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第4章 いろいろ巻き込まれていく流れ
78話 舞い込んだ依頼 ー 特別営業2日目 ー
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特別営業2日目、開店前の店外から昨日とは毛色の違う声が聞こえてきた。
「今日は昼は200食だってよ!」
「ホントか!? 昨日食いっぱぐれたってやつがいたから従業員は連れてこなかったのによ!」
「まだ間に合うだろうから呼んでくればいいんじゃないか?」
「おうよ!」
昨日あれだけ忙しかったにも関わらず、今日は昼200食・夜100食を仕込んでおり、実に昨日の倍の量だ。
この無謀とも思える挑戦、俺が言い出したわけではない。うちのスタッフの総意と、現実的判断が相まっての決定だ。
事の発端は前日の閉店後のキャトンの言葉だった。
◆
「あの……。私達のローテーションのお休みはいりませんので、もっと料理の提供数を増やすことはできませんか?」
「「「へ?」」」
「「「えっ?」」」
キャトンの言葉に耳を疑ったのは俺だけじゃなく、ビービーさんや冒険者ギルドの職員さんまでもが疑問の声を漏らしていた。
「お昼休憩の時、休憩室でみんなで話したんです。信じられないぐらい忙しくて大変で疲れちゃいましたけど、お客様のためにもっと頑張らなきゃって」
キャトンの言葉にスタッフ全員が頷いた。
「せっかく並んでくれたのに、食べられずに残念そうな顔で帰っていった人の顔が忘れられないんです」
普段の営業でも予定数が完売してお断りすることもあるけど、今日はいつもの比にならないぐらいのお客様をお断りすることになった。
「私、いつもの営業でも、うちのご飯を楽しみにして来てくれた人をお断りするのが心苦しかったんです。今日は100食あるから大丈夫だろうって思ってたけど、それでもいつも以上に断らないといけなかったのが悲しかったんです」
「おいら達も、キャトンからその話を聞いて申し訳ないって思ったんだ。お客様はみんな料理を楽しみにして来てくれるのに、今日は忙しすぎて料理がなくなったことにホッとしてしまったんだ。これってお客様に失礼なことだよなって……」
「ボクも同じこと思ってしまった……」
「私も弟達と一緒です。途中ご飯をよそう腕が疲れてきて、準備してた丼の終わりが見えた時にホッとしてしまいました」
「私もです。カヌウ丼の具が減っていくのは楽しかったけど、底が見えそうになった時に、やっと忙しさが終わるって思っちゃいました……」
みんなの気持ちはわからなくもない。というか当然っちゃ当然の気持ちだ。
営業規模が違うといっても、俺も前の店で予定していた数の日替わり定食に終わりが見えた時はホッとしてたもんな。
(俺もいつの間にか料理を提供する楽しさや、楽しみにしてくれてるお客様の気持ちを忘れてたんだなぁ)
スタッフ達の言葉に初心を思い出した俺は、最終確認をした。
「みんなもわかってるだろうけど、仕込みに関してはまだ余裕がある。だから後は俺とみんながどれだけ頑張れるかだ。本当にいいんだね?」
「「「はいっ!」」」
◆
そして今に至るわけだが、開店後に俺は驚かされることとなった。
なんと、昨日より上手く回っているんだ。
もちろん冒険者ギルドから人手を多く出してもらったこともあるんだけど、お店の中での混雑が緩和されているのだ。
キャトンの説明や案内は失礼にならない程度に分かりやすく簡略化されていたし、キッチンのメンバーも昨日よりも明るく元気に声掛けしながらスムーズに作業を進めていた。
並んでいるお客様からのクレームはギルドの職員さんが上手く対処してくれていて、後からビービーさんに聞くと、「あんな小さな猫人族の子達が自主的に頑張ろうとしてたら、俺達も負けてられないよな」と言って奮起してたらしい。
「まっ、終わった後に普段のメニューにないような美味い賄いを出してもらえるってのも原動力なんだろうけどね」
ビービーさんはそう言って笑ってたけど、どんな理由だろうがとにかくありがたかった。
こうして俺達は特別営業2日目も無事に乗り越えることができた。
「今日は昼は200食だってよ!」
「ホントか!? 昨日食いっぱぐれたってやつがいたから従業員は連れてこなかったのによ!」
「まだ間に合うだろうから呼んでくればいいんじゃないか?」
「おうよ!」
昨日あれだけ忙しかったにも関わらず、今日は昼200食・夜100食を仕込んでおり、実に昨日の倍の量だ。
この無謀とも思える挑戦、俺が言い出したわけではない。うちのスタッフの総意と、現実的判断が相まっての決定だ。
事の発端は前日の閉店後のキャトンの言葉だった。
◆
「あの……。私達のローテーションのお休みはいりませんので、もっと料理の提供数を増やすことはできませんか?」
「「「へ?」」」
「「「えっ?」」」
キャトンの言葉に耳を疑ったのは俺だけじゃなく、ビービーさんや冒険者ギルドの職員さんまでもが疑問の声を漏らしていた。
「お昼休憩の時、休憩室でみんなで話したんです。信じられないぐらい忙しくて大変で疲れちゃいましたけど、お客様のためにもっと頑張らなきゃって」
キャトンの言葉にスタッフ全員が頷いた。
「せっかく並んでくれたのに、食べられずに残念そうな顔で帰っていった人の顔が忘れられないんです」
普段の営業でも予定数が完売してお断りすることもあるけど、今日はいつもの比にならないぐらいのお客様をお断りすることになった。
「私、いつもの営業でも、うちのご飯を楽しみにして来てくれた人をお断りするのが心苦しかったんです。今日は100食あるから大丈夫だろうって思ってたけど、それでもいつも以上に断らないといけなかったのが悲しかったんです」
「おいら達も、キャトンからその話を聞いて申し訳ないって思ったんだ。お客様はみんな料理を楽しみにして来てくれるのに、今日は忙しすぎて料理がなくなったことにホッとしてしまったんだ。これってお客様に失礼なことだよなって……」
「ボクも同じこと思ってしまった……」
「私も弟達と一緒です。途中ご飯をよそう腕が疲れてきて、準備してた丼の終わりが見えた時にホッとしてしまいました」
「私もです。カヌウ丼の具が減っていくのは楽しかったけど、底が見えそうになった時に、やっと忙しさが終わるって思っちゃいました……」
みんなの気持ちはわからなくもない。というか当然っちゃ当然の気持ちだ。
営業規模が違うといっても、俺も前の店で予定していた数の日替わり定食に終わりが見えた時はホッとしてたもんな。
(俺もいつの間にか料理を提供する楽しさや、楽しみにしてくれてるお客様の気持ちを忘れてたんだなぁ)
スタッフ達の言葉に初心を思い出した俺は、最終確認をした。
「みんなもわかってるだろうけど、仕込みに関してはまだ余裕がある。だから後は俺とみんながどれだけ頑張れるかだ。本当にいいんだね?」
「「「はいっ!」」」
◆
そして今に至るわけだが、開店後に俺は驚かされることとなった。
なんと、昨日より上手く回っているんだ。
もちろん冒険者ギルドから人手を多く出してもらったこともあるんだけど、お店の中での混雑が緩和されているのだ。
キャトンの説明や案内は失礼にならない程度に分かりやすく簡略化されていたし、キッチンのメンバーも昨日よりも明るく元気に声掛けしながらスムーズに作業を進めていた。
並んでいるお客様からのクレームはギルドの職員さんが上手く対処してくれていて、後からビービーさんに聞くと、「あんな小さな猫人族の子達が自主的に頑張ろうとしてたら、俺達も負けてられないよな」と言って奮起してたらしい。
「まっ、終わった後に普段のメニューにないような美味い賄いを出してもらえるってのも原動力なんだろうけどね」
ビービーさんはそう言って笑ってたけど、どんな理由だろうがとにかくありがたかった。
こうして俺達は特別営業2日目も無事に乗り越えることができた。
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