたくない、ミクまた美しくなったな、ミクが外に行くなど考えただけでワシの心が荒れ狂ってしまう、ワシを置いてどこにも行かないでくれ、』
『フフ……愛おしい旦那様はとても寂しがり屋さんですね、
大丈夫安心して下さい、たまに困ることもあるけど私は貴方の側を離れませんし私も旦那様の事を離しません、
……だけどね、私や子供たちは命の長い精霊ではないからいずれ空に帰るんでしょう。その時はこの子達をお願いします。この子はどんな大人になるのかな?それまで私が居ればいいんだけど、あの子達も子供が出来て見せに来てくれるのかもね。私はこうすることしか出来なかったけど、』
『ミクは何も心配しなくてもいい、そんなこと言っておるとルルも悲しむ、子供達も皆ミクの料理を楽しみにしておる。ルルはいつもイタズラが過ぎるが、こうして見ると我が子とは可愛いものよ、』
そうね。と呟き抱っこされ寝てる末娘ルルの頭を優しく撫でミクは寂しそうに笑う。
ミクの笑顔を見て決心をしたと言うより、元々決めていた事がある、必ずミクの魂は輪廻転生等させない、ミクはいずれかは空に帰ると思い諦めてる様だが、何がなんでも阻止をする既に決定事項だ。
母親ミクと一緒に居たいと駄々をこね残った姉達を困らせたものだ。ルルはイタズラが大好きな子供で、イタズラを思いついたら即実行だった姉を見つけてはイタズラをする、そして見つかり追いかけられ姉か母親のミクに怒られる。
ラグエルが最愛ミクの元に行き扉を開いた時に何度もイタズラを仕掛けた。上から水や熱湯が落ちてきたり葉っぱの中に住む虫が落ちてくるなんてまだ序の口、
もっとも厄介なイタズラその1つが、光魔法を太陽の様に光らせる手法だ。それを母親の部屋に入ってからラグエルが参ったと言うまで続けた。
ラグエルは光を出す精霊に命じて解除も出来るが、これがルルのイタズラだった場合拗ねてしまう為しない、それにミクの部屋はラグエルの魔法で強力な結界が張られてる為、害のある魔法を使うことは出来ない、
目を凝らし見たが最初は分からず迷い込んだ子供だと思っていた。1度シャムと名乗る子供が紛れ込んでいたらしい、ミクの部屋にいたクロを見て動揺したらしい、
シャムと名乗った子供の見た目はルルに似て気が付かず、追い出すのが遅れいつの間にか居なくなっていた。
『ええい眩しいのぅ…誰だ!また他所の子供が紛れておるのか?』
『おとうしゃま?ルルはおとうしゃまの子供ではないの?おかあしゃまはルルのおかあしゃまだよね?』
幼いわが子が母親のミクに抱きつき涙目で見上げる、拙い喋りなのはいちばん最後に生まれたからだ。娘とあって、ミクやラグエルはたいそう可愛がっていた。
『もちろん私たちの可愛い子ルル、』
言われた事にショックだったのだろう、光が徐々に暗く小さくなっていく、ラグエルはルルの頭を撫でると、嬉しそうに目を細めたが、思い出したのかぷぅと頬を膨らませた。
『むっ?ミクはここにおるか、おぉ可愛いルルもちろんワシとミクの可愛い子。』
『もうおとうしゃまはすぐおかあしゃまのことばかり、ルルもここにいるもん、』
精霊の魔法は何ともないがルルの魔法は大精霊王ラグエルの血を受け継ぐ子供だ。母親を守るためとか言われて何度目潰しにあった事か、と思い出してると、黄色の小さな精霊が光をピカピカと放っていたが、ラグエルの姿を見て驚き窓際でこちらの様子を伺っている。
普通の人なら眩しい、大精霊王ラグエルであり精霊の魔法は効かない、最初の精霊を生み出した創造主それ故に眩しくは無いが、ルルは魔法を巧みに操る。それにどこで覚えたのか精霊魔法以外の魔法を使い、ラグエルを翻弄する事が大好きだった。
それからしばらくした頃だった。ミクの髪に白髪が生え耳が聞こえなくなり、魔法での治癒も不可能、ラグエルの魔力を与えても魔力は逃げるばかり、このままではあっという間に空に帰ってしまう、
『なぜだ!光の精霊王の治癒魔法もワシの祈りも通じない!クロ!祈りの乙女はまだか?!』
『すぐに、』
クロが祈りの乙女を迎えに消えたと同時に、ミクが息が荒くなる、ラグエルはミクの手をギュッと握りその手に頭を乗せ何度も何度も必ず助かると願う、だが他の娘達が魔力を失い空に帰ったように、ミクの魔力も薄くなりつつある。これでは祈りの乙女が来る前に魔力が底を尽くだろう、ミクは娘が空に帰っても泣かなかったラグエルが泣く姿を初めて見て、ラグエルの手を優しく解き幼子の様に頭を撫でわがままを言う子供のように、ラグエルに言い聞かせる。
『いいえラグエル、私の人の形は消えてしまうかもしれない、私たちは沢山の子供が出来て沢山の子供達を見送った。私は空に帰ってしまったあの子達を覚えてる。人というのは思いを受け継ぐもの、私の代わりに残した子達をお願い、愛してるラグエル』
『ワシも最愛はミクだけだ!愛してる!あの地にミクがいた、だからワシはあの地を滅ぼすのは止めた。ワシの一生のお願いだ!ワシといつまでもずっと居てくれミク!』
『私を望んでくれて……ありがとう。』
満足そうに微笑んだミクはそのまま息を引き取った。
その後幼い祈りの乙女を抱え帰ってきたクロに八つ当たりをし、ラグエルが立ち尽くしてると幼い祈りの乙女はポツリと言った。
『おばあちゃんが魂は輪廻に帰るって言ってた。』
『クロ、クク、メメ、ワシの忠告を守るように、ワシは少し出かける、』
ワシはその言葉を聞き我に返った。クロ達に前から告げた忠告を守らせ、その場でミクと共に転移し前々から準備していた魔法陣に白く細くなったミクを乗せる。
『ミク、ずっといっしょだ。これまでもこれからも、』
ラグエルはそこから姿を現さず、時折次代の始まりの乙女を見守るだけになった。
◆
今のララ君はあの頃、最愛ミクを喪った頃のラグエルではない、
「さて、クルミが眠った状態ならこの魔法陣も役に立てそうにゃ。」
しっぽでベッドを叩けばミクの魂を閉じ込めた魔法陣がベッドに現れる、
限定的だがミクとクルミの魂の反転が始める。ララ君は全ての魔力を絞り出す様に願う、
「今度こそワシは最愛ミクと一緒に居られる!反転せよさぁミクよ前に出てくるがいい!」
怪しい光が溢れるが、この家に誰もいないのは知っている。光が収まると同時にララ君は反転出来たかどうかを伺う様にクルミを見つめた。
すると眠そうに目を擦るクルミ、しょぼしょぼと目を擦りながらララ君を見て一言声を出した。
「あなたは誰?」
「覚えてないだと?!」
にゃも言い忘れる、それほど衝撃を受け顎が外れそうなほどララ君は口を開けた。
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