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学園編
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しおりを挟む「はい!かくれんぼで見つかった人は、問題集を使い補習です!」
大きな会議室の様な所に入ると、私は部屋をグルリと見る、かくれんぼで集まった全員が入っても、椅子や机が余る程の大きな部屋、私は1人目で他は誰も居ない、少し寂しく思いつつ、席に座り手を前で組み考える、なぜ?疑問に思ったからだ、私は割とすぐに見つかった、あの園庭は閑散とした雰囲気だから
「アリス先生・・・私の場所を何故?」
バラバラに逃げ惑い、隠れる生徒を捕まえる事は大変と思う、私は迷子になるから無理だな・・・
アリス先生は驚きに目を大きく見開き、指先を口元を隠し、ジーッと私を見る、
私は身の危険を感じ立ち上がり、一歩づつ逃げようと試みるが、肩に手を置かれそれも出来ず、怯えた私を見たアリス先生は、エメラルド色の目を柔らかく曲げ微笑む、
「トゥカーナの行動範囲は全て把握済みよ!」
「ヒィ!逆にそれ怖いです。」
私の行動範囲・・・魔法練習場、転移魔法陣部屋、教室、屋上庭園、まだ不安が残る食堂・・・。確かに広く無いと1人で納得するが、私は引き攣りつつ笑うと、アリス先生に促され席に戻る、
怖いと言われアリス先生は眉を下げ、チカラなく笑う。
「フフ・・・私は貴女のお姉様よ、妹の行動範囲・・・それ位は知ってるわ、迷子になるのも知ってる、フフフ・・・それに職員の間で有名な話しよ」
「ゆ・・・有名?」
迷子が知られている・・・だと・・・私は1人頭を抱え考える、コソコソ先生の後ろを着いて歩いた事はある、ゆっくり歩く先生が確かに居た。
アリス先生は、困った子に言い聞かせる様に私と目線を合わせると、優しく私の頭を撫でる。
「後ろを着いて歩かず、次は先生に言いなさい・・・学園は広いから、お腹空かせて倒れたら大変だもの」
姉様に頭を撫でられ、姉様と一緒に遊んだ幼少時を思い出しホンワカした気持ちになる、同時に怒られた時も思い出すと、目線反らし反省する。だって・・・迷子なんて小さい子みたいじゃない・・・。入学式の苦い思い出を思い返す、次から恥ずかしがらず先生に頼むと思う。
これを、と渡された問題集を受け取り解いていると、目の前のアリス先生は勢いよく扉の方を見た。
「・・・見つけた」
独り言を呟くと満面の笑みを浮かべ、早足で出て行くアリス先生・・・ちょっと怖い・・・本当に行動範囲を把握しての行動ですよね?私は怖いものから目を逸らしつつ、問題を解く、
問題は難なく解き終わった頃には、生徒は全員集まり引き攣った顔で問題集を解いている、
前にエリーゼが言っていた、かくれんぼは苦手と言っていた意味を知った。そりゃ怖いわ・・・
「全員集まりました、鐘が鳴ったら解散です、問題集の回答は回収するので、きちんと解く様に」
ちょうど時間となったのか、鐘が鳴り響きアリス先生は教室から出て行く、この教室内ほぼ全員がその場(問題集)から動けずカリカリ音だけが聞こえ、鬼迫が迫った顔の生徒を横目に、私は音を出さない様に教室を出た。
「トゥカーナ帰るの?」
「はい・・・アリス先生、私教室に帰りたいです。」
「じゃあ行きましょう!問題集解けた?」
私は頷き問題集とノートを出し、アリス先生は歩きながら受け取り、久しぶりに姉様と一緒にお喋りしながら歩き嬉しい気分になった所で、教室に着く、私は歩く速度を緩めアリス先生を見上げる。
「お姉様、夏の長期休暇は領地に帰るのですか?」
「帰るわよ、でもトゥカーナは王太子様と鎮魂祭に行くのよね・・・」
「はい、帰る時間がまだ不明で、帰れたら領地でお茶会しましょ!お姉様と沢山お話をしたいです。」
私はニッコリ微笑みアリス先生を見上げ言うと、アリス先生はプルプルしだすと、私に勢いよく抱きつく、
「1ヶ月分のやる気を補充しなきゃ・・・」
「お姉様?!」
私は驚き棒立ちになり動けずにいると、真ん中から手が入り離され、肩を引き寄せられ驚き顔を見ると、不機嫌な顔したアウラ、目を細めアリス先生を見る。
「アリス先生、生徒に何してるのです?」
「あら?これは王太子様ではないですか?」
「アウラ様行きましょう!帰りを待ってたのですよ?アリス先生さよなら!」
私はアウラの手を引き逃げる、これ以上の姉様の不敬罪は防がねばならない、
少し歩いた所、私が引っ張っていた手を、逆にアウラに引っ張り返され、その反動でアウラに抱きつく格好になり、私は何が起きたのかわからず目を瞬く、
「カーナは積極的だね」
「そ・・・そんな事無いです。アウラ様がいきなり手を引き寄せるから・・・」
アウラの身体は華奢に見え、結構引き締まっていて、抱きついた瞬間パッと離れようとするが、逆にそのまま力強くアウラに抱き寄せられ、私は今の状態が分かると胸が痛い位にドキドキし、顔が熱くなる
「アウラ様止めて下さい、他の人に見られたら恥ずかしいです。」
「カーナは恥ずかしい?僕は見られても平気だよ」
アウラに抱き寄せられたまま頭を撫られ、私は恥ずかし過ぎて座り込んでしまう。
そんな私を見たアウラは、僕のお嫁さんは恥ずかしがり屋だと言うと、そのまま私を横抱きして歩き出す。
「カーナこの前の続きでもしようか?」
この前・・・あの時親バレの事か!?イヤイヤ恥ずかし過ぎて無理です。
「ひゃ!だ・・・大丈夫です。私の事はお気遣い無く・・・」
「可愛い顔でそんな事言うから、ますます構いたくなる。」
アウラは蕩けた顔で甘い言葉を囁き、「残念だけど・・・今日はここまで」と優しく降ろし立たせてくれた。
私はホッとする。転移魔法陣部屋まで来たみたい。
「カーナ明日学園が終わったら、王城で出発準備になる、本当に行くのかい?」
「はい、・・・・・・。」
「分かった、最後に確認したかった、僕はカーナを守る、カーナは自分の事だけを考えて」
アウラは私を先に寮へ転移させる為に、私を魔法陣の真ん中に立たせ優しく微笑む、
「また明日カーナ」
「はい、また明日アウラ様」
私は綺麗な礼をする、魔法陣に魔力を取られ転移した。それを見送ったアウラは名前を呼ぶ
「ラケルタ」
「はいここに・・・」
音も無く部屋に入り膝を着き、顔を上げ濃い茶髪から赤い瞳を覗かせアウラを見る、
「今から王城に行く付き合え」
「御意・・・どちらに行かれるのですか?」
「何かがあってからでは遅い、もう少し動きを良くしたい、兵士の訓練所だ」
ラケルタはそれを聞き、ここの所毎日訓練所に行きでうんざりしたが、そこは顔に出さない
「もう毎日じゃないですか?王太子様」
「お前が王太子様と言うと気持ち悪い、後毎日でも足りない位だ」
「付き合いますよ!ここ最近筋肉痛凄いですよ・・・」
「良かったな!令嬢にモテるぞ」
忙し過ぎてモテてる気もしない!とボヤキながら、2人は王城へ転移した。
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