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第4章 いろいろ巻き込まれていく流れ

81話 世間話と外出

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 7月1日、月曜日の日替わり定食であるショウガ焼きを満足気に食べていたガードスさんが興味深い話を聞かせてくれた。

「魔の森の調査ですか?」

「あぁ。ジョージくん達が巻き込まれることになったカヌウの大量繁殖だが、原因を正式に調査することになったらしい。それにしても先週はカヌウばっかりだったから、ボアを久々に食べた気がするよ」

 特別営業の時にガードスさんも何度か来店してくれていたので、カヌウに多少飽きていたのかもしれない。
いや、今はそれはどうでもいいな。

「コスタスさんの隊が調査に出たんですか?」

「ああ。最初は警備隊に話が来たんだが、俺達は騎士団ほど人数が多いわけじゃないし、もし何か異常事態が起きていた時、実戦経験の面でも装備の面でも不安しかないからね」

 警備隊が使用しているのは少し耐久性の高い革の装備と量産型の鉄剣らしく、あくまで王都内での人対人との揉め事を想定した最低限の装備だという。
詳しくはわからないけど、上位の魔物と対峙するには心もとないんだろう。

 ちなみに騎士団に支給されている白銀の装備はミスリル製で、耐久性が高いのはもちろん魔法への抵抗力も高いのだという。

「無事に帰ってきてほしいですね」

 この世界が異世界だということを改めて思い知らされた俺はつい口に出してしまったが、ガードスさんが「余程のことがない限りコスタスは魔物なんかに遅れを取ったりしないよ」と笑い飛ばしてくれたので少し安心した。

「それよりホントに料理の提供数を増やしてくれたんだね。おかげでこうやって無事に昼飯にありつくことができたよ」

「ガードスさん以外にも提供数の増加を望んでくださる方がたくさんいましたし、先日までの特別営業のおかげでうちのスタッフ達もかなりレベルアップしましたからね」

 そう、7月から料理の提供数を増やすことにしたのだ。

 日曜日に関係各所へ走り、今日からの仕入れの数を増やしてもらった。
特別営業最終日、閉店後は盛り上がりに盛り上がりすぎて7月からの提供数をどうするか話し合うような雰囲気じゃなかったから、今日全員が出勤してから話を切り出し、全員が賛成してくれたのでいきなりではあるけど実行することになった。

(ヌコヌコさんに野菜の数を増やしてもらうよう頼んだから、そこからミーニャ経由で全員に話がいってたみたいだしな)

 みんな心のどこかで覚悟を決めて出勤してきたんだろう、ほとんど二つ返事で決定し仕込み作業も淀みなく進んでいた。
昼は20食増やし全50食分、夜は10食増やし全30食となるが、今のところ何も問題はなさそうだ。

「しかし料理数を増やしたのに今日もギリギリだったからな。これは本当に急かすわけでも何でもなく純粋な質問なんだが、従業員を増やしたりはしないのかね?」

「ゆくゆくは増やすつもりですよ。もう少しぐらいは余裕があると思いますけど、もっと料理の提供数を増やすとなったらさすがに人手が足りないですからね。1日の仕事がキツいだけじゃなくて、休みが回らなくなったらかわいそうですし」

 これは特別営業の時に痛感したことだった。
いくらみんなが言い出したこととはいえ、特別営業中は普段のローテーションでの休みは一時中止となり、全員が1週間フル出勤だった。
何とか6日間乗り越えたものの、例えば誰かが体調を崩してしまっていたらあそこまでスムーズに回すことはできなかっただろう。

「ジョージくんはホントにスタッフのことを考えているな。俺も見習わんといけんな」

 しばらくそんな世間話をし、満腹になったガードスさんは職務へと戻っていった。

「みんな、ちょっと商業ギルドに用事があるから仕込みとか任せちゃっても大丈夫かな?」

 手際よく片付けや夜の仕込みをしているスタッフ達に声をかけ、売上帳簿を提出するために俺は商業ギルドへと向かった。
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