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15’話 こっちだよ 真実編
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「俺にからかわれたのは後輩達だけじゃない。お前もだよ」
そう言って彼は私を指さした。
「俺がからかわれた?どういうことだ?」
確かに後輩達はからかわれただろうが、私は別にからかわれたわけではない。
むしろ後輩達に現象の謎を説明し、安堵させて帰したのは私だ。
「俺はあいつらに一刻も早く家に帰ってほしかったんだ」
「ふざけ半分で危険な目に合わせたくないんだろ?だから俺もその意を汲んで、自動消灯のことを説明して帰したんだ」
「そこだ。そこに俺とお前の認識の齟齬がある」
「認識の齟齬?」
「あいつらを危険な目に合わせないように、俺が自動消灯のシステムを利用してビビらせた。お前はそう思ってんだろ?」
「そうだよ」
「違うよ、俺はそんなに優しくない。俺は身をもって恐怖を体験させ、二度と肝試しなんてしたくなくなるようにしたんだ」
「どういうこと?」
彼の言わんとすることがいまいちわからなかった。
「お前の雑学的知識の多さは俺も知っているが、今回の件ではその知識が裏目に出たな」
「だからどういうことなんだよ!」
「あのエレベーターは、タイマーや動作感知センサーによる自動消灯システムじゃなくて、人感センサーなんだよ」
「……嘘だろ?」
「本当だよ」
動作感知センサーの場合、中に人がいても一定時間動きがなければ消灯されてしまう。
動作感知センサーのあるトイレの個室で、身動きとらずにジッとしてた時に経験したことがある人もいるのではないだろうか?
しかし人感センサーだった場合はそうはいかない。
たとえ動作があろうがなかろうが、人がそこにいる限りは消灯システムは作動しない。
「もしかしたらエレベーターに不具合が起きているかもしれないし、正直俺にもなんでそのタイミングで電気が消えたかはわからない。だけどあの瞬間、確かに中のセンサーは人を感知してなかったんだよ」
私はゾッとした。
そこにいる人間を感知しない人感センサー。
感知しなかった原因とは?
彼が最初に前置きしたように、センサーの不具合であれば何の心配もない。
だけど私は怖い想像をしてしまった。
(もしも中の人間を人間として判別していなかったとしたら……)
例えば、たまたま中にいた霊が中にいた人間に重なっていたとしたら?
それはセンサーに人間とみなされるのだろうか?
そう言って彼は私を指さした。
「俺がからかわれた?どういうことだ?」
確かに後輩達はからかわれただろうが、私は別にからかわれたわけではない。
むしろ後輩達に現象の謎を説明し、安堵させて帰したのは私だ。
「俺はあいつらに一刻も早く家に帰ってほしかったんだ」
「ふざけ半分で危険な目に合わせたくないんだろ?だから俺もその意を汲んで、自動消灯のことを説明して帰したんだ」
「そこだ。そこに俺とお前の認識の齟齬がある」
「認識の齟齬?」
「あいつらを危険な目に合わせないように、俺が自動消灯のシステムを利用してビビらせた。お前はそう思ってんだろ?」
「そうだよ」
「違うよ、俺はそんなに優しくない。俺は身をもって恐怖を体験させ、二度と肝試しなんてしたくなくなるようにしたんだ」
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「だからどういうことなんだよ!」
「あのエレベーターは、タイマーや動作感知センサーによる自動消灯システムじゃなくて、人感センサーなんだよ」
「……嘘だろ?」
「本当だよ」
動作感知センサーの場合、中に人がいても一定時間動きがなければ消灯されてしまう。
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しかし人感センサーだった場合はそうはいかない。
たとえ動作があろうがなかろうが、人がそこにいる限りは消灯システムは作動しない。
「もしかしたらエレベーターに不具合が起きているかもしれないし、正直俺にもなんでそのタイミングで電気が消えたかはわからない。だけどあの瞬間、確かに中のセンサーは人を感知してなかったんだよ」
私はゾッとした。
そこにいる人間を感知しない人感センサー。
感知しなかった原因とは?
彼が最初に前置きしたように、センサーの不具合であれば何の心配もない。
だけど私は怖い想像をしてしまった。
(もしも中の人間を人間として判別していなかったとしたら……)
例えば、たまたま中にいた霊が中にいた人間に重なっていたとしたら?
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