気がついたら乙女ゲームだった!チートって何ですか?美味しいですか?

おばば様

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帝国編

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 フィレムはルクバトに横抱きにされ悲しげな顔をする、小さな口を何か言いたそうに開いたり閉じたりして、私の顔を見てそのまま視線を下におろす。

 フィレムを見ると、長く美しいかった髪は少し短くなっていた。何があったのかを戸惑いながら聞くと、顔を強ばらせながら話をしてくれた。私達が出発しようとしていた頃に、自力で何とか脱出しようとして身体を動かしたら、結晶化した所は割れてしまったらしい、美しかった髪の先端はバラバラで整っていない、困った顔しながら、

「大丈夫よ、魔力が戻れば髪の長さも元に戻るの、先代の光の精霊王がそれを経験していてね、私に教えてくれたのよ、」

 気丈に笑うフィレムにルクバトは目を固く閉じ、小さな声で話す。

「フィレム無理をするな!お前はとても綺麗な髪の手入れを楽しんでいた筈だ、」

 ルクバトは悲痛な声を上げる、フィレムの長い髪をそっとひと房持ち口付けをする。
 その光景はまるでルクバトは助けた王子と、フィレムは助けられた姫の様で、プロの演技を観ているようにも見え見入ってしまう、
 キスをされた髪は金色に輝きながら髪が伸びていく、ルクバトが持っていた髪は元の長さに戻っていた。
 幻想的な光景で私は見入ってしまうが、胸元で抱いていたミューはふわりと浮いて耳元でこしょこしょと教えてくれた。

「ルクバト様は幻惑の魔法を掛けたのよ」

「幻惑魔法でも綺麗な髪に見えるのなら良かった。」

 確かにあの見た目では見るに堪えなかったし良かったと心から思う。フィレムもホッとした様子を見せているし、きっといずれギザギザの髪は綺麗に揃うのだろうと思うが、私はなんて声をかけたら良いのか分からずにいた。ルクバトはフィレムの戻った髪を梳くように元に戻し、指を鳴らし柔らかなソファを作るとフィレムを座らせる、完全に2人の世界になっているからか、私達の事は眼中に無いらしく、私達の分のソファは無かった。
 ミューが空間ポッケからミラの作ったソファを出してくれたのでそれに座る、ククルは私の肩にちょこんと座り、ミューはいつもの特等席膝の上にいる、

「フィレム大丈夫か?すぐに外に戻ろう」

「待ってルクバトお礼を言いたいの少し待って・・・トゥカーナ、助けてくれてありがとう。結晶の中で聞いていたわ、なぜあの名前を?」

「名前?あぁ・・・大精霊様の名前ですか?私は何も知らないのです。魔法陣に書かれた文字や解除の魔法が分かるだけなので、フィレム様は何かご存知では無いですか?このペンダントが光って魔法陣が見えたのです。祈りの乙女の力が込められてると言ってましたよね?」

「ペンダントの事はごめんなさい空の人族の話になるの、その事でシィに聞きたい事もあるし結晶の中の出来事もあるわ、少し頭の中を整理してもいいかしら?・・・湖に何か入れた人物・・・あれは空の人族かしら?残像の様なものでは分からないわね。」

 フィレムは俯き少し頭を押さえると、ルクバトはサッとフィレムを支えた。
 私はあの丸い結晶の中の出来事を考えるが分からない、フィレムは何を見たのだろうか?魔力の回復したら話をしてくれると約束をしてくれた。私は魔力が回復しても体調が1番大事です。と話すとフィレムはありがとうと綺麗に微笑む、

 私にはまだやらなきゃいけない事がある。それは黒いモヤを追いかける事、
 私もアルゲティの夢の中から目覚めた時は、頭の中を整理したいのは分かるので頷いた。フィレムは私が頷いたのを見てホッとした様に微笑む、

「約束するわ必ずお話をします。少しだけ時間を頂戴、精霊の時間では無いわ、私達の時間の感覚だと長いから魔力が回復した頃、地の人族の時間で少しだから安心してね。」

「分かりましたその時は誰が同席をお願いしても良いですか?詳しい人と一緒の方が安心出来るのです。例えば、か・・・ライラさんやシャムちゃんが一緒でも良いですか?私1人ではとても抱えきれる問題ではなくて」

「フフ・・・婚約者のあの子も一緒でも良いわよ、アウラはトゥカーナの事をとても大切にしてるのが分かるわ、仲良しなのは良いわね、ミラがあなた達を茶化すの私にも分かるわ、」

 フィレムはクスクスと笑いながら話す。アウラと一緒でも良いと言われ私は内心ホッとした。私1人が抱えきれる話ではない、長年母様と言い続けたからかライラさんの事、やっぱり言い間違えそうになる、ルルがじっと私の首元を見ていたので思い出した。私はペンダントトップをドレスから出す。それを手のひらに乗せフィレムに見せるが、先程の様には光っていない、

「これをルルから預かっていたのです。今お返しをしますね。」

 チェーンを辿りネックレスを首から取り外そうとした。しかし何故かペンダントは外れない、前世と違って(前世はそんな苦労しなかったし)簡単なはず、
 今世のペンダントは魔力で付け外しが出来るし、不器用さんにも優しい構造の物のはずだ。結合部分に魔力を通すだけの物で着けるのはとても簡単だった。ミューにも見てもらったけど外せず、ルルとククルも手伝いに来てくれたのだけど、2人共無理だった。すぐに諦めるククルとペンダントをじっと見るルルにお礼をする。ククルはお礼はお菓子でと言うので、持ち合わせが無いと言うと、自分の空間ポッケからおやつを取り出し食べ始める、もちろん魔力は渡した。ルルは美味しそうにおやつを食べるククルを不思議そうに見ている、
 ペンダントを外せないと肩を落とす私を、フィレムは緩く首を横に振った。

「そのペンダントは祈り乙女の祈りが込められている、とこちらに来る前に簡単に説明したわね、まだやる事があるのならそのまま持っていて欲しいわ、きっと役にたつと思うの、そう言えば一緒に来ると言っていたシィは一緒じゃないの?」

「一緒に行くはずだったシャムちゃんは・・・黒いモヤが突然地面から現れて、シャムちゃんが作った魔法陣の文字を変えて、結晶につかまってしまったのでも捕まったのは膝までだったの、シャムちゃんは自分よりも先にフィレム様を助けに行きなさいと言われました。」

「シィ・・・ごめんなさい。私を気遣ってくれてありがとう。」

 フィレムは瞼を震わせ一筋の涙が零れ落ちる、その姿はとても綺麗だと見とれてしまう、
 ルクバトは赤い髪を垂らし深く頭を下げる。頭を下げすぎて土下座しそうな勢いで、私は自分が出来る事をしただけだと、フルフルと横に頭を振っていると、ルルは私に何度も頭を下げる、

「トゥカーナ礼を言う、フィレムを助けてくれてありがとう。俺はフィレムと一緒に先に帰る、俺がこの先居ても役に立てそうにない、」

「私からもお礼を言いたいんですも!フィレム様を助けてくれてありがとうございますも」

「いいえ、ルルちゃんが案内をしてくれたから、フィレム様が助かったのです。間に合って良かったです。」

 ルルはフィレムを見る表情はとても嬉しそう、ククルは楽しそうに空をくるっと回って私の所に来ると、私の肩にちょこんと座る、ミューは私の肩に座ったククルをじっと見て威嚇するが、威嚇されたククルは気にしてない、意外と図太い性格なのかもしれない、

「じゃあ次は黒いモヤを追いかけるんだよね?これが終わったらやっとお家に帰れるし、ミクロン様からご褒美貰えるー!」

「ねぇククル、ずっと気になった事があるの、精霊はどこに住んでいるの?」

 私は疑問に思った事を聞く事にした。精霊王のミラの家は大きかったが、小さな精霊はミラの側にいた少数しか居なかった。ミクロンの掛け声で集まるならあの黒い精霊はどこに居るのかも疑問に思えるし、もしククルが家に帰りたいと願うなら魔法陣でスっと帰れるはず、私も家族が待っている家に帰ろうとして魔法陣は作れるのだろうか?
 私の問いかけにククルは瞬きを何度かして首を傾げ空を見る。何故首を傾げるのか分からない、
 対応に困ってしまった私は首を傾げるククルに苦笑いで返す事しか出来なかった。空を見ていたククルは私を見るが、顔は高揚し紅くなっているし、瞳はまるで恋する乙女の様にも見える、

「私達が言うお家は、地の人族が思う様な建物では無いよ、あれもあれで素敵なんだろうと思う、けど私達のお家はその場所がとても居心地いい所でもある、ねぇミューあなたのお家もそうでしょ?」

 ククルは両手を重ね上を向きウットリ話す。ミューは急に話を振られワタワタとしながらも、今いる家の事を話す。

「そうなのよ、私がいる場所は草や花の上が多いけど、最近はトゥカーナの近くにいる事が多いのよ、」

「えっそうなの?いつもフワーっと空に飛んで行くから、忙しいのだと思っていたわ、私の近くじゃなくて一緒の部屋に来てお願いミュー、」

 私は両手をパチンと重ねお願いをする。ミューは大きく目を見開いて私を見て下を向いてモジモジし始めた。モコモコのぬいぐるみに見えてまた可愛い、

「ありがとうなの、トゥカーナの好きな花を部屋に飾ってくれたらそこに住めるのよ、でもね」

 ミューは私に抱きつき上目遣いをする。可愛すぎないか?私はモコモコ着ぐるみを着たミューの頭を撫でながら話を聞く、よく見れば左右の頭部に三角の耳がある。

「トゥカーナが泊まっているあの部屋だけはダメなのよ、あの部屋は魔力が無くて魔力で飛ぶ精霊は飛べないの、
 昔あの国は魔力遮断の部屋を作った事は知ってるのよ、アルゲティが魔力遮断した部屋があるから、逃げ出そうとしても逃げ出せなかった。ってそんな話しをしていたの、複雑な魔法だから空の人族がしたのは分かるって言ってたのよ、本当に誰なのかしら?全く迷惑なのよ!」

 ミューは言うだけ言ってツンと横をむいた、私に対して怒っているのでは無く、あの魔力無しの部屋を作った人に対してだろう、ツンツンしてるミューを呼んで胸に抱きした。
 あの部屋の思い出は沢山ある。夢の中ではアルゲティに鎮痛剤を渡してくれたトラル、現実世界ではアウラが魔力遮断の話をしていた。
 エニフ王国に着いた初日、アウラに強引に手を引っ張られ連れていかれ、ベッドに押し倒されキ・・・キスをされたり、アルゲティの夢の中もあの部屋が始まりだった。自分で思い出して顔が熱くなっていく、私は両手で赤くなった頬を押さえ熱を分散させ、変な事言わない様に気をつけながら話す。

「アウラ様もそんな話をしていたわね。今思い出したの、魔力遮断の部屋にはアルゲティの大きな絵が飾られていたけど、あの絵の事ミュー知ってる?」

 ミューは首を傾げ考えたようだけど、何かを思い出した様に少し笑った。その表情からは楽しかった思い出だろうと感じる、

「アウストが何枚か描いていたのよ、アルゲティは最初はとても照れていたけど、段々とポーズを取るようになってきたの、絵を見ないと私には分からないのよ、そう言えばアルゲティもアウストの絵を描いたわね。」

「ねぇ・・・その絵どうだった?」

 迷子も似てるから、もしかしたら絵も似てる気はする。前に私がシャムちゃんにオムライスに絵を書こうか?と言った時とても苦い顔をして拒絶していた。聞くのが怖いがせめて残念な絵だけは違う事を願いたい、私は願いも込めてミューをじっと見る。
 私にじっと見られたミューは視線をウロウロさせると、最終的に視線を逸らしてしまった。
 私はそれだけで察してしまった。何も言わないのはまずいと思ったのか、ミューは視線を逸らしたまま、口をモゴモゴさせながら話す。

「アルゲティから昔聞いたの、ライラ達から絵は人前で描いてはいけないと言われてたらしいの。アルゲティの絵を見たアウストは芸術的だね。と褒めていたのよ、」

「分かったわ・・・、ありがとうミュー、やっぱりと思ったわ」

 私は1人感傷に浸っていると、私の肩に乗っていたククルは飛び降り、そのままふわふわと飛び私の周りを1周する。

「お家に速く帰りたいから、さっと行ってさっと帰ってこよう!魔法陣を作るの時間が掛かるから、ちょっと待って」


 私とミューとククルで黒いモヤを追いかける事になった。
 ククルが魔法陣を作っている間少し時間が出来た。魔力を消費してしまったフィレムと、ルクバト達とここでお別れになる、
 ルルは一緒に行きたそうに私達を見るが、フィレムに止められていた。理由はルルは経験不足、もう少し経験を積みなさいとフィレムはルルを説得しルルも了承していた。
 フィレムは硬い表情で私の側に来て両手の中にある結晶の欠片を私に渡し忠告をする。
 手の中の結晶を見ると虹色に光っていて、シャムに返した空の人族の証に見えなくもない、もしかしたら空の人族の証なのかもしれない、この事を空の人族の長でもあるシャムちゃんに伝えて欲しいと言付けを頼むと、フィレムは笑顔で快く引き受けてくれた。私はミューに教えて貰った空間ポッケ制作をして、そこにハンカチに包んだ結晶を入れた。これは私が証を返した時にシャムがしていた事を真似た。

「トゥカーナ気をつけて、黒いモヤも気になるけれど、私は突然現れた結晶に捕まったわ、でもあなたは捕まらない様に気をつけて、ククル何かあればすぐに脱出するのよ、トゥカーナ、ククルは古くからミクロンの所にいた子、あなたが無理だと感じたらククルに言ってすぐに戻ってね。」

「フィレム様ありがとうございます。行ってきます。」

「出来た!フィレム様心配しないで大丈夫!無理はしないよ」

 ククルは魔法陣を作り終わると、私を手招きしたが魔法陣はちょっと怖い、羽根をまた取ろうとすると、隣りにいたミューが空間ポッケから羽根を取り出した。聞くと前に寮で見つけた羽根らしく、聞くと私を心配して度々寮に来ていたライラの羽根らしい、
 私がアルゲティの夢ばかり見て寝るのが怖かった時、不思議とゆっくり寝れた事があった。あの時なのかもしれない、私はミューとライラに感謝をして魔法陣に羽根を落とすが何も起きなかった。先につま先だけ魔法陣に突っついて異常が無いのを確認すると、いつもの様にミューを胸に抱き魔法陣へ進む、ククルは私の肩にちょこんと座っている。私達を見送る為フィレムはソファから立ち上がって私の傍に来る、立てる位には回復したらしい、それでも心配なのかルクバトはフィレムに自分の腕を取らせていた。

「気をつけてね。」

「黒いモヤの所にレッツゴー!」

 ククルは元気に腕を上げ出発を合図する、私は返事の代わりに頭を下げると、魔法陣を発動させたらしいグニャリと視界は歪む、私はこの感覚が苦手だ、ミューを抱く手に力が入った、ミューも私の不安を感じたのか、私を安心させるように腕をポンポンと優しく叩く私は安心して力の入った手を緩めた。

 ◆

 転移が終わったのか目を開けるとそこは濃い霧の中、私は1人で立っていた。地面を見ても魔法陣は無くただ花や草といった緑も無い、
 不安に思ってミューをギュッとしようとしたが、腕の中に抱いていたミューが居ない、私は自分をペタペタと触りどこかに居ないか確認するがどこにも居ない、
 肩に乗った精霊ククルを探したがやはり居ない、私は不安に思いながら白い世界を1人歩く、

「ここはどこなんだろう?ねぇーミュー!ククルどこにいるの?」

 大きな声で呼んでみたが自分の声がこだまするだけでミュー達からの返事はない、飛べる事を思い出した私は翼を出し空を飛ぶ、
 この白い世界初めてアルゲティと会った場所に似ている、黒いモヤはどこだろう?と考えた時だった。ペンダントは私を先導する様に白い世界の先を光で指し示している、
 私はこれに従わなければならない、と感じ翼を出し白い世界を飛んだ。
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