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帝国編
16
しおりを挟む私を装飾品にしたい、モーコブ帝国の王ペシャルに囚われ、見世物になっている所をアウストは救い出してくれた。
アウストはモーコブ帝国に病を治す手段があると聞き、自国から出て来たと言う、帝王に見せたいものがあると言われ、パーティに参加し見せられたのは空の人族の私、本当に驚いたと目が覚めた後に言われた。
王城から逃げる時は当然帝国の兵士に追われ、アウスト達か乗ってきた馬に乗り、気絶していた私を前にして庇う様にして逃げ出せたらしい、目が覚めたら頭がガンガンする、地面が移動している事に驚いて、思わず後ろを見てしまった、アウストは安心させる様に微笑む。
「目が覚めた?おはようアルゲティ様。気分はどうかな?」
「おはようアウスト、私に様付けはいらないわ、」
「それは良かった。皆がペシャル王みたいだなんて思われたくない、けど君を助けられて良かった。」
柔らかな目と合ってしまい、顔が熱くなるのと同時に胸が高鳴る、恥ずかしさから距離を取ろうとしてしまった、すぐにアウストは危ないからそのままでと、優しく私の腰を手で押さえ自分の方に押し当てる、質の良く柔らかい白いシャツが腕や頭に当たる、そっとアウストに顔を寄せると温かく、その胸板は厚くて硬い、私1人でドキドキしていると、アウストは私の腰から手をそっと離す。
「・・・ゴメン落ちそうだったから、馬に乗ってる時に無闇に動くと危ない、それに後ろから攻撃されると庇えない」
「助けてくれてありがとう。アウスト、あれ?私いつの間に着替えたの?」
「流石にあのドレスは・・・どこかで着替えをしようと話あっていたら、君が自分で着替えると言い出し精霊を呼んでいた。この事を覚えいないのかい?一瞬でドレスを着替え終わるのと同時に、翼が消えた時は本当に驚いた。首輪もその時に精霊が外していたよ。」
「ハハハ・・・なんでだろう全く記憶に無いわ・・・」
私の白いドレスは目立つ為、私は紫色の大きなジャケットを羽織っていた、ドレスは城を出る前、錆髪のメイドが持って来たと言う、そのメイドはミルアだと直ぐに分かった。ミルアは「アルゲティ様に償いたい」と言うと、失礼します。とメイド服姿のままシェダルの馬に跨ったらしい、流石にメイド服の移動は目立つので、シェダルのマントを借りて隠した。とアウストは馬を走らせながら教えてくれる、私は馬の揺れの中ゆっくりと捕まった時の話をポツポツと話した。
話も終わり馬の揺れに慣れないまま、モーコブ帝国の国の堺を超え隣りにある街に入った。
夕方が過ぎて月が登っているが、まだ明るいのにこの街に人の姿は見えない、ほぼ無人化した街を走り森を抜けると、大きな門が見えるそこがアウストが使っている屋敷らしい、そこに馬を止めアウストに下ろして貰う、私は久しぶりに地面に足が着いた事に感動していた。そして何だかここの空気が美味しい気がする。背中を伸ばし左右に横に揺らす、そして何度か深呼吸をする馬はもう二度と乗らない、
私は慌ててやってきた使用人に囲まれてしまうが、アウストは庇う様に私の前に立つと、使用人達に私の事を説明と指示を出す。私は少し後ろに下がると周りを見て歩く、
手入れされ花達が綺麗に咲き、木々は綺麗に切りそろえられ敷地の道沿いに植えられていた。
旅した時に作業している所を見た事があるけど、人の手でここまで手入れするのは大変だと思う、
私がぼんやり考え事をしていると、少し大きな声の男の人が聞こえ私はそちらを見た。アウストに何か話をしているらしい、婚約者様が出来たのですね!これで陛下も安心出来るでしょう。と話し声が聞こえたが、あえてそこはスルーをした、街の見回りをシェダルがしていた為少し遅れて帰ってきたのが見えた、シェダルに馬から下ろして貰うとミルアは錆色の髪を揺らし真っ先に私に駆け寄り頭を下げる、私はなぜミルアが頭を下げるのか分からなかったので、慌てて頭を上げさせようとした。
「アルゲティ様申し訳ございません。」
「もういいわ、でもどうして?ミルアとアウストは違う国の人でしょ?」
「あの国に居たくありませんそれに私には家族は居ません。昔私が孤児と言う理由だけで無理やり街から連れられました。それでアルゲティ様を送り出した後、トラル様が息を切らして私の所にいらっしゃっいました、アルゲティ様の着替えを持って行けと、あっ・・・トラル様は王弟様の従者です、私がアルゲティ様の所に来れたのは、トラル様の案内があったからなのです。アウスト様宛に手紙を預かってます。」
ミルアは手紙を隣に居たレックに渡す、レックは手紙を受け取り、何度かクルクルとしてからアウストに渡す。
「トラル・・・悪い子じゃなかったのね。てっきりあの変態王の仲間だと思っていたわ、」
私の言葉を聞きミルアはギョッとした顔をしていて、アウストは苦笑いをしていたが、緑髪のシェダルは笑いながら隣にいる赤髪のレックを肘で突くが、レックは痛そうに顔を歪める、
「レックは王に対して・・・」
「おい!止めろって!まだ痛いんだ!」
脇腹を押さえシェダルを睨む、私は何を言っているのかも分からず首を傾げてしまう。アウストはレック達に視線を向け話を止めさせると、2人は気まずそうに後ろに下がった。そこでアウストが補足する様に説明してくれる、
「ペシャル王が前帝王からモーコブ帝国を統治する様になってからおかしくなったんだ、税金を上げたりするのはまだ分かる、国が潰れてしまっては民を守れない、
俺が帝国に行く前に噂で聞いたのは、どうやら罪になる様な事をしているらしい、アルゲティが捕まった時みたいにね。」
「そう言えばミルアも、無理やり連れてこられたと言っていたわ」
大きく広い廊下を歩き客間に案内して貰うと、ミルアは着替えの位置等を覚える為しばらくこの部屋に居るらしい、
客間を出て案内して貰ったダイニングで、アウストと遅め夕食を取った、食後紅茶を入れ白く可愛い形のカップとソーサーを置くと、、紅茶を飲みホッと息を吐く、捕まった国から逃げ出せた。翼が治ったら一度母様の所に帰ろう等と考えてた。
レックが言うには帝国の兵士は引き返したらしい、けどアウストはこの街に入ってからずっと浮かない顔をしていた、私はチラチラとそんな顔のアウストを見ていた。今も出された紅茶を飲まず、時折心配そうに街を見る、
「どんよりした顔してどうしたの?もしかして街の事?」
「街の状態がまた酷くなっていたんだ、モーコブ帝国に薬があると・・・」
「アウスト・・・私助けて貰ったお礼がしたいの、どこかに湖ある?」
「いや・・・君にそんな事をさせる・・・」
「私がしたいの!それに私達空の人族は魔法に優れているし、後・・・助けてくれたお礼もしたいの、私の母様は人に親切にされたらきちんとお礼をしなさい、と口を酸っぱくして言うの、だからお願い」
私はアウストの言葉を遮る、アウストは私の言葉を聞き考え込み、おもむろに頭を上に上げた。その視線は何かを吹っ切った様だった。
「案内するよ、何か用意する物ある?」
「湖に行くのは翼が汚れてしまったから、自然の水で清めたいだけなの、魔法効率が悪くなるといけないから、水が綺麗ならそこで魔法を使うよ、その水が薬になる様にするから、」
私が横を見るとミルアが丁度戻って来た所だった。私はミルアを呼ぶと耳元でお願いをする。
「ミルア着いて来てくれる?・・・清める時はドレスを脱がなきゃいけないから・・・」
「はい!アルゲティ様準備してきます。」
「ミルアお願いするわ」
アウストはもしもの事もあるし、危ないからと湖まで案内をしてくれて、湖の側で不審者が居ないかも見てくれるらしい、少し奥に森を抜けると、木々に囲まれた少し大きな湖があった。アウスト達はここで見張るらしい、
「何かあったら大声で叫んで欲しい、」
「分かったわ、行ってきます。」
アウスト達に行ってらっしゃいと見送られ、私とミルアは月明かりの中歩く、森の中は意外と明るく、上を見上げれば満月で私達の足元を照らしてくれていた。
湖に着くと湖はとても綺麗だった、水が澄んでいて底の砂まで綺麗に見える、私は湖の近くの木々の間に土魔法で一時的に壁を作った、そこでミルアに手伝って貰いそこでドレスを脱ぐ、
青く輝く湖に足を入れた。水は少し温いだけど冷たいよりはいい、女の子は身体を冷やしたらダメだと、母様にも言われていたから、
私はパシャパシャと湖の砂場を歩く、湖の底は砂で痛くなかった。胸下まで水に浸かる所まで進み歩くと、洗浄魔法で綺麗にした髪も一緒に清めようと一緒にほどき、私はそのまま湖の中に頭迄入る、数秒我慢して湖から頭を出す。頭から落ちる水分が落ち着く迄顔を擦り、長い髪をまとめて上に上げる、
ここならと翼を広げ動かす、少し痛いけど広げられない訳では無い、翼からまた数枚羽根が抜け落る、それを空間ポッケにいれ、湖に翼がキラキラと光ってなんだかとても幻想的だった、私の小さな頃の思い出が蘇る、
ミューと遊んで洗浄魔法も使わずドロドロで帰った私を見て、母様は困った顔して言う、
『アルゲティ、女の子はドロドロになるまで遊ばないものよ、それに私達の翼の羽根は大切な物なの、汚れたら清めないと魔法を使えなくなるわ、』
その日母様に言われるまま水で清めた。お清め用の湖に入ると光り輝く私の翼、湖の水が青く光る、それを見た母様は一瞬驚いた様だけど、すぐに微笑み頭を撫でながら教えてくれた。アルゲティの翼は特別なのよと、私には何が特別なのかが分からなかった。母様とその後も何度か身を清めたりしたが、母様の翼は私みたいに光らなかったし、それに母様もそれ以上は何も私に言わなかった。
私は湖から出て風と火魔法で丁度良い温風を作り出し乾かし、ミルアにドレスを持ってきて貰うと、魔法で湖の水を綺麗にした、空間ポッケからさっき抜けてしまった羽根を取り出す、魔法を使う為気持ちを込める。私は旅をして地の人族はいい人が多かった。あの国は別!ペシャル王の事を思い出すと、あの手が背中をなぞった事を思い出してしまって背中がゾワゾワする・・・。
でもそれはそれであり、これはこれである、空の人族の魔法は言葉にする事で強くなる、私は高く登った月を見上げると、気持ちを切り替えるため大きく息を吸って大きく吐く、これを数回繰り返すと気持ちが落ち着いてきた。
大きく翼を広げると、手の平に持ったまま羽根を高く上にあげる、その時風吹き手に乗った羽根はヒラヒラと空に舞う、
私は強い魔法を使う時は自分が感じた事を言葉にする、これは幼少時や旅をしていた時にも同じ事をしていたら、ミューや地の人族にも好評だったから続けていたら癖になっていた。簡単な魔法なら言葉に出さない、ちなみに父様や母様は指パッチンで魔法を使う、
「花と月よ私は願う、助けてくれたこの国の人々が、流行り病等に困らぬよう元気に過ごせます様に、」
私が魔法を掛けると羽根は虹色に光り、この湖に溶ける様に消え一瞬だけ湖がパッと光る、
湖から出るとミューを呼び出し、翼に精霊が使う完治魔法を使うが、やっぱりその効果は無かった。
「もー!だから無駄だと言ったのよ、」
「ごめんてば、ミュー」
ミューに謝ると怒って帰ってしまった、この水の事をアウストに話す、ここの湖の水を病に苦しんでいる人に飲ませてと欲しいと言うと、使用人何人かを連れて来ては水を汲んでいく、アウストやシェダルも水を持つので私も手伝う、レックは護衛なので持たないらしい、確かに両手塞がっちゃうもんね。
木の樽に水をいれ運んでいたので、私は魔法で浮かせ、空間ポッケによっこらせっと入れると驚かれた。
「アルゲティ、それは便利だけど他では使わない方がいい、僕達は驚いて終わるが、それを利用しようとする奴が現れたりすると、また君が狙われるぞ、籠から出し入れならわからないだろう、沢山の物を出す時は場所等を少し考えた方が良い、小さな籠から大きな物は出せないだろ?」
「いつもこんな感じで旅していたけど、皆親切だったよ?でも、もう二度と捕まりたくないから、アウストの言った通りにするわ、ありがとう」
夜の内に水を配り終え私達は屋敷に帰って沢山寝た、
馬に揺られたり久しぶりに魔法を使って相当疲れていたのか、私は丸々2日間寝ていたらしい、
目が覚めたら私はアウストラリス王国を救った人になっていた。もちろん私が空の人族なのは隠したまま、その後2年半程、私はアウストの国で過ごした。もちろん翼は治る迄は時間は掛かったが、アウストが私をあちこちに連れ回してくれたので退屈はしなかった。
私はいつの間にかアウストを好きになっていた。それを告げるとアウストもそうだと言ってくれ、私はとても嬉しかった。
だけど楽しい日々は突然終わりを告げる、今まで腰の低い宰相で何とかモーコブ帝国を、毎回誤魔化しやり過ごしていたが、頭の回転の速い者を入れたらしい、
アウストの父様でもあるサギッリ陛下、あちらが私を呼んで欲しいと願うため、私もモーコブ帝国の話を聞くことになった。
「恐らく開戦は1ヶ月後です。アルゲティ様、ペシャル王はとても心配しております。お早めにお帰り願いますよ。これで私は失礼いたします。」
宰相は不気味に笑うと私達の前から立ち去った。
言い分を聞く程アホらしくなる、ペシャル王の恋人を攫った事とアウストがペシャル王を殴った事を、今更グチグチと言ってきたらしい、恋人と聞いた時は思わず悲鳴を上げてしまい、寒くないのに鳥肌がたつ、
黒目と灰色の髪をした新しい宰相らしい、それを告げられた時、目の前が真っ黒になってしまった。
私のせいで・・・守ると言ってくれたアウスト何度か剣を振っている所を見たけど、速く鋭く切り付ける、騎士団で強いと言われているレックにも勝てる位だから、けして戦争で負けるなんて思っていない、
開戦し戦いは順調だった。私が空から偵察して居場所を教える、次はアウストはミューと一緒に敵陣に行き精霊魔法で敵を包囲する。そこで降伏勧告をすると、殆どが降伏しこちらに来るが、まれに攻撃してくる兵士がいる、排除をしてもう他の部隊が居ないかを確認する、
この作戦は効果があった。私達はこの方法で敵兵を捕まえる、
痺れを切らしたペシャル王は、とつも私を捕まえる為に動き出したらしい、あの灰色髪の宰相はペシャル王の後ろにピッタリと引っ付き、過度な事を言わないが指示を出しているらしい、アウストは地の人族が剣で誓いを立てると言うと、それを私にしてくれたが、私もアウストを必ず守りたい、剣は無いけど似てる物で誓った。
モーコブ帝国の勢力が上がってきてしまった。
◆
ふと目が覚めベッドから上半身を起こした、身体がとても重く感じる、起き上がり姿見で自分の姿を見ると少しだけ幼くなった様な気がするけど、でも自分の顔だった。頬をプニプニと摘んでみる、やっぱり痛い、翼を見ようと背中を見ると翼は無かった。胸が痛くなるのと同時にズキリと頭が痛くなる、私はヨロヨロとその場で座り込む、昨日違う名前で呼ばれていた。
「私は・・・。」
その時寝室の扉がコンコンと鳴る。私は立ち上がれない為にそのまま返事だけを返す、ノックしたのは身の回りを世話すると言っていたロッテだった。扉を開けたと同時に私が座り込んでいる姿を見て慌てて私の側に駆け寄る、ロッテの茶色の瞳は気遣う様に私を見ていた。
「お嬢様?!・・・いえ申し訳ございません。アルゲティ様大丈夫ですか?」
「ありがとう。大丈夫よ少し頭が痛かっただけ。昨日から間違われる人が居るの、昨日の人からはカーナとかトゥカーナと呼ばれていたわ、私そんなに似ているの?」
一瞬ロッテの顔が悲しそうに歪むが、その後寂しそうに微笑みながら私の顔を見る、その姿を見てギュッと胸が苦しくなる、
「はい・・・とても似ていらっしゃいます。アルゲティ様お目覚めでございますか?」
私が頷くとお召しかえをと、テキパキと着替えさせられる、
クリーム色のドレスは自分のサイズにピッタリで、驚きながらロッテを見る、ロッテは私が言いたかった事が分かったらしい、
「・・・お嬢様とアルゲティ様の身体のサイズがほぼ同じですので、お嬢様のドレスをお借りしました。」
「・・・そうなの?でもお嬢様は着るものあるの?」
ロッテは一瞬驚き目を大きく見開たが、優しく微笑むとその後すぐに頷く、
「はいドレスは沢山ありますから、お気になさらないで下さい。朝食の後王太子様がいらっしゃるそうです。」
「王太子様・・・昨日のアウストの血縁の人?何しに来るのかしら?」
「はい、昨日お会いした方でございます。私の口からは言えませんので、直接お尋ね下さい。」
ロッテの内心は複雑なる。お嬢様は誰になってしまったのだろうと、
着替え終わってそのままリビングに入ると、そこには大きな私の絵が飾られていた。戦争に出る前アウストは絵を書いていたが、ついの間にか絵を完成させたのだろう?ロッテは慣れた様子で、朝食を完成させて私の前に置いた。
「アルゲティ様、ごゆっくりお食べ下さい。」
「ありがとうロッテ」
私は料理を食べ終わりお茶を飲むこのお茶美味しい、
その時ノックが鳴る、ロッテが扉の前に行くと、頭を下げノックした人物を通す。青髪と青い瞳の女の子だった。女の子は私の胸に飛び込んできた。私は思わず受け止めた。
「トゥカーニャ!おはよう!」
「おはようございます。私はトゥカーニャでは無いですよ?」
「えへへ。私ね新しいお部屋を貰ったの!それでねお茶会の招待状を持ってきたの、」
この子と話をしていると頭がクラクラとする。目線を下ろすと、首からペンダントが下げられていた。それが一瞬光った。
「そうなのですか?ルピー様・・・あれ?私はアルゲティ・・・違う私は・・・」
ルピーと会話している時、丁度扉からアウラが中に入って来た。見たのはルピーとの会話で混乱している私だった、一瞬でも記憶が戻る希望が出たと喜ぶ、けど錯乱しているなとアウラは感じる、
「お嬢様・・・まさか記憶が」
「アウラ様・・・ロッテ・・・」
「トゥカーニャ大丈夫?」
いきなり座り込んだ私を、青い瞳の女の子が私を心配そうに見ている、こんな小さな女の子が怖いなんて・・・私はドレスのスカートを掴むと私は走った。
色々な感情が私を支配しようするので、何も考えず走ったが、すぐにアウラに捕まってしまった。
私の手を掴んだが無理に私が離してしまう為、私を横抱きにして押さえる、突然の事で足をバダつかせてしまったが、アウラがミューを呼んで、安眠魔法を掛けられ私はまた眠ってしまった。
「これは落し物だよカーナ。後少し付き合ってくれないかな?ミラ様と話をしたいんだ、少し揺れるけど馬車で行こうかカーナ」
アウラは母様から貰ったお守りを私の手に持たせた、横抱きのまま馬車に乗せられ、目が覚めると知らない人が3人もいた。その内の1人に私はほっぺを突っつく、うっすら分かったのは突っついていたのは、黒い髪とレモン色の瞳の人だって事くらいだろう、
「おはよう、君は誰?」
「おはようございます。それがまだ分からないの、もう少し時間を下さい、」
私はいつの間にかお守りを握りしめていた。そしてアウラを見て微笑む、
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