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第1章 小説の第1章は大体説明みたいな感じだよね
29話 ディナーへの誘い
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最後にひと悶着あったけど、何とか昼の営業を終えた。
余談だけど、スタッフに休憩を言い渡した時に
「練習でずっと店のメニューを作って食べてたから飽きてない? 冷蔵庫の材料は好きに使っていいから、何か賄い作って食べててね」
と伝えたところ、普段口数の少ないジャックが
「ボク、料理苦手だからメニューの練習したい」
と積極的な発言をしてくれて、ビックリしたと同時に嬉しかった。
こういう前向きな意見は本当に嬉しいので、練習の足しになればと俺の分の賄いもお願いしておいた。
少し冷めてしまったジャック作の料理を電子レンジで温め、ホールの1席に腰を下ろして食事休憩がてらディナー営業に来てくれるお客様のことを考える。
(夜は商業ギルドのオイ氏と、警備隊のガードスさんか)
警備隊のガードスさんを招待するきっかけとなったのは、オイ氏からのアドバイスだった。
◆
「お前さんが一風変わった店をやるつもりなら、警備隊にも話を通しておいた方がよいかもしれんのぉ」
「警備隊?」
王都には騎士団とは別に警備隊がいるらしく、街の治安維持に努めてるんだとか。
もし何らかのトラブルが起きた時は警備隊のお世話になるかもしれない。
素直にオイ氏からのアドバイスに従うことにした俺は、すぐさま南区にある警備隊の詰所に向かった。
警備隊詰所の窓口で事情を説明をしていると、たまたま巡回から戻ってきた隊長さんと遭遇。
隊長さん自ら話を聞いてくれる運びになり、自己紹介と共にとんとん拍子に話は進んだ。
「なるほど。一風変わった営業をするから、もしかしたら混雑して人通りなどの妨げになるかもしれないということだな」
「そうですね。お店が混雑しなくとも、新しい店ができたってことで覗いたりして人だかりができる可能性も考えられます。プレオープンの日は招待状を渡した方しかご案内できず、一般の方はお断りさせていただくので、そこでもトラブルが起きる可能性があるんですよね」
「これは事前に通達してくれて助かった案件だな。それにしてもそんな変わった店を出すつもりなのか?」
「私個人としてはそこまで変わっていると思ってないのですが、王都では珍しい営業スタイルになると思うので、いろいろな可能性を想定しておかないとと思いまして」
話し込んでいるうちに妙案を閃いた。
「13日のプレオープンの日、時間があればガードスさんもうちの店に来ていただけないでしょうか? ランチの営業には冒険者ギルドの方を招いているので、よければディナーの時間にでも」
冒険者ギルドと警備隊はあまり仲が良くないという話を聞いていた。
荒っぽい冒険者が問題を起こすことも多いので、警備隊は手を焼いているらしい。
一方で冒険者ギルドは「街の発展や魔物の間引きに貢献してるんだから多少は大目に見ろ!」と主張しているらしく、噂話程度に両者の言い分を聞いた時には「モメるのもしょうがないな」と思った。
そんなこんなで時間帯が別になるようにそれとなく誘導。案の定ガードスさんの表情が一瞬曇ったけど、時間をズラせば避けられるので文句はなさそうだった。
「その日は夕方のパトロールで上がりだから、迷惑でないようならお邪魔させていただこう」
「迷惑だなんてとんでもない。私の店は警備隊の詰所から近い場所にあるので、イチお客様としても警備隊隊長としても見定めてほしいと思います」
◆
こんなやり取りの末にガードスさんの来店が決定したのだった。
「昼より招待人数が少ないとはいえ、夜は夜で大変そうだな」
お昼はピーク時にキッチンが戦場化してたけど、夜は夜で別の問題が起きそうだ。
というのも、お昼の営業中に「俺達にも食べさせてくれ!」という一般のお客様が複数組現れたからだ。
女神様のおかげで店の設備が整っているため、高性能な換気扇によって料理の匂いが外へ排気され、匂いに誘われたお客様がドアを開けてしまったみたいだった。
「何とか事情を説明して帰ってもらったけど、夜はお酒が入ってる人もいるだろうからな」
パッと見では居酒屋との区別がつかないから、酩酊したお客様がドアを開けて入ってくる可能性は高い。
今の時点で、酩酊している人が【防犯の心得】スキルに引っかかるかどうかわからないけど、本人に悪意がない場合は入ってこれそうな気がするんだよなぁ。
「ガードスさんは夕方までのシフトって言ってたし、早めに来てくれることを祈ろう。来たら来たで事情を説明してちょっと長い時間お店にいてもらえば……」
自身の非力さを誰よりも理解してるから、ここは他力本願でいくぜ!
余談だけど、スタッフに休憩を言い渡した時に
「練習でずっと店のメニューを作って食べてたから飽きてない? 冷蔵庫の材料は好きに使っていいから、何か賄い作って食べててね」
と伝えたところ、普段口数の少ないジャックが
「ボク、料理苦手だからメニューの練習したい」
と積極的な発言をしてくれて、ビックリしたと同時に嬉しかった。
こういう前向きな意見は本当に嬉しいので、練習の足しになればと俺の分の賄いもお願いしておいた。
少し冷めてしまったジャック作の料理を電子レンジで温め、ホールの1席に腰を下ろして食事休憩がてらディナー営業に来てくれるお客様のことを考える。
(夜は商業ギルドのオイ氏と、警備隊のガードスさんか)
警備隊のガードスさんを招待するきっかけとなったのは、オイ氏からのアドバイスだった。
◆
「お前さんが一風変わった店をやるつもりなら、警備隊にも話を通しておいた方がよいかもしれんのぉ」
「警備隊?」
王都には騎士団とは別に警備隊がいるらしく、街の治安維持に努めてるんだとか。
もし何らかのトラブルが起きた時は警備隊のお世話になるかもしれない。
素直にオイ氏からのアドバイスに従うことにした俺は、すぐさま南区にある警備隊の詰所に向かった。
警備隊詰所の窓口で事情を説明をしていると、たまたま巡回から戻ってきた隊長さんと遭遇。
隊長さん自ら話を聞いてくれる運びになり、自己紹介と共にとんとん拍子に話は進んだ。
「なるほど。一風変わった営業をするから、もしかしたら混雑して人通りなどの妨げになるかもしれないということだな」
「そうですね。お店が混雑しなくとも、新しい店ができたってことで覗いたりして人だかりができる可能性も考えられます。プレオープンの日は招待状を渡した方しかご案内できず、一般の方はお断りさせていただくので、そこでもトラブルが起きる可能性があるんですよね」
「これは事前に通達してくれて助かった案件だな。それにしてもそんな変わった店を出すつもりなのか?」
「私個人としてはそこまで変わっていると思ってないのですが、王都では珍しい営業スタイルになると思うので、いろいろな可能性を想定しておかないとと思いまして」
話し込んでいるうちに妙案を閃いた。
「13日のプレオープンの日、時間があればガードスさんもうちの店に来ていただけないでしょうか? ランチの営業には冒険者ギルドの方を招いているので、よければディナーの時間にでも」
冒険者ギルドと警備隊はあまり仲が良くないという話を聞いていた。
荒っぽい冒険者が問題を起こすことも多いので、警備隊は手を焼いているらしい。
一方で冒険者ギルドは「街の発展や魔物の間引きに貢献してるんだから多少は大目に見ろ!」と主張しているらしく、噂話程度に両者の言い分を聞いた時には「モメるのもしょうがないな」と思った。
そんなこんなで時間帯が別になるようにそれとなく誘導。案の定ガードスさんの表情が一瞬曇ったけど、時間をズラせば避けられるので文句はなさそうだった。
「その日は夕方のパトロールで上がりだから、迷惑でないようならお邪魔させていただこう」
「迷惑だなんてとんでもない。私の店は警備隊の詰所から近い場所にあるので、イチお客様としても警備隊隊長としても見定めてほしいと思います」
◆
こんなやり取りの末にガードスさんの来店が決定したのだった。
「昼より招待人数が少ないとはいえ、夜は夜で大変そうだな」
お昼はピーク時にキッチンが戦場化してたけど、夜は夜で別の問題が起きそうだ。
というのも、お昼の営業中に「俺達にも食べさせてくれ!」という一般のお客様が複数組現れたからだ。
女神様のおかげで店の設備が整っているため、高性能な換気扇によって料理の匂いが外へ排気され、匂いに誘われたお客様がドアを開けてしまったみたいだった。
「何とか事情を説明して帰ってもらったけど、夜はお酒が入ってる人もいるだろうからな」
パッと見では居酒屋との区別がつかないから、酩酊したお客様がドアを開けて入ってくる可能性は高い。
今の時点で、酩酊している人が【防犯の心得】スキルに引っかかるかどうかわからないけど、本人に悪意がない場合は入ってこれそうな気がするんだよなぁ。
「ガードスさんは夕方までのシフトって言ってたし、早めに来てくれることを祈ろう。来たら来たで事情を説明してちょっと長い時間お店にいてもらえば……」
自身の非力さを誰よりも理解してるから、ここは他力本願でいくぜ!
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