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真相

アルゲティ9

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書いてるうちに話が逸れていって話が長くなる。忘れないうちにアルゲティの目が開く事を先に書いた訳じゃないですよ。| 壁 |д・)チラ
強がりました。...先に書いたのは忘れるから_| ̄|○ズーン

先代祈りの乙女シルクさんの呼び名は、ひいおばあちゃんから、シルクおばあちゃんに変えました。空の人族は800年ほどの寿命設定にしてるため、下手するとひいひいおばあちゃんまで存在するためです。




「ほらほらライラちゃん赤ちゃんを見て、小さな瞼がピクピクしてるもうすぐ開きそうね、ライラちゃんもうすぐよ、」


「私たちの可愛い赤ちゃん、早くお母さんとお父さんにあなたの可愛らしい瞳を見せて、」


マル先生は自分のまぶたを指さし教えると、タブエルとライラは愛娘の顔をのぞき込んだ。起きたらしい愛娘はふにゃふにゃな手元を元気に動かし、パクパクと口を動かしている。ライラが愛娘の頭を撫でればライラの手を必死に掴もうとする姿も愛らしい、タブエル達は親達から聞かされた事がある。それは子供が生まれれば親族たちの気持ちや持ち前が変わる。タブエルはそう聞いてはいたが、愛娘が生まれた瞬間からこれ程に愛情を込められるなんて思わなかった。愛情を込めれば込めるほど子供は大きく成長していく、もちろんダメな事はキチンと叱らなければ秩序を乱す事になる。だからただ優しさや愛情だけという訳では無い、

タブエルは結婚する前見た長様を思い出す。恐らくあの街の男が言っていた。長様は800年は生きている。という言葉とあの幼い姿だ。
空の人族は基本的に200歳を超えたあたりで見た目が止まってしまう、
100歳を超えたあたりにしか見えないほど幼い姿、タブエルは生まれたばかりの愛娘と長様重ねてしまい可哀想だと思った瞬間だった。


「うぅ...なぜ」


なんとも言えない恐怖が身体を襲ってきた。タブエルはその場でうずくまり震える身体を両手で抱え込んだ。突然の行動に驚いたマル先生がタブエルを支え起こした。


「どうした?!身体が震えてるな、熱は無いな食中毒かもしれんな何か悪いものでも食べたのか?」


タブエルはマル先生に抱えられ何とか起き上がった。しかし、言葉を発することは出来なかった。可愛い娘が初めて世界を見る。子供が初めて目を開き見るものは自分達が良いとライラのお腹を撫でながらライラと話し合っていた。この状態になったのはあのお方長様を思い出し哀れに思ったことだ。そしてタブエルはあの日言われた言葉を思い出した。


『そうだククが直々にプレゼントをあげる喜びなさい、長様に対して何かしらの感情が揺れた時恐怖を感じる最高のプレゼントをあげる、』


タブエルはマル先生に背中を支えられ立ち上がり、自分の頬を両手で思いっきり叩き気合いを入れると、先程の気持ちは薄まった気がした。タブエルの異変を感じた光の精霊が慌てて目の前に来たが、タブエルは大丈夫だと光の精霊に言うと、様子を見ていた水の精霊が頬に張り付くと精霊はひんやり冷やしてくれた。優しい冷たさがヒリヒリと痛い頬や先程までの恐怖が和らいでいく、


「マル先生ライラの作るご飯は逸品です。それに俺はもう大丈夫ですしお陰様で気持ちが落ち着きました。迷惑を掛けました。」


「良かった体調が戻ったならいいんだ。もちろんライラちゃんのご飯の美味しさは知ってる、幼い頃に友達に習ったんだよね?前にカボチャの煮物をとても美味しく頂いた。前は根菜の煮物と中華風だったか?中華というのはわからないが、あのサラダも美味しかった。ライラちゃんが作る料理ならお金を出しても良いくらいだ。もしお店出してくれたらライラちゃんと生活リズムを同じにして毎日通うよ、もちろんこの役割に休みは皆無だし、いつでも動ける様にしてあるから、通える時はと言っておこう、ライラちゃんは料理のお店は出さないんだよね?毎日美味しい料理を食べられるタブエル君が羨ましい、」


「マル先生はライラさんの料理をいつも楽しみにしてるんですぅ。あの卵を使ったスープもおいしかったです!もちろん私も頂いてます。今度料理を教えて欲しいくらいですぅ。」


マル先生とムーチー助手はライラの料理の虜だと言う、タブエルは愛する妻の料理を褒められ、先程までの恐怖心が完全に消え、ライラの素晴らしさと先程産まれたばかりの愛娘を自慢する。


「えぇ!いい妻に出会え俺はとても幸せ者です!こうして無事に愛娘も産まれました。こんなに可愛いのです。俺を納得させた男じゃなきゃ、この世性で1番可愛い娘を嫁には出さない!」


「ふふ、私はタブエルの傍から離れるつもりは無いですよ、」


タブエルはそうだこの前ライラが自信作を作り、それを空間ポッケに入れていたので食べますか?と空に向かい手を伸ばした瞬間、「先程魔法の類いは使えませんと教えたはずですぅ」とタブエルの手をムーチー助手がガッシリ掴み、タブエルの目の前には光の精霊が数体現れ、助手と愛娘の瞼には闇の精霊が張り付き、ライラとマル先生は腕で目を隠した。それを見届けた光の精霊は一斉に強い光を放つ、


「あぁ何も見えない。目が!目が!」


「タブエル君魔法は禁止だと言ったはず。精霊達は警戒を強めてしまったな。だがライラちゃんのご飯は後から頂こう。まずはこの子の目が開かないことには何も出来ない、」


「はぁ。あなたも懲りないわね。マル先生少しづつ料理をストックしていたので、お祝いも兼ねて沢山食べていって下さい、もちろんムーチー助手さんもご一緒にどうぞ、それと知りたい料理も教えて貰えたら後日レシピをお渡しします。もしかして前に言っていた彼氏さんにつくるのですか?」


「まだ彼氏ではないんですよ、でも胃袋を掴みたい相手がいるんですぅ。私は料理のレパートリーが少ないので、ライラさんは前にタブエルさんの胃袋を掴まれたと話していましたよねぇ。あれを聞いて閃いたんですぅ。
タブエルさんは幼なじみで、遊びに来てるうちに料理を出していたとライラさんが前に話してくれましたよね?胃袋で彼氏を掴む、ってこれが難しいんですぅ。...美味しいお弁当を作ってバッチリあの人の胃袋も心もゲットしたいんですぅ。たくさんお肉料理を覚えて、えへへあの人の筋肉も笑顔も素敵でとてもカッコイイですぅ。」


ムーチー助手は掴んでいたタブエルの片手を捻ると、ブンブン上下に振ったからタブエルが悲鳴にならない声を上げる。


「ムーチー助手、待って痛いこれ以上は無理無理無理無理!」


「あっ!ごめんなさいですぅ。タブエルさん空間ポッケも使ってはダメですよ、」


ムーチー助手はパッと手を離す。両頬を軽く膨らませ両手を腰に当てると、痛みで肩を摩るタブエルに説教をした。ライラが笑いながら愛娘を見れば薄く瞳が開いていた。


「あら大変もう瞳が開くみたい、瞳が完全に開いたら一緒にこの子の名前言いましょ、」


タブエルは痛む腕のことを忘れたのか?と思う程の動きで愛娘の近くに陣取ると、ライラと2人で愛娘の顔を覗き込んでいると、愛娘の瞳が大きく開いていき金を溶かした様な金色の瞳が現れた。ライラとタブエルは顔を見合せ以前から決めていた愛娘の名前を言う、


「「あなたの名前はアルゲティ」」


愛娘に名前を言うと、小さな精霊達は踊るようにクルクル渦を巻くように愛娘の頭上で回り祝福を贈る。マル先生とムーチー助手は初めて全ての属性の精霊が祝福を贈るのを見て驚きとともに、さすが長様を補佐する祈りの乙女だと誇らしげに笑う、


「さぁ、今日新しい命が誕生した。今からアルゲティの誕生会を始めましょう、精霊達お手伝いをありがとう、お礼の魔力を受け取って、」


新たな空の人族が生まれた時の恒例行事である誕生会、タブエルはライラの両親と自分の両親を呼びにいくと、ライラの両親の両目が腫れていて、両親の憔悴した姿を見たライラは大好きなおばあちゃんを思い出しまた涙が溢れた。だが、とても悲しい気持ちになる。大好きなシルクおばあちゃんはお腹が大きなライラのお腹を優しく擦りながら、子供が生まれた後に行うことを教えてくれた。
『ライラお腹大きくなったね。もうすぐライラとタブエルの子供を見られるのね、あなたの子供が見られるなんて私はとても幸せ者だわ、一つだけ言っておくわ、最初におこなう生誕会は生まれた子の初めてのお祝いよ、どんなに悲しいことがあっても笑いなさい、涙で目を腫らす事があれば、私はとても悲しいし生まれた子は精霊の祝福を受けられないわ、どんなに悲しいことがあったとしても考えてはダメ、』と、今日は愛娘の生誕会大好きだったおばあちゃんと話をしていたのを思い出し涙ぐんだ。
タブエルは隣で必死に泣くまいと堪えてるライラを1度抱きしめると、呼んだ両親達に愛娘のお披露目として1度愛娘を抱いてもらい、あなたにもこんな時期があったわね。と自分の両親(主に母親)から言われ不貞腐れたりしたが、タブエルは生まれたばかりのアルゲティの役割を両親に説明しようとライラを見つめると、ライラも泣きそであるがタブエルを見つめ頷く、それにマル先生が親族には知らせた方がいいもしという時に守ってもらえる。と助言もあったからだ。


「集まってくれてありがとう。ライラと俺の愛娘の名前はアルゲティに決まった。後生まれたばかりだけど、役割もわかったんだ。この子の役割は1代しか生まれない祈りの乙女、だけど俺たちはアルゲティの親だ。祈りの乙女の役割は成人してから、それまでは普通の子供として育てようと思っている。」


タブエルがライラを優しい眼差しで見つめ、ライラは頷くとアルゲティと自分の両親を見てから、優しい眼差しでもう1度アルゲティを見て優しく頭を撫でると、アルゲティは金色の両目を見開きライラを見ていた。


「...シルクおばあちゃん、もしかしたら知っていたのかもしれない私のお腹の中に祈りの乙女アルゲティがいた事を、だからまだこの子がお腹にいた時に話してくれたのかもしれない、生誕会は生まれた子供が初めて両親や親族から祝ってもらえる日、だから何があっても泣かないで、ってだから明日はシルクおばあちゃんのために泣くって決めたのに、」





あれ?ここどこだっけ?やっと目が見えるようになり、最初に見えたのは金色の瞳の男の人と、オーキッド色の髪と瞳の女の人、両手を上げれば小さな両手だ。


『うげ?!何これ!アルゲティ?なんか聞いたことある。誰だっけ?まぁいいか!もう1度人生やり直せる!』


これはトゥカーナが生まれるずっと前の話、先に転生したのはミユキだった。
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