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真相
今年のハロウィン2
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◆
タブエルさんはなぜか私の後ろでその格好は熱くはないか?と聞いたり汗が出ていれば水分は要らないか?とかハンカチはいるか?等と私に聞いてはオロオロしているが、逆にミューは目をキラキラさせ「これがクルミが言っていた幻のスープ。」と鍋の中を見ている。2人が真逆な心配を他所に私はカボチャを蒸し潰した。ここまで来ればもう少しで完成だ。後はカボチャの種をローストした物を準備すればいい、パン等は料理長が準備してくれる。
「タブエルさん大丈夫ですよ、私はここでよく料理を作っているのです。アルゲティさんにたまたまこのスープの事を言ったら、是非食べたいと言われたので、えっとタブエルさん味見しますか?」
「いや、君には娘の事で色々と迷惑をかけた。それに私は衣装を届けに来ただけ、ライラからは迷惑をかけるなと言われたが、君が迷惑と思うなら他の場所に行こう、」
「集中できないので、先に衣装を配ってきてください、」
「わかった。何かあればすぐ呼ぶ様に、後君たちの分はライラが持ってくる。」
「分かりました。ではロッテ、タブエルさんを皆の所にご案内お願い、」
「はいお嬢様、ではタブエル様こちらへ、」
私は1人静かになった所で大きく息を吐いた。冷蔵庫の中をちらりと見た私は微笑む、タブエルさん達へのサプライズが台無しになる所だったからだ。
実はハロウィンと言えば魔女のイメージがあったため、私は自信満々に描いた絵をロッテに見せた。ロッテはマジマジ私の絵を見つめると苦笑いをすることも無くこんな感じですか?と目の前でサラサラとデザイン画を描いた。プロ顔負けの絵を見て、おぉ凄いと盛大に驚いた私は自分の絵を回収しようとしたら、
ロッテにすごい笑顔で回収され持っていかれてしまった。どこに持っていくんだろ?毎回思うけど気にしない、気にしたら負けだから。
念願叶った私はロッテに作ってもらったローブを着ている。今世でやってみたかったことの一つ、おとぎ話に出てくる悪い魔女の姿だ。
魔女黒いローブを纏ったトゥカーナは、大きな鍋に食材を入れかき混ぜていた。これは特製のカボチャのスープ。このカボチャのスープ前世よく作っていた物で、クルミが絶対に食べたいと手紙を貰っていた。カボチャを潰し、目の細かいザルで口当たりを滑らかにしてからライラさんから貰った濃厚な牛乳でのばす。これはやらなければならない、そう思い辺りに誰もいないか1度見渡し誰も居ないことを確認すると、少し前屈みになりグルグル鍋の中を掻き混ぜた。今の気分は前世の魔女のイメージだ。まぁ偏見だと言われればおしまいだが、今の時間料理長達は休憩中だ。今のキッチンは誰もいない、心の中でもう一度呟いく、大事なことだから2回言うのです。
「ウヒヒヒヒヒ…、こうしてると魔女に見えるわね。カボチャのスープ喜んでくれると嬉しいな。」
私がウキウキにスープの鍋をかき混ぜていると、ロッテの咳払いが聞こえ驚いて後ろを振り返る。そこに居たのは申し訳なさそうな顔をしてるロッテと黄色いドレスが美しい姉様ここまでなら私は驚かない、まぁ自分のお家だからね。だってそこにアウラ様がいたからだ。確かに来て欲しい人に招待状を送ったが、収穫祭の開始時間を夕方からにしていたのだ。今はお昼ご飯過ぎた時間、来るの早いがお迎えもしてない事に驚き声も出ない、
「フフッ、トゥカーナ魔女ってなに?トゥカーナの心配してる所分かったわ、大丈夫よアウラ様はお父様とお母様がお出迎えなさったわ。私は客間できちんと挨拶をしてからこちらに来たのです。そうしたらアウラ様は私の後ろを着いてこられて、可愛い妹の可愛らしい姿を私だけに留めておきたかったのに、なんで私の後ろを着いてきたのです?」
「カーナは何を着ても可愛いね。カーナに会いたくてイプシロン家に早馬を出したんだ。...ボレアリス嬢言っておくがカーナは僕の婚約者だ。今すぐにでもカーナと結婚して城に連れ帰りたい、陛下も王妃も歓迎するさ、」
「オホホホ!アウラ様残念でした。学園に在学中は結婚はできませんもの、それに学園の教師の私が許しませんわ、学園のルールでは、結婚は学園を卒業後と決まりですわよ。」
「休学が出来るのを知っているし、その方法も勿論ねっカーナ。」
「そんな事許しませんわ、私の可愛い妹に何をなさるおつもりです。」
姉様達の周りがゴゴゴと見えそうな2人、柔らかに細められた目元や口元は微笑んでいるが、まとってる空気はとても重く苦しい、
一言言わせてもらうなら、姉様は以前に増してアウラ様を煽っていて不敬罪が怖いです。
アウラ様はアウラ様で休学とか言っているが、それは妊...ゲフンゲフンですね。噂程度しか聞いたことないですが、どこかの高貴な令嬢が使ったとか、あっ。家もその内に入りますが気のせいでしょう。空気を入れ替えないと私とロッテが窒息してしまいますから、先程姉様が言った魔女から話をして空気の入れ替えをします。ヒィー誰か助けてー、
「アウラ様とアリス姉様、魔女って言うのは魔法を使う女の人ですよ、これはカボチャのスープです。美味しいのですよ、こちらは煮物デス。」
「カーナの作った料理は全て僕のものだよね。」
「何を仰っているのです?アウラ様、私の可愛い妹が私の為に作った料理です。私の物に決まってます。」
私はどんどん近くなる2人を見て慌てて火を止める。安全地帯を探したら、普段は野菜が沢山置いてあるが収穫祭で使いスペースが空いていた壁際に立っていた。姉様とアウラ様はどんどん私の近くに近づいてくるから、私はどんどん壁に追いやられる。2人とも1歩でも近くにいるか争っている。そこに割り込んだ人がいた私は天の助けだと思いホッと息を吐いた。その人はギューッと抱きしめてグリグリするが、待って欲しい背中をギュッとしないで欲しい苦しい、今日は色々な意味で酸欠気味だ。
「姉さん来たよ、何作ってるの?」
「い、いらっしゃいアルゲティ(クルミ)さん。」
だが2人の争いを笑うようにアルゲティが割り込む。そのままトゥカーナに抱きつくと、横にある鍋の中を覗き込んだ。ちぇーサプライズで出そうと思っていたのに、そう思って後ろを振り向けばライラさんとタブエルさんは、仲良さげに肩を寄せ合いこちらを見て私に手を振った。ライラさんの後ろに小さな背中が見える。親戚の子供かな?とその子にも私は小さく手を振り返すが、その子はライラさんの後ろから頑なに出て来ないので、そのまま苦笑いをしてアルゲティの手をポンポンと叩いた。
「苦しいわ、アルゲティさん改めていらっしゃい、トリックアトリート、」
「トゥカーナ姉様トリックアトリート、私の好物を作ってくれたのね、それにとても懐かしくてとつも良い香り。ん?ふふ…姉様アルゲティがお腹すいたって、」
『ちょっとクルミ!恥ずかしい事言わないで!でも…さっきご飯食べたばかりなのにお腹すいた。クルミが言う通りとてもいい香りねとても料理上手なのね。それに母様の作る料理と同じ香りがするなんでかな?』
ほらね。と笑うクルミとヒソヒソ話しをしていると、アリス姉様は寂しいのか話に割り込んできた。
「姉様?!可愛いトゥカーナの他にも、私に妹がいたなんて、いいえトゥカーナはとても大切な私の可愛い妹よ、たとえライラさんの娘様のあなたでもトゥカーナは渡しませんわ、」
「ヤバ!この子ヤキモチ焼いてるの?可愛い!あなたがトゥカーナのお姉さんなら、えっと私は末っ子かな?えへへそれも良いわね。」
驚いた顔をして私に抱きついたのはアリス姉様だ。姉様はそのまま私に張り付いてるアルゲティを引き離そうとしているが、アルゲティは逆に面白がって姉様にも抱きついた。アウラは姉様とアルゲティの意識が私からほんの少しそれた隙に私を救出をするとギュッと抱きつき、頬に優しくキスをして耳元で囁く、
「カーナこのまま逃げようか?」
「アウラ様とても楽しそうな提案ですが、前回のハロウィンでライラさんに捕まったの覚えてますよね?それに収穫祭は皆でお祝いするから楽しいのですから、」
そうですよね。と可愛く首を傾げればアウラは爽やかに笑い私の腰をギュッとアウラに寄せる。森林を思わせる爽やかな香りの中に少しだけ柑橘系の香りがする。鼻から吸い込むと気持ちが落ち着くが、身体中の熱が顔に集まったみたいに顔がとても熱い、多分顔は真っ赤なんだろうな、そう思うとまた恥ずかしくなり両手で顔を隠した。
「カーナには敵わないな、今回の収穫祭はヘンテコな格好をしなくてもいいみたいだね。」
アウラ様はアルゲティの王子様の様な格好を見ても不思議ではないらしいが私は知っている。アルゲティの中身はクルミである事や、クルミがコスプレをしていたレオニスの格好を前世で沢山見たからだ。ライラさんに作ってもらったのだろう、かなり凝った衣装になっていて、どこの王子様が来たのかと思っていた。
「さぁハロウィンを楽しみましょう!今年のテーマは男女逆転よ、皆で一斉に着替えましょう!アウラ前回無礼講って言質は貰っているからいいわよね。」
「ライラ様僕はそれで構わないカーナと一緒なら、後から叔父上が来ると言っていたな、叔父上は確認するまで無礼講から外して欲しい、」
「えぇ、アルゲティが今着てるのはその人を参考にさせてもらっているの、遠くで見ていただけだから、近くで見られるなら今後の参考になるし嬉しいわ、アルゲティもそう思うでしょ?」
「...よっしゃ!生レオニス様がみられる。」
アルゲティが小声でガッツポーズを取る姿を見ながら、私はあれ?男女逆転?と考える。だが考えがまとまる前に後ろでパチンと指を鳴らす音が聞こえた。
流石に広いとはいえ水場であり食事を作るところだ。私たちは着替えの為に移動しようとしたが。と言うよりもライラさんが私達を庭先に転移させていた。不透明な何かの中に私と姉様と私の後ろにいたロッテが居た。私の目の前はライラさんとアルゲティさん、空間ポッケから衣装を出して私と姉様とロッテに手渡す。
「とりあえず着替える為に場所を移動しました、大丈夫着替えは一瞬だもの、けど嫁入り前の女の子の着替えは仕切りの中だけ、」
再度そこでパチンと音が鳴ると同時に、私はどこぞの王子様の様な格好になっていた。少し見覚えがあるぞと、よくよく見ればアウラ様が普段着てる衣服だ。それに襟やボタン等の基本の色はアウラ様の瞳の色と同じアクアブルー、胸もとからチラリと見えるハンカチも同じ色、恥ずかしすぎて急ぎ足で不透明な壁から出ると、可愛らしい令嬢が私の横に来て抱き私の瞳をじっと見る。潤んだアクアブルーの瞳。アウラのブロンドの髪に飾られた花には小さな蝶々が止まっていて、蝶々はプラチナと金の羽がキラキラしていて可愛い、男の人なのに綺麗で可愛いってズルいと思う、
「アウラ様悔しいくらいに可愛いです!」
「僕のカーナ、僕の色を纏って綺麗だ。悔しいなんて言わないで欲しい、カーナに綺麗さに比べたら比べ物にもならないよ、」
「アウラ様、そんなに褒められると恥ずかしいです。それはアウラ様も同じです。」
「カーナそれはそれで複雑な気持ちだよ、女の人って大変だね。ドレスは重いしスカートは足元がスースーするし落ち着かない、」
目の前のアウラはスカートの裾の部分にフワフワの毛皮が付いた可愛らしいオーキッド色のドレス、脚はストッキングの様なモノを履いてるのかもしれないが、私よりも細く足首は引き締まっている。靴にはスカートの裾と同じ毛皮のボンボンが着けられており、歩くとボンボンが一緒にユラユラと揺れ可愛い、
私よりも可愛らしいからちょっとだけ悔しい気持ちになった。足元を見ればキチンとヒールを履いてるし、ヒールの踵は低く歩きやすそうだ。
「アウラ様これはもしかして、初めてのお茶会の日の私のドレス?色はもしかして私の瞳の色?」
「カーナがお茶会に着てきたドレスだと思う、実はカーナとの初めてのお茶会の日、フワフワなドレス姿のカーナの姿や、僕と一緒に隠れんぼを一生懸命にするカーナの姿を見て好きになった日だとても思い出深い、だがこれは落ち着かない、」
アウラのこの姿はとても似合っているが、仮にも王子様であり王太子、のちのちこの格好をしていた事を面白おかしく言われては威厳もない、私はライラさんに向き合うとボソボソと声を出し話す。
「ライラさん、アウラ様は将来この国を治める王様になります。流石にこの格好では...」
「カーナいいんだ。僕は何でも完璧にやり遂げたい、それにあいつには借りがある。カーナ隣国からワルドは来るのだろうか?とても良いイタズラを思いついたんだ。」
アウラは悪い笑顔をしてライラを呼ぶと、ライラも「何するの?」とノリノリでやってくる。ちなみにアルゲティはレオニス様が来るからか、姿見で髪が跳ねてないか確認したり、ミューと姉様を捕まえて「どうしよう!レオニス様が来る!」と言ったりして落ち着きがない、捕まった姉様は呆れているがアルゲティの事を気に入ったらしい、あれこれ言ってアドバイスをしている。
離れた場所に私達(ライラ、アウラ、私、謎の女の子)は4人集まった。と言っても謎の女の子は恥ずかしいみたいでライラの背中からは出てこない、ライラさんが痺れを切らし女の子を前に出した。
「アウラとトゥカーナ紹介したい子がいるの、ほら、ララ君ご挨拶は?」
「えっ?!ララ君なの?」
「ララ君って...」
私とアウラは2度見した。ララ君と言えば何を隠そう大精霊王であるが、訳あって今は柴犬サイズの黒猫だ。その黒猫が人型になり、肩まである黒い髪の両サイドからは可愛い3角のお耳と、可愛らしいドレスからたまに出る黒い尻尾がピコピコと動いて可愛い、
「うむ、トリックアトリートと言って、相手にニャールをくれないとイタズラするぞと言えば、好きなだけニャールが貰えると聞いたが本当か?」
「いつもなら沢山ニャールはあげられませんが、今日はお祭りですからそうですよ、ですがおやつだけだと身体は大きくなれません、好き嫌いなくご飯もしっかり食べましょう、ですがしっかりとご飯食べたらニャールをあげますよ。」
「本当かやっぱりお前良い奴だな!気に入ったぞ!ライラとアルゲティは1週間に8個と決めてそれ以上はくれないぞ、これは内緒だぞ食べたい時は甘えた声でタブエルに言えばすぐくれるから、」
「ララ君、内緒だと言ったはずだ。ライラ何かの間違いだ。ライラもアルゲティから貰ってないと甘えてくるから、」
内緒話しにしては大きな声でララ君が言った途端に今まで微笑んでいたライラさんの目が据わった。その目は非難する様にタブエルさんに向けられている。タブエルさんはライラさんと視線が合うとすぐに視線を逸らしたが、逃げることも無くライラさんの怒りの視線を受け止めている。
いつも優しく笑ってる人が怒るのは怖い、それに逃げないって凄いと思う、私ならそそくさと逃げていそうだ。あれが長年連れ添った夫婦なのだろう、
余計な一言を言ったララ君はニャールをくれ!と無邪気に私の脚にガッシリ張り付いた。5歳位の見た目のララ君が転んでしまわないように抱き上げてそのまま頭や背中を撫でる。
頬の部分を見れば毛が沢山生え肌を黒く見せているようだ。耳や喉を触れば喉を鳴らしゴロゴロ甘えてくる。お尻辺りからジッポが伸びていてユラユラ揺れて可愛い、
ハロウィンらしく悪巧み(イタズラ)をするみたいでとても楽しいらしい、私はロッテの方を見るとロッテは自然な仕草でこちらに来ると、綺麗な仕草で頭を下げ私の言葉を待っている。
「はい、ルピー姫様をお誘いしました。王妃様も是非と仰られたようですが、お仕事が多く来られないと、お忍びでいらっしゃいます。ロッテ分かるかしら?」
「この時間ですと教会の転移陣辺りを出る頃だと思われます。何かありましたか?」
「いいえ、ハロウィンらしいイタズラを思いついただけですから大丈夫です。ロッテその姿はとても似合いますよ。ズボン姿がいいのならこれから先変えていいです。」「ズボン姿はとても新鮮です。それに動きやすいと思います。しかしいつもの姿が落ち着きます。ライラ様私の様な者にまでありがとうございます。皆は今年も喜んでおりました。」
ロッテはライラにお礼を言うと、ライラも皆で楽しまなくちゃね。と笑顔で言葉を返した。
今のロッテは黒の背広だが手元が邪魔にならないように袖は短めの7分袖だ。ライラにお礼を言ってからは執事らしく背筋をピンと伸ばし私に優雅に頭を下げている。長い髪は後ろでひとつにまとめているから確かに男女逆転だ。
こうなると執事長のアーロンはメイド姿なのだろうか?現にお兄様付きの従者は、可愛らしいピンク色のフリルが着いたメイド服を着て遠い目をしているが、私はロッテと一緒に見えた景色を見ないようにしてロッテに軽くお礼を言い、アウラにそのまま言う、
「アウラ様ルピー姫様達は今は教会周辺の様です。何をされるのですか?」
「それにはライラさんの協力が必要になる良いだろうか?」
ライラが頷くのを見てアウラは艶っぽく口元を扇で隠し目を細め微笑む、見た目だけなら悪役令嬢よりも悪役っぽいよ!とかツッコミは入れない、私もワルドには言いたいことは沢山ある。アルゲティじゃないと言っていたのに聞いてくれない、自分が逆の立場なら確かに言いたいだけ言っていたのかもしれない、なんて言ったらいいのかわからないけど、心の奥底に鬱憤が溜まっているのだろう、ムニムニと動く私の口元を見たアウラは更に悪い事を思いついたと笑顔で微笑む、
「ワルドも隣国の王族だから、無礼講にするかは本人次第だ。それに僕はカーナをいじめた仕返しがしたい、後はレオニス叔父上は絶対に僕の事を分かるから口止め位かな?ラケルタ他の人が僕だと分かったら瞬時に口止めを頼む、」
「本当にあなたはトゥカーナ嬢の事になると、見さかいありませんね分かりました。口止めをしますよ、俺の胃が持たないのでバレない様にお願いします。
それよりライラ様なぜ俺の衣装は、左手に包帯をしていて左目を眼帯してるのですか?」
ショート丈の茶色の髪、けど前髪だけはいつもオールバックにしてるから少し長めだ。目に掛かるかの長い前髪から少しだけ見える黒い眼帯と、頭についた白いヒラヒラが着いたカチューシャと贅沢なレースをふんだんに使ったピンク色のエプロン、それだけを見れば某オタク系メイド喫茶風だが、幼少時のアルゲティは空に向かって飛び、そのまま足から落ちると言う遊びをしていたのでお腹を冷やしてはいけないと、ニッカポッカの様なズボン姿、ラケルタもこれにはホッと息を吐いた。
「アルゲティが昔ハマって着てたのよ、空に向かって飛んで落ちてを繰り返してたからスカートじゃないの。どうしようかしら?と悩んだのだけど、このままでいくことにしたわ、今回はそれをアレンジしてみたの、本当は魔法少女風でも良かったけど時間とレースが足りなくて、もしあなたが違うのが着たいなら次回...」
「ライラ様!大丈夫です!わー嬉しいなー!アウラ様俺は他に気がついた人がいないか確認してきます。」
ラケルタはそそくさとこの場を去った。ライラは軽く方をくすめると、空間ポッケからオーキッド色した長い髪を取り出しアウラに見せる。
「じゃあこれも必要ね。これはカツラと言うのでこれを被れば髪の長さや色を瞬時に変えられるもなの、幻惑の魔法であなたの雰囲気だけを変えるけど、今すぐに正体をバラしたい時は不便だわ、正体をバラしない時はカツラを取れば、幻惑の魔法も解けてワルドって子もすぐにアウラだと分かるはず、フフ...さすがアルゲティの血が流れてるわ面白いことを思いつくわね、」
ライラに手伝って貰いカツラを付けメイクと髪を魔法で手直しする、するとアウラの見た目がガラリと変わった。剣だこが付いた手は細く柔らかそうになり、元々アウラは中性的な見た目だったが、メイク効果で大きな瞳は優しい垂れ目になり、頬は薔薇色に染まっていて小さな唇はほんのりピンク色をしている。女の私よりも色っぽく嫉妬してしまいそうだ。私がアウラをガン見しているのを見てお熱いわね。と思ったライラはもう1つ設定をする。
「そうね今日1日はあなたは私の親戚の子供よ、歳は幼さが少し残る150歳でどうかしら?大人と子供の間で多感な時期なの、地の人族で言うところの15歳って所ね。どーかしら?」
「ライラ様それでお願いします。その年なら僕はカーナと結婚をしていますから、僕はカーナの側から離れないよ、僕以外は見て欲しくないからね。けど今日1日だけ令嬢としてあいつにイタズラをしかけます。」
アウラは綺麗なカーテシーを披露して、招待客の到着を待った。
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