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帝国編

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 鎮魂の義が終わると、アウラと一緒に陛下と王妃に帰りの挨拶をする、少しだけ雑談した流れで、この後に街の散策に行くと話をしていたら、私達の話が聞こえたのか。スビオと話をしていたワルドが「じゃあ俺が案内をする」と買って出る、
 私が王妃とお茶会の約束の話をしていると、その間アウラはワルドと何やら話をしていた。

 それから直ぐに王城に帰り、貰った花束を花瓶に入れて貰う、萎れる前に幾つかを押し花にしてもらう為ロッテに頼む、

「押し花を1つは持っておきたいの、花を貰った女の子に、もし会ったら渡したいの」

「お嬢様承りました。」

 それから姿見でドレスにシミがないか確認してしまうのは、前世の頃の癖が残っているから・・・では無く、あまりにもドレスが純白で、汚れが着いていたら落とすの大変だと知っているから。シミが無いのを確認すると、私は正直ホッとした。それからシンプルな簡易ドレスに替える、こちらの方が純白のドレスよりも正直気が楽だった、見た目は商屋の富裕層のお嬢さんが着る位らしく、ロッテもこれならと満足気に頷いてる、

 ロッテに手早く完成した押し花を貰い、ロッテに見送られ客間を出る、城の広い通路を2人で手を繋いで歩く、
 私よりも頭1つ分背が高いアウラは、質が良い簡易な服装になったが、何を着てもイケメンはイケメンである。私は今日は色々なアウラの格好を見てまた見蕩れてしまう、
 とても柔げな顔をしたアウラと目が合うと、2人で数秒間見つめ合う、
 私が恥ずかしくなってしまい、顔が熱く赤くなってるのが分かるので、それを自分の両手で頬っぺを触り冷やす。正直頭から湯気が出てもおかしくは無い、恥ずかしいから何を話せば良いのかも分からず、取り敢えず目に入った簡易服装の事を話すが、何を思っていたのか、そのままの感想を言ってしまう、

「アウラ様は何着ても似合いますね」

「そんな事ないよ、僕よりもカーナの方が似合ってる、カーナが何を着ても僕の1番はカーナだよ」

 蕩けた笑顔で言われ、私は耳まで真っ赤だと思う、私は照れてしまいモジモジとしてしまう、

 私達が今話している場所は、王城の使用人が使う比較的に広い通路で、(もちろん隅には寄っている)周りの人が早足で聞かぬフリをして通る中、私達は互いに褒め合っていた、
 呆れ顔のラケルタから街を歩く際の注意と説明を聞いた、

 説明内容は、私達の周りを護衛達やラケルタを連れて歩くと目立つ為後ろの方から、目立たない様に着いて来てくれる、注意点は、私は土産物屋に行くまで、絶対に絶対に大事な事は2度言うアウラの手を離さない事、ラケルタは口を酸っぱくして言うが、考えてみて欲しい、その前にアウラは・・・離してくれないと思う、
 街歩きはワルド、ファイ、アウラ、私の4人で一緒に歩くちなみに後ろは振り向かない、護衛が沢山居るのは分かるから、
 これで迷子になったらすごいと思う。

 ここからの話はファイから聞く、残された時間は余り無いが、鎮魂の義の後は皆白い服装だと汚れてしまうから、1度家に帰って着替えるらしい、
 今が1番空いている時間だから、護衛する側も対象者や不審者等を見付けやすい、と言っていた。

 街に出る前にワルドは帽子を深々と被る、私が首を傾げていると、ファイは言葉少なめで説明してくれた。

「青目は王族しか居ないのです、お忍び散策だとワルド様は目立つから、目が隠れる様にしています。」

「お忍びも大変なのですね・・・」

「ワルド今日はありがとう、お土産買いたいんだ」

「あぁ・・・アウラ案内するよ」

 そのまま背を向け、歩き出したワルド達の後を着いて歩く、私はアウラと手を繋いで街を散策する。
 使用人が使う少し狭い路地を抜けると、大きな通りがあり、その大通りは白い石畳が綺麗に引かれ、昨日の夕方に見た時は青に見えたが、日差しがあると明るい空色だった。

 下は白と上は空色、まるで雲と空の上に建物がある様にも見え、私達がキョロキョロとして街並みに驚いていると、ワルドが小さな声で説明してくれる、

「この街は空の人族が住んでいる街を、思い描いイメージて作られたんだ、考え作ったのは初代王ハマルだ、空に帰った人々の家を思い描きイメージ、この国の空色は空に帰った人と共に過ごすと言う意味もある。この年に空に帰ってしまった人が居ると、鎮魂祭の時に空色を身につけるんだ、忘れない為に・・・」

 前世で身内が亡くなった時の『喪』に当るのだとすぐに分かった。

「流石だワルドやはり詳しいな、後から詳しく聞きたい、どっちに行けば良いんだ?」

「分かった。あっちだ」

 ワルドが指を指した方向を見ると、数多くの商店が立ち並んでいた、人は疎らまばらで本当にいいお土産探し日和だった。ザワザワとしているが、日が暮れたら人混みで大変な事になりそうだと安易に分かる程だった、

 私達が手を繋いで歩いていると、お店飾り付けが至る所にしてある、
 モチーフは天使と丸い球(前世でクリスマスツリーに飾る様なカラフルな球)と生地で出来た花が基本で、後はお菓子屋さんにはお菓子が着いたり、パン屋さんにはパンが着いている、見た目も可愛いらしく、私達は飾り付けを見る為、店先のリーフが見える道をゆっくりと歩いていた。

 ワルドは口数は少ないが、歴史の話になると凄い話す。早口になったりしない所は凄い、そして分かりやすく説明してくれる、

「これは鎮魂祭限定の飾り付けだ、昔天使様空の人族達がしていたのを真似をしたと言われている、これを始めたのは今は無い国だ、鎮魂の義の際、何も無いのは空に帰ってしまった人達が寂しいだろうと、ハマル王が自ら飾ったのが始まりだ」

「凄く分かりやすい説明ですね、沢山歴史書を読んだのですね、歴史書は読むの難しいのに凄いです。」

 歴史書は難しい文字や書き方で読む人を選ぶ、ワルドは相当の数の歴史書を読み漁ったと思う、
 ワルドは私の言った事は意外だと思ったらしい、そっぽを向いて早口で話す。

「あぁ昔から歴史書は好きだ・・・後はルピーに勉強を教えているからな」

「それでなんですね!分かりやすくて覚えやすいと思います。」

 ワルド歩く速度が同じになっていた様で、横に並んで歩いていた。
 突然アウラに手をグイと引かれ、よろける形でアウラに抱き着くと、右側から左側に移動させられ手を繋ぎ直した。
 私か首を傾げるが、アウラは何か言いたげな視線をくれるだけだった。そうか・・・友達を取られ拗ねたのか、1人納得していると、私達がゆっくりと歩いていたので、家族連れが私達を追い抜いていく、

 お父さんは3歳位の男の子を肩車して歩き、お母さんの方は8歳位の女の子と手を繋いで歩いている、その家族連れと少しの間だけ並んで歩く。私が前世の幼少時の弟や妹を思い出して、『あんな時期あったわ』とホンワカと見ていた、

 歩きながら横の親子のお母さんは、女の子の頭を撫で優し気に話している、その楽しげな会話が聞こえてきた。

「今日は鎮魂の義だったね。お祈りきちんと出来た?」

「ちゃんとお祈りしたよ、明日もお祈りするの!」

「お母さん僕も頑張ってお祈りしたよ!明日もちゃんとお祈りする!」

「流石俺の子だ!明日も天使様達へのお祈り頑張らないとな!今日はご褒美だ!外でご飯食べようか?」

「「わーい!お父さん大好き!」」

 その会話に私とアウラの顔が緩む、なんだか気持ち迄ホッコリしてきた、
 アウラと繋いでいる手が、ほんの一瞬だけギュッと強くなる、
 家族連れが笑いながらお店に入る所を、2人で目線だけで見送る、
 アウラは表情を和らげ私を見て嬉げに話す。

「僕が王族じゃなければ、あんな風に家族を作りたいと思う程だよ」

「アウラ様・・・作れば良いんです。結婚をして奥さんや子供の事を沢山構ってあげて下さい。あっ・・・フフッ・・・でもお父様みたいに激甘では困ります。」

 お父様を尊敬はしているが、子供に激甘なのは困る、アウラには子供にきちんと叱れる父親になって欲しい、アウラは上を向き幸せを噛み締める様に笑い目を細める、

「宰相は子供は皆天使だと言っていたな・・・僕達の子供天使なら僕も激甘になりそうだ。その時はカーナが叱ってね。僕反省するからさ」

「フフッ・・・アウラ様それでは親として示しが付きませんよ、でも素敵ですね」

 アウラといつの間にか腕を組み、私は頭をアウラの腕に付け話していた。私は頭を離し腕も離そうとしたが、アウラにガッチリ押さえられてしまい、腕を組んだままになる、
 ワルドは後ろを振り向き、呆れた様な顔をした。

「お前ら俺の前でイチャつきやがって・・・」

 確かに友達が恋人とイチャイチャしていたら、確かに目のやり場に困る、
 しかしアウラに止めようと言った所で、絶対に止めてくれない、それだけは確信を持てる、
 ワルドには悪いがそこは諦めて貰おう、心の中でゴメンと謝る、しかしいつの間に腕を組んだんだろう?

「アウラ様腕を離しても良いですか?恥ずかしいです。」

「カーナが積極的だったから嬉しかった。僕はこのままでもいいと思うけど、ダメかい?」

「わ・・・私から腕を組んだのですか?私覚えてないのです・・・で・・・では・・・」

「今回は止めよう、でも次は無いよカーナ」

 顔から火が出そうな私から手を差し出し恋人繋ぎをすると、やっとアウラの機嫌が直る、


 また2人で手を繋ぎゆっくり歩き出したが、目的地は近かった様だった。ワルド達は店の前で止まると、私達に土産を買うならここだと言う、下が白と上は空色なのは他の店舗と同じ、
 だけど店先、正確に言うと扉の横の壁際に添わせる様に、高さは私の腰程ある木彫りの魔物が魚を咥えていた。

 前世で見た事ある・・・確かデパートの北の物産展で見た様な・・・、その木彫りの魔物は、まるで店を守っている様にも見えてしまった、私はポッカーンと口を開いてしまう、

「え・・・っとこの置物は何でしょう?」

 私は困惑してアウラを見上げる、アウラも分からずワルドを見る、するとワルドは諦め顔で遠くを見つめて話す。

「これを作るのが趣味らしいぞ・・・店内にもあるが、木彫りの話を絶対に、絶対ここの主人に聞くな長くなる・・・。少し癖がある主人だが、土産ならここで買うのが良いだろう、」

 余程長かったのだろう、話した後は眉を寄せていた。ファイもオレンジ色の頭を手で押さえ頭を横に振ている、それだけで聞いたら最後だと分かる。

「あぁ・・・ありがとう気をつけるよ、カーナも気をつけてね」

「はい・・・気をつけます。絶対言いません。」

 木彫りの魔物の横には、縦長に丸い空色の扉がある、
 その扉を見ると、丸い形にさせた木のツルが吊されていて、そのツルに木で出来た小さな天使や、カラフルな球や、布地を綺麗に切って結んだ可愛らしいリボン、木で出来たお菓子等が、所々に飾り付けがしてある、ここだけを見ると、前世のクリスマスリースみたいだと思い考えていると、ワルドはアウラに微笑み話す。

「俺はここの主人に用事がある、今日俺が行く事になっているから、俺達が帰るまで人は入って来ない、ゆっくり見てお土産を探して欲しい、」

「ワルドありがとう、カーナ店に入ろうか?」

「・・・はい」

 私はポカンと開いた口を閉じて、扉の奥へと2人で進む為に扉の前に立ち開ける、

 扉を開けるとチリンとドアベルが鳴る、扉を開いたその隙間から、お菓子の甘い香りが私達を誘う、そろそろおやつの時間になる頃だから、後から何か食べよう、そう考えお腹が鳴るのを何とか押える、だけど最初に目に飛び込んで来たのは、丁寧に並べられた小さな木彫りの魚を咥えた魔物だった。

「凄いお店ですね・・・しかもこんなに沢山・・・」

「絶対に聞くなと言われるのは分かるが、最初に聞きたくなる。何故置物のモデルがファブなんだ・・・リッシュの方がまだマシでは・・・」

「この魔物クマファブというのですね、リッシュですか?・・・昔聞いた事がある様な・・・」

 リーズと後付けしたくなるが、言っても分からないので、苦笑いしていると、
 リッシュはアウラと初めて会った、お茶会で着ていたと言われ、あのふわふわを思い出した。
 見た事は無いが可愛いのだろう・・・多分。


 気を取り直して改めて店内を見回すと、意外に広く小さく見えた外見からは、想像も出来ない程の大きさだった、
 ふと上を見ると店の天井の真ん中には、可愛い花形の魔術具が取り付けられ、店内を明るく照らし、足元を見れば灰色の石が平に真っ直ぐに敷き詰められ、床が照明を反射してより明るくしていた、棚には商品は1つしか無く、横の壁には張り紙で、『買いたい商品は店員へ』と書いてある、

「木の棚に商品の見本が置いてあるのですね!」

「そうだねカーナ、ここは品物が多いから迷うが、あのファブだけ何故大量にあるんだ・・・」

「趣味だから・・・でしたね・・・」

 2人して一緒にため息を付くと、これ以上はファブ関係は喋らずお土産を探す事にした。私が真剣に探している間、アウラも私の横で物珍しげにキョロキョロと見てる。

 サプライズでお土産を買おうにも、隣りにいては買えないので、先に家族やケーティ達の分を買う事にした。

「よし!綺麗な細工をされたガラス球を見つけた!」

 ロッテの分のサプライズプレゼントも探し終え、見本を持って行こうとした時だった。

 私の後ろにいつの間にか人が居た、
 背丈は私よりも低く、綺麗な水色の髪を後ろ一つに緩く結んでいる、とても美人な女の人だった。
 けどこの美人さんの事は、私以外は見えないらしい、横に居るアウラは違う場所を見ていて、腕を組みトントンと肘を叩き口元を見れば、口はパクパクと開いては閉じている、何か考え事をしているのだろう、けど横に居れば聞こえる筈の、アウラの声が聞こえなかった。
 私はガダガダと震そうになったが、何とか堪えた。美人さんを怯えながら見て、緊張でカラカラに乾いた口を開く、

「あの・・・私に何か?」

 美人さんは私をじっと見る、その綺麗なエメラルドグリーンの瞳から、私は目が離せずに居ると、
 美人さんは私の頬に優しく手を当て撫でる、女神の様な微笑みをして私を抱きしめる、

「ねぇ・・・アナタあの子の契約者なのね?・・・丁度良かったわ・・・フフッ・・・」

 優しく耳元で話されたが、私には何の事だかよく分からなかった。1つだけ分かったのは、美人さんはいい香りだった位、
 美人さんは契約者って言ってたから、ミューの事を知っているのかも知れない、

 私が考えている間に美人さんは、私の手を掴むと私が抵抗するも手を離して貰らえず、私は途方にくれてしまう、
 でも流されてはダメ!意を決して美人さんを力強く見る、「貴女は誰ですか?」と聞こうとした時だった。
 向かい合ってじっと私の目を見ていた美人さんは、面白い物を見つけた子供の様に笑うと、少し早口で話す。

「貴女面白い魂を持っているのね・・・ちょっと来て貰いたい場所があるの」

「えっ?場所?」

「確かこの近くに湖があるわね、あら!良いわね!そこに行きましょう!」

「ふぇ!?」

 美人さんはいい事を思い付いた!と顔を花の様に綻ばせ、どこから出したのか足元に水を撒くと、鼻歌を歌いながら、その水で魔法陣を作り出す、攻撃魔法を使おうとしても、商店や商品に被害があるのは気が引ける、私が躊躇ちゅうちょしていたら、

「フフ・・・無駄よ貴女が、あの子の代わりに遊んで頂戴」

 私の足元に魔法陣が出来た事で、アウラは気がついたらしく私の手を引く、

「カーナ?!」

 咄嗟にアウラは私を抱き寄せたが、魔法陣の発動は抱き寄せたのと同時に起き、美人さんと知り合いだと思われるミューを呼ぶ暇も無かった。
 アウラと2人で魔法陣で飛ばされてしまう、

「あらら大変!お友達も一緒なのね。良かったわね、1人は寂しいものね、ウフフ・・・ほんの少しだけ私に付き合ってくれるかしら?」

 宝石の様なエメラルドの瞳を細く曲げ、白く細い手を頬に当て花の様に微笑む姿は、聖母か女神の様に見えるが、残念ながら見てる人は居ない、

「ミューは驚くかしら?フフフ・・・ミューの契約者を困らせるのは、手紙を読まなかったお仕置よね?さてあの子達に何をして貰おうかしら?早くミューの驚いた顔が見たいわ!」

 はた迷惑な精霊王がやって来た。
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